話の話

私の話をしよう。きみは私よりも細いゆびできめの細かい肌だった。間を持たせようと言葉を並べ立てた。硬い皮膚をさらに硬くするかのようだった。沈黙は回遊魚の死のようにこわいかのようだった。皮膚は白く薄くてほおのほくろが大きいのとちいさいのと中くらいので反転した夜の空の写真のように見立てることとした。冬の寒さを身体が思い出していた。
私の話をしよう。布団の中にある親指と人を指さない人差し指のあいだは綿の室内履きに食い込まれた違和感で居心地悪くしていた。はだかのあしではもう歩けないようだった。長袖の君しかしらない私はもう肉体が憎くなりかけていた。

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