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教師の私が修学旅行で失敗したこと 

失敗その1

その年は和風旅館の大部屋で生徒が寝泊まりしていました。就寝時刻になっても寝る生徒はほとんどいません。夜中のおしゃべりが楽しいのはいつの時代も同じです。教師もそれを承知で見回りをします。

就寝時刻を少し過ぎた頃に部屋をまわると小声で話す声が聞こえます。障子を開けて「早く寝なさい」と声をかけました。1時間ほどしてまた行くと起きている生徒がまだいるようです。障子には一部ガラスが入っているのでそこから覗くと布団がごそごそ動いています。今度は廊下で軽く咳ばらいをして通り過ぎました。さらに1時間後に見回ると部屋はシーンとしています。どうやらみんな寝たようです。

人数を確認しようとそっと障子を開けて中に入ろうとしたその時です。「ガシャーン!」 大きな音がしました。私が障子に躓いたのです。「何の音!」「だれ?」 生徒は一斉に飛び起きました。

まさに「寝た子を起こし」てしまいました。

失敗その2

2日目は京都市内の班別自主行動の日でした。教員は手分けしてチェックポイントに行き、やって来る生徒たちを待ちます。5月でしたがその日はとても暑い日でした。朝から夕方までずっと同じ場所で待機するのも疲れます。すべての班が無事に通過したことを確認してホテルにもどろうと地下鉄に乗ったときはぐったりでした。

座席に腰を下ろした私はついウトウト。気がついたら電車内が薄暗くなっています。他の乗客はだれもいません。さらに電車は引き込み線から車庫に向かっている様子です。このまま車庫に入ってしまうのかと私はあわてました。

どうしようかと思っているとやがて電車は方向転換をして本線に戻り始めました。どうやら一時的な作業だったようです。ほっとしましたが、眠気は一気に覚めました。車掌さんは私が居たことに気づかなかったのでしょうか。


失敗その3

生徒と教師全員で座禅を体験しました。時間は30分間です。ほとんどの生徒が座禅は初めてらしくみんな緊張した様子です。日ごろ問題行動の多い生徒も神妙にしています。

本堂でお坊さんの法話を聞いた後、座禅が始まりました。目を閉じていてもお坊さんが歩いているのが気配でわかります。「バシッ!」と音がしました。だれかが警策で打たれたようです。

うっすらと目を開けて見てみました。何と部活の鬼顧問として恐れられている体育科の教師でした。普段「喝を入れて」いる彼が喝を入れられています。続いて「ワル」の生徒が打たれました。「お坊さん、さすがによく見抜いているなあ」なんて思ったそのときです。肩に「バシッ!」と衝撃を感じました。私の邪念が見抜かれたようです。






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