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63 自分たちで決めて、自分たちで動く:修学旅行5

修学旅行の準備は2年生から始まりました。生徒の意識を高めるためアンケート調査を実施し、目的や意義を話し合い、目標を決め、下調べをしました。その後、班別自主行動のコースづくり、服装や持ち物、行動のきまりなどを話し合って決めました。できるだけ生徒たちに委ねるというのが教員たちの考えでした。

修学旅行の目的とその意義について話し合いをしたとき生徒たちの中から以下のような意見が出ました。「決まりを守ること、勉強すること、思い出づくり」「みんなで仲良く楽しむ」「京都と奈良の文化を学ぶ」「学年の和を広げ、向上させ、新しいものを発見する」「協力しながら勉強し、それが良い思い出になるように頑張ること」「これまで消極的だった人も積極的に参加するようになり、新しいものを発見し、クラスの親睦を深めること」模範的なものが多いですが、生徒たちなりに考えたものです。

そのあと目標を決めました。班での話し合いからスタートし、クラス、学年の話し合いへと進み、最終的に決まった目標は「修学旅行は学習の場であり、実行するのは私たち一人一人であることを忘れず、自ら進んで行動し、力を合わせ、学年を向上させ、みんなの仲を深め、楽しい思い出作りりをしよう」となりました。ちょっと長くて内容が盛りだくさんの目標。ここにも「模範的な」言葉が並んでいる感が否めませんが、生徒たちが考えた目標です。私たち教師は目標が達成できるよう生徒たちのバックアップに努めました。

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みんなで修学旅行を成功させよう

各班のコースが少しづつできてきました。3年生のクラスになってまだ1か月ですが、どの班もよくまとまり協力してコースづくりに取り組んでいます。班員の希望がまちまちでなかなか決まらない班もありましたし、見学時間の調整に苦労していた班、電車やバスの路線に頭を悩ましていた班もありました。でも協力体制はどの班も「ばっちり!」です。他人任せにしている人はいません。何よりもいいなと思うのはみんなが仲良く和気あいあいと話し合っていることです。見ている私も嬉しくなります。みんなで協力して頑張ろうという学年集会の決意がみんなの気持ちの中で生きていたようです。修学旅行の成功に向けてこの先もみんなで協力して取り組んでいきましょう。

なぜ自分たちで決めて自分たちで実行するの?

昨日の合同班長会議では各クラスの意見を持ち寄り修学旅行の持ち物についての話し合いが行われました。月曜日は学年全体で自主行動中の服装を話し合い、決定します。制服にするか私服にするか、クラスの話し合いでも様々な意見が出ました。それぞれのメリット、デメリットを出し合い、どちらが適当かをみんなで考えました。結果的には制服の方がいいと考える人が多かったようですが、どちらの意見もなるほどと思いました。屁理屈やこじつけを感じさせる意見がなかったこともよかった点です。この種の話し合いでは自分の意見を通すためにこじつけた理由を主張する場面がよく見られます。

最終的には学年集会で決定されますが、何度も話し合いを続けてきたみんなの中には「もう話し合いはいいよ。先生達が決めてくれた方が楽だ」と思っている人もいるようですね。先生たちがなぜみんなに決定をゆだねているのか、なぜ話し合いをしてもらっているのかちょっと考えてみてください。「自分たちで決めて自分たちで実行する」入学以来みんなが実践してきたことです。もちろん何から何まで生徒たちでということはできません。でも生徒たちでできることもありません。「生徒でできることは極力生徒が行う」というのが先生たちの希望です。だから範囲ぎりぎりのところまでみんなに決定をゆだねてきました。鎌倉自主行動でも宿泊研修のキャンプでも。そのたびにみんなはたくさん話し合いをしましたよね。

話し合いでは時に紛糾し、火花を散らすこともありました。さらに実行するとなると問題が発生したり、失敗して挫折したりすることもありました。自分たちで決めなくたっていい、こんな大変なことはもういいと思った人もいるでしょう。先生たちはその大変さをみんなに体験してほしいのです。自主的に行動することがいかに大変で難しいことかを味わってほしいのです。集団が何かを決定することの難しさ、決めたことを実行することの大変さ、そして成功した時の喜びを味わってほしいのです。

自主性って言葉でいうのは簡単ですが、実行するのは難しいいです、責任も大きいです。生徒の自主性が大事ってよく言われますが、本当の意味での自主性をみんなに考えてもらいたいのです。経験を通して学んだことは奥が深いと思います。










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