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羊たちの沈黙での思い出

今までほとんど映画を見てこなかった私は、たまたま見た「スピード」に出演していたキアヌ・リーブスが大好きになり、10代後半から映画を見るようになりました。


当時、まだパソコンを持っている方も少なく、情報を集めることが今のように簡単にはいかなかったので、キアヌがどの映画に出演しているのかを知ること自体が大変でした。
映画雑誌の「スクリーン」を買って、キアヌの情報が載っていないか楽しみに確認していたのは良い思い出です。


そんな中で、1番楽しみにしていたのは借りてきたレンタルビデオの本作がスタートする前に流れて来ていた「映画情報」でした。
それを見ては、好きな俳優が出ている映画の情報が流れてこないか、何か面白そうな映画はないかを楽しみにチェックしていました。
後はただひたすら映画を見てはキアヌが出ていないかをチェックしていました。
キアヌがきっかけで映画を見るようになり、見ているうちに映画の素晴らしさを知るようになりました。

そんな中で出会ったのが「羊たちの沈黙」です。
定期的に見たくなり、何度も見ている作品なのですが、初めて見たのは
16、7歳くらいだったのではないかと思います。


今では行動分析をして犯人を特定する捜査があるのだということがメジャーな世の中になりましたが、当時はメジャーではなかったですし、映画の内容もセンセーショナルだった為、記憶に強烈に残りました。

その数年後に「神戸連続児童殺傷事件」が起きます。
事件から犯人逮捕までの数ヶ月の間は毎日このニュースが報道されていました。
事件に進展がなくなると、多くの報道番組が「犯罪心理に詳しい専門家」を招いて、どのような人物が該当するかを聞いていました。
「無職の成人男性で社会に馴染めていない人間」を犯人像として話していた専門家が多かったです。
そんな中、ある番組にロバート・K・レスラーというFBIの行動科学捜査官がテレビに出演してプロファイリングをしていました。
レスラーは「日本人が驚愕するような若い犯人が逮捕される。犯人は社会経験のない未成年である可能性が高い」と話したのです。
私は日本の専門家の言っていることの方が信ぴょう性が高いと思いました。子どもがあんな残忍な犯罪をするなど思いも寄らなかったです。
何故か「ここは日本だから、アメリカのような凶悪犯罪が起こる訳ない」と思ってしまいました。
なので日本の犯罪に対して、アメリカのFBIがいくらプロファイルしてもあまり当てにはならないのだなと思いました。
私が神戸連続児童殺傷事件の犯人を知ったのは、たまたま見ていたテレビで流れてきた速報でした。
速報の字幕に「犯人は14歳の少年」と書かれているのを見た時は衝撃を受けたものです。
そしてレスラーと羊たちの沈黙が頭に浮かんだのです。
犯人の行動分析がいかに凄いのかを感じた出来事でした。

それから程なくした頃、たまたま立ち寄った本屋に「FBI心理分析官 異常犯罪者たちの素顔に迫る衝撃の手記」という本が置かれていることに気付きました。
その本が目に入った時、レスラーを思い出しました。
買う気はありましたが、ふと著者を見るとレスラーの名前が載っていました。


レスラーは1974年にFBIに設立された行動科学課において、「羊たちの沈黙」の主人公であるクラリスと同様に犯人と対談してプロファイリング技術に貢献した人物です。
この本は、シリアルキラーと対談してきたレスラーが、犯人たちがどのような環境で育ち、どのように犯罪を犯したのかを書いている軌跡です。

後々、レスラーが「羊たちの沈黙」に数々のアドバイスを行なってきたということを知りました。
映画としての上映は「羊たちの沈黙」の方が先ですが、小説としては先に出ていた「レッド・ドラゴン」がレスラーはリアリティがなくて不満があった為、「羊たちの沈黙」の際はかなりのアドバイスをしたそうです。


好きなものが好きなものと繋がった時、何かご縁を感じたりすることはありませんか?
私にとって「羊たちの沈黙」は色々なものが繋がり、より思い出として強烈に残ることになった作品のひとつです。


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