勉強もスポーツも全力で取り組む：スタンフォード大学（アメリカ）

2024年8月13日 06:56

これまで調査や研修、旅行で訪れた海外の大学を私個人の視点でレポートしています。

同大学は2015年にアドミッションの調査で訪れました。

スタンフォード大学は、1885年に創立されたアメリカの名門私立大学です。カリフォルニア州にあり、シリコンバレーに近いバロアルト市に隣接しています。学部生は約7千人、大学院生は約1万人で、教職員は約1700人です。研究中心の大学で、あらゆる分野でハイレベルの研究が行われています。伝統的な大学の枠に収まることなく、自由で冒険的な学術研究が行われているのがスタンフォード大学の持ち味です。自由でオープンな校風を重視し、学生たちの要望にも耳を傾けながら社会の変化に対応してカリキュラムを変更するなどの柔軟性も見られます。

「西のハーバード」と呼ばれることがありますが、ハーバード大学とはちょっと雰囲気が違うように感じました。さらに最近（2024年）のタイムズ世界大学ランキング(THE)では、オクスフォード大学に次いで世界第2位に位置付けられており、アメリカではハーバード大学を抜いてトップにあります。

世界大学ランキングはこちらで確認できます↓

シリコンバレーはイノベーションを次々と起こしています。その原動力となっているのがスタンフォード大学と言われています。スタンフォード大学での研究が実用化の可能性を生み出し、起業に結びつくことも少なくないようです。一方、シリコンバレーもスタンフォードに大きな影響を与えています。学生にインターンシップの機会を豊富に与え、シリコンバレーで働く卒業生同士のネットワークも強固です。初任給が10万ドルを超える卒業生も少なくないと聞きます。そうした環境の刺激を受け、起業精神旺盛な学生が多く育っており、スタンフォード大学で設立された企業もたくさんあるそうです。

キャンパスは美しく広大で、3310ヘクタール（千代田区の3倍）で全米有数の広さを誇っています。確かに実際に訪れてもその広さに圧倒されます。学生の大半を収容できる学生寮やゴルフ場、乗馬コース、ハイキングコースなどもあるというから驚きます。建物はカリフォルニア州の伝統であるスペインのコロニアル様式で統一されています。ロダンの彫刻コレクションなどもあり、カリフォルニアの穏やかな気候の中で学生たちがのびのびと生活している様子がうかがえます。課外活動に参加する学生も多く、スポーツの強豪としても知られています。2021年の東京オリンピックには50人以上（卒業生を含む）のアスリートが参加し、多くのメダルと取ったというからすごいです。おそらくパリでも活躍する人は多かったでしょう。

現役の学生によるキャンパスツアーが毎日行われています。大学の成り立ちやキャンパスのさまざまな建物にまつわるエピソードなどを聞きながら周る、約1時間のツアーです。日本でこのようなツアーが行われている大学はあるのでしょうか。私は聞いたことがありません。

大学ホームページ↓

アドミッションオフィサーのレクチャーから

合格率 5％くらいの超難関校です。出願に際して学力は最も重視されますが、それ以外の点も含めて全体的に評価されます。高校教員による英語の推薦状が 2 通必要ですが、スポーツなど課外活動の指導者などからの推薦状を加えることもできます。

単に勉強ができるだけでなく、チャレンジ精神に富む学生、起業家精神が旺盛な学生、知的好奇心のある学生、発想豊かな学生、国際的視野を持つ学生、独創性のある学生などが求められているようです。スタンフォード大学のコミュニティーの一員として他の人と協力し、他に良い影響を与え、共に学べる学生が望ましいとのことでした。最近では花巻東高校の佐々木鱗太郎選手が進学することで話題になっていますが、スポーツ強豪大学としてスポーツに秀でた学生も求められています。

せっかくなので、推薦状を書く立場の者としてどのような推薦状がよいか質問してみました。生徒の人物像がわかる「エピソード」を読みたいという回答でした。活動のリストや成績などは他の書類を見ればわかるので、授業にどのように参加しているか、どのような貢献をしているか、他の生徒にどのような影響を与えているかなど生徒の特性がわかるような「物語」を書いてほしいと言われましたた。大事なのは、何を経験したかではなく、そこから何を学び、自分の人生にどのように繋げているかということで、これは前の記事で紹介したハーバード大学と共通する点でした。