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【創作大賞2024】モウオソテーの夢話

 私はみるからに古い塔を登っていた。
この塔はある漫画家のアトリエであり、
一階にいる漫画家から
「いちばん上の部屋に行ってこい。そこに大事なものを置いてきてしまったんだ。早急に頼む!」
と言われて今登っているのだ。

 この塔は石造りで妙に変わった塔なのだが、そこからファンタジーやSFの名作が生まれたと言われたら納得する造りだった。

 途中で古くから漫画家のアシスタントをしている人を見かけた。
現代ではみないような巨大な機械の前で肩を震わせている。

「傑作になるわ…!これは!」

何やら感動しているみたいだ。

「どうしたんですか?」

「あら、新人アシスト君じゃない!今原稿をこの機械で見ていたのよ。修正点がないか見てくれる機械なんだけど、内容ちょこっと読んじゃって。今回の新作もきっと傑作だわ…!」

原稿を持ってはしゃぐアシスタント。
相当すごいみたいだ。

「そうなんですか。じゃあ上に取りに行ってって話この新作につながるのかな?」

先生が忘れ物したみたいで、と目的地について話した。

「あら、また上に忘れ物したのね、あの先生。きっとそうよ、早く行きなさい。あ、あの道よりもこっちの方が早いわよ。」

「ありがとうございます!」

アドバイスをもらって上へ私は進んでいった。

 上に行くに行けば行くほど塔は歪で不思議な形をする。
壁は秩序ある石の積み方からぐるぐる回るような形へ変わり、不思議な像が並び始める。
像は道を案内するかのように並び、最上階へたどり着いた。
像が沢山ある中央。水流れている台座があり、紙が浮いている。
直感であれが忘れ物だと感じた。
台座に近づき、紙を掬い上げる。
紙にインクが入るかのように絵が浮かび上がった。
鳥のような悪魔のようなキャラが出来上がってゆく。
そこで私はこの塔が、なんなのか分かった。わかってしまった。
青ざめながら急いで戻る。
私がこの紙を渡せたがどうかはわからない。
だって目が冴えてしまったからね。

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