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運命共同体 【超ショートショート】


インターネットでカスタマイズされた広告が表示された。

『危険! 使いすぎ注意』
『沼る白髪染めシャンプー』
『運命を共にするパートナーがいる人限定!』

 そそられる宣伝文句が並んでいる。

「女って『限定』に弱いのよネ~」と、思わずポチる。

届いた白髪染めシャンプーを使ったが、髪色に変化はない。
「なーんだ、やっぱりね」
分かってたもーん、とうそぶいて肩をすくめる。

ところが翌朝、目覚めてビックリ。
髪が若返ったように黒くなっている。
なぜかお肌もツヤツヤ、ぷるっぷる。

ひとつだけ気になることと言えば、髪だけ静電気体質になったことか。
夫が隣に座ると、髪が夫の方にふよふよ~っとなびく。
なんとなくアンテナっぽい。

「まいっか!」

使うたび若返るのが嬉しくて、毎日使う。

あれあれ?
いつの間にか夫の髪は真っ白、肌はしわしわ。
なんだか干からびている。

もしかして?
『運命を共にするパートナー』といえば……。
は~、なるほどねえ。

その日の夜、いつも通り白髪染めシャンプーを手に取ろうとして……、
ちょっぴり少な目にした。

えへへ、ゴメンね?
でもさ、あなたも妻が綺麗な方がいいでしょ?


#超短編小説


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