3クロス

放し飼いを望むけれど、放し飼いだとちょっと寂しい。 そんな感じで暮らしています。

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とある猫の個人的な思い出(1)

~私のはじまり~ 私は三毛ネコだ。本州の寒い地方の田舎で、冬に生まれた。 ちなみに母も三毛だった。 しっぽが長い、くっきりした毛色。私もこれらを受け継いだようだ。 母が住んでいた家は牛飼いだった。 近所の人はこの家を「牛乳屋」と呼んだ。二百人ほどの集落に、朝絞ったそのままの牛乳を一升瓶に入れ、配達用の自転車て配っていた。 朝絞ったそのままとは、文字通りしぼりたてである。牛の体温がそのまま感じられる牛の乳を、私と同じように近所の人間たちも分けてもらい、お代を払ってくれた。

    • とある猫の個人的な思い出(3)

      ~無我夢中~ 新しい家に突然放り込まれて、私はひたすらミーミーと鳴いた。 少年は私を見るなり、「なんだこれ!」と言って近寄ってきた。 おばんつぁんは「なんとまあ小さいこと!」という意味の方言を発したようだった。 目に入るものすべてが初めてのものばかり。しかも少年の掌は私がすっぽり収まるのにちょうどぴったりだ。私はとりあえず目の前で動く少年の手と取っ組み合いを始めた。 少年はこの遊びが楽しいようだ、しばらく付き合ってやることにした。 とにかく夢中だった。遊び始めるとここが

      • とある猫の個人的な思い出(2)

        ~突然の屋移り~ それは雪の降る寒い日だった。奥羽の山々を越えた雲から降りては止み降りては止み、する夕方に、突然、黒いバイクがやってきた。 見たところ五十過ぎのおやじだ。がっしりして、黒縁のメガネをかけている。 茶の間に上がり込み、牛乳屋のせがれと何やら話している。すると、どうやら私を見て手を伸ばしてくるようだ。 こんなおやじ知らないぞ、牛のにおいもしないし。と思っていたら、私を自分の懐にしまい込んだ。 母親は心配そうに鳴いているがおやじはお構いなしだ。牛乳屋に軽く挨拶する

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