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朝が来る前に

高校1年の冬からずっと好きな曲

「朝が来る前に/秦基博」

なんとなく寄ったTSUTAYAでCD借りたい気分になって
たまたま手に取ったのが『Documentary』っていうアルバムだった
一度、音楽番組でmiwaさんと共演しているのを観てから気になっていたのと
アルバムのジャケットに一目惚れして 借りた

家に帰って聴いていたら、「朝が来る前に」で無意識に作業している手を止めていた

YouTubeで検索するとPVがあった
今宿麻美さんと秦さんが恋人の設定で
ごくありふれた恋人の日常がいくつか
でも秦さん演じる彼氏が亡くなって
亡くなった後、彼女が過ごす日常が描写されるんだけど、それが切ない
ちょっとしたことでも 彼と過ごした日々を重ねる感じ

一番好きなのは
夜明け前にマンション飛び出して、走って川沿いに向かうところ
(リンクで貼ったYouTubeのURLにはないのだけど...)
朝日が昇る頃、川べりで彼氏の幻と最後のお別れ
日が昇っていくとともに 彼はだんだん薄くなる
透明になるって感じ 
彼女の涙、とても美しかった
泣いているけど 彼の姿を目に焼き付けようとしているところも
最後1分の今までの思い出をいくつも写すところ、泣いた


この曲を聴くと思い出すのが、
『ムーンライト・シャドウ』
吉本ばなな著の『キッチン』に収録されている短編

ざっとあらすじを書くと
恋人の等を事故で亡くした主人公・さつき。
彼の死を乗り越えられず、ろくに眠れない生活を送っていたさつきは夜明けのジョギングを日課とする。
熱いお茶を持って、彼との思い出が詰まった橋の上で一休みしていると
うららという女性に声をかけられ、仲良くなる。

さつきが うららに、この街に来た理由を尋ねると

『うん。知ってる?もうすぐここで百年に一度の見ものがあるのよ。』

その”見もの”とは
”七夕現象”といって大きな川のところで死んだ人の残した思念と残された人の悲しみがうまく反応することで かげろうとなって死んだ人が残された人の前に現れる、という現象


うららもまた、変な形で死に別れた恋人と最後のお別れをするために この街に来たのだ。

さつきは等を見た
さつきは橋の上から、等は川の向こうから お互いを見つめあった

だいすきな描写の一部分

―しかし、夜明けの最初の光が射した時にすべてはゆっくりと薄れはじめた。見ている目の前で、等は遠ざかってゆく。私があせると、等は笑って手を振った。なつかしい等、そのなつかしい肩や腕の線のすべてを目に焼きつけたかった。この淡い景色も、ほほをつたう涙の熱さも、すべてを記憶したいと私は切望した。彼の腕が描くラインが残像になって空に映る。それでも彼はゆっくりと薄れ、消えていった。ー

この部分と さっき言っていた「朝が来る前に」のラスト1分前と重なる

悲しさの中に美しさがあること
その美しさの中は 当人にしかわからない相手への気持ちが詰まっているんだろうな
その悲しさは辛いとか、苦しいとかマイナスな気持ちだけじゃなく 幸せもあるのかな
なんて感じている


久々に大好きな曲のことを考えられた
幸せだなぁ





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