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ひだまりの家「改正版」



私は、いつものように
犬の散歩に家を出た。
いつもの散歩道を歩いていると
どこからか歌が聞こえてきた。
「おーてーてんぷら
つーないでこちん」♪

私は微笑ましい気持ちでクスッと笑った。

真っ赤な夕焼けがとてもせつなくキレイで 
ボーっと眺めていた。

会社や友達とのすれ違いで悩んでいて
モヤモヤした気持ちが続いていた。
パァーっとため息をついた。
もう少し散歩したら家に帰ろうと
思っていた。

その時看板が目に入った「ひだまりの家」

「こんな場所にこんな看板あったっけ?」


今まで歩いてきた道がサーッと見えなくなった。
そこに1人の女の子が駆け寄ってきた。
「こっちこっち」と人懐っこい笑顔で手を引いてくれた。
私が「ここはどこ?」
と聞くと女の子は、いたずらっぽく
「どこだと思う?」
私「わからない」

女の子「きっとわかるよ」


たどり着くと一面に緑のじゅうたん
そこで、さっきの歌をみんな楽しそうに歌っている。
ゾウや犬や子ども達

ここには、大人は誰1人いない子供の世界
さっそく犬のラテが原っぱを走りまわっている。
おーてーてんぷら つーないでこちん♪
輪の中に入り
みんなで大きな声を出して手を繋いで笑いながら踊りながら歌った。
原っぱのすみに大きな木のまるいテーブルが置いている
そこには、とても美味しそうな料理とデザートが並んで木の可愛らしい椅子が
テーブルのまわりに置いていた。


どれだけの時間が過ぎたのか?わからなくなっていた。
でも外は夕暮れのまま
ちょこん とランプがテーブルに飛び乗り
オレンジ色の灯りをともしてくれた。

女の子が「みんなーそろそろ ご飯にしょう」
と声をかけると

「おなかすいたー」

「おなかすいたー」みんなテーブルの椅子に
 座りました。

 「いただきまーす」 

ラテにはドッグフード
私も椅子に腰掛け
「いただきます」とお箸を持った。

「そうめんがある」
そうめんを口にすると
頭の中に映像が浮かんできた。
「台所?」
おばあちゃんが台所でお出しを作っている。

おばあちゃんは、いつも そうめんつゆ
手作りだった事
「美味しい」胸が熱くなった。
「あっ!アイスクリーム」
おじいちゃんと小さな私の姿も見える。
おじいちゃんが「アイス食べるか?」
小さな私「うんチョコいっぱいね」
いつも おじいちゃんはチョコレートシロップ
かけて食べさせてくれた。
大粒の涙があふれてくる
女の子が「どうしたの?」
女の子は、心配そうな顔をしている。
女の子をぎゅっと抱きしめた
私は「また遊びに来てもいい?」
女の子は首をふり
「まだやり残した事あるでしょ?」
なんとなく気がついていた。
おばあちゃんじゃないかって‥
「まだ、気持ちの中の根っこ片付けなきゃね」
女の子は言った。
それから「いっぱいいっぱい幸せになりなさい」と‥

私は「うんうん」
涙を流した。

女の子は「うん」とうなずき「あなたなら大丈夫よ」




その瞬間 女の子はおばあちゃんの姿になり
おじいちゃんもいる。
昔飼ってた犬達も
みんなが「いつも見守ってるよ」
と言ってくれた。
私も「また会おうね ありがとう」と手を振った。



心が折れそうな時思い出したら
いつも見守ってくれてる
そう思うと怖くない そんな気がした。

#おじいちゃん  おばあちゃんへ

#童話

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