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心霊現象・・・信じてませんが (985文字)

 心霊現象(超常現象(現在までの自然科学の知見では説明できない現象。)の中で、とりわけ霊魂が起こしていると考えられるもの。)って、毎年夏になると多く語られます。

 多くの人はテレビや舞台で語られる心霊現象を怖がっているようです。しかしこれは心霊現象自体を怖がっていると言うより、心霊現象を語る語り口の巧みさによって怖い気持ちにさせられているというべきでしょう。

 私は、魂や霊の存在を信じていませんが、「安全な状態で危険な目にあいたい。」という人類の性質のとおり「心霊現象の話を聞いて怖がりたい。」と思っています。

 心霊現象界には、語り部(「かたりべ」。昔から語り伝えられる昔話、民話、神話、歴史などを現代に語り継いでいる人。)と称される人が、有料で聴衆を集めて心霊現象を語る、というビジネスが成立しています。
 その語り部は、大概奇抜な外観をしており、独特の話術で心霊現象を語り、たまに「妖魔退散!」などの呪文的な言葉を大声で叫び、その会場に侵入してきた霊的なものを追い出した風な演出を加えます。

 このような興業は、宗教儀式の変異したものとして昔から行われて来たんだろうなぁと思います。私もこういうのって嫌いではありません。

 日本においては古典的な怪談があります。その怪談中では心霊は魔力を持つことがあり人間の脅威となっています。この種の怪談から得られる「心霊を怒らせると怖いことになる。」という教訓は、「未知なるものには気をつけを。」という一般化された抽象的教訓に昇華(「しょうか」。物事がさらに高次の状態へ一段と高められること。)され、子供が事故なく成長するために必要な一般則になっていきます。
 私は心霊現象を語ることはエンターテインメント(entertainment 演芸。余興。)であると思いますが、副次的に子供の育成に意味があると思っています。

 以前、アメリカの犯罪ドラマ『CSI 科学捜査班』で、心霊現象的な事件を扱った際に登場人物が、「もし心霊が存在するなら、犯人が(自分を)襲ってくるときに、僕を可愛がってくれた(亡くなった)祖父や祖母が知らせてくれたと思うんだ。でも、そんな声も聞こえなかったし、助けてもくれなかった。つまり、心霊なんてないんだ。」と言うシーンがありました。

 見事な背理法ですね。私もそう思います。

#創作大賞2024 #エッセイ部門 #心霊

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