とある猫の個人的な思い出(2)
~突然の屋移り~
それは雪の降る寒い日だった。奥羽の山々を越えた雲から降りては止み降りては止み、する夕方に、突然、黒いバイクがやってきた。
見たところ五十過ぎのおやじだ。がっしりして、黒縁のメガネをかけている。
茶の間に上がり込み、牛乳屋のせがれと何やら話している。すると、どうやら私を見て手を伸ばしてくるようだ。
こんなおやじ知らないぞ、牛のにおいもしないし。と思っていたら、私を自分の懐にしまい込んだ。
母親は心配そうに鳴いているがおやじはお構いなしだ。牛乳屋に軽く挨拶する