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パリ ゲイ術体験記 vol.31「XL男優とムソルグスキー」

ゲイ映画ではないヘテロ•セクシャル(異性愛)のエッチ映画なんてものを観に友人に連れ出された日に、帰りに寄ったパリのブローニュの森で、さっきまで映画の中で演じていた男優の主役といきなり出逢って話しかけたら、スクリーンで見た彼の商売道具を惜し気もなく私の目の前でご披露される..
このあまりに奇妙な話は、私のような人間を惹き付ける得もいわれぬ怪しさがこの偶然を導いたような気がしてならない。

森で度肝を抜かれて半ば放心状態で帰宅した私は、まったく知らなかったその男優の事を調べまくった。
男優は持ち前の巨大な御神体を売りにしてヒットしたポルノスターで、映画界デビューの頃は美男で容姿端麗、しかもポルノではない一般映画の役者であったらしい。
今はヘテロ•セクシャルのポルノ映画のみに出演しているが、実際は完全なるバイ•セクシャルであるであるとも文献には書かれてあった。
自分で得られた彼の情報はこれだけだった。

森で出逢った時に電話番号をくれと言われて渡した時に「3日後に電話するから」と言って去っていった男優氏だが、その3日後にちゃんと電話をかけてきたので几帳面な性格な人なのだと思った。
「あの日は君が声をかけてくれて嬉しかったよ。あの場所でストレート•ポルノの役者の俺なんかの事を知ってるやつなど、まずいないからな。で、折角だから家に一度遊びに来れば?家にはでっかい犬もいるし小鳥も何羽もいるぜ。どう?」
自宅デートのお誘いの電話には違いないが、でも犬と小鳥って...? 幼児園児ならまだしも、そんなものに釣られて出かけていく成人などはまずいない筈と思うのだが。

怖いもの見たさもあって男優氏の宅に出かけていけば、そこはなかなかに変なアパートだった。
ヴェルサイユ宮殿の鏡の間を真似たつもりか、壁から天井までオール鏡張りのサロン。その広い部屋の真ん中にバスタブが置かれていて、地方の田舎にありそうな趣味の悪いラブホテルのよう。
話をしてみると彼自身は人懐こい性格の人だけど、見かけはマグロ漁師とか引越作業員とか土木工事の親玉風で、過去に美男男優でならした欠片を見つけ出すのが正直難しい保存状態ではある。

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