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北東北温泉紀行 〜 岩手、秋田、青森

《通過または訪問した地域の多くが集中豪雨に襲われました。甚大な被害が出なかったことを祈りながら、投稿をしばらく控えていました。是非再訪したい地域です。復旧と復興を願いつつ、ご紹介します。》

北東北の名湯

 新緑の頃、岩手花巻温泉奥の大沢温泉、岩手山中腹の網張温泉、秋田乳頭温泉郷の突き当たりの蟹場温泉、八幡平の後生掛け温泉、日本海を望む不老ふ死温泉と、岩手・秋田・青森の北東北の5つの温泉を旅した。其々それぞれに特徴があり、いずれも、もう一度訪れたい名湯揃いだ。

 大沢温泉は、30年ぶりで、前から気になっていた「湯治館」を選んだ。風情があるし、値段が安い。素泊まりなら¥3,000程度、夕食付き宿泊料金が¥6,000 ほどで、地元の食材を使った夕食には心がこもっており、量はそれほど多くなく、大変美味しい。風呂も豊富だ。浴衣を着た外国人観光客が結構泊まっていた。

 紅葉と新緑の頃が一番良く、湯治場の部屋は、夏は暑くてあぶが多く、冬は大変寒いそうで、2番目に良い季節に訪れたようだ。

部屋から豊沢を望む
木造の宿には風情と温もりがある
自炊用コイン投入式ガスコンロが各部屋にある
地元の食材を使った夕食

 翌日は、岩手山の網張温泉に立ち寄った。中腹にあり、あいにくのガスで眺望は限られたが、白濁した硫黄泉で、晴れていれば、湯船からの景色が楽しめるのだろう。隣接のビジターセンターに立ち寄り、岩手山のジオラマを見ながら自然の説明を聞いた。

網張温泉入口
岩手山縮小模型〜位置関係がよく分かる

 乳頭温泉郷の一番奥が蟹場がにば温泉だ。宿泊客11組の内、5組が外国人。よく調べているなと感心する。1組はアジア系で、外交官ナンバーの軽自動車。タイ語で話していた。3組は欧米人で、どうもスカンジナビア系らしい。最後の1組は英語圏の欧米人。

 さて、あたりが薄暗くなった小雨の中、小道を宿の浴衣で散歩している外国人がいる。ああ、旅情に浸っているのかなと思ったが・・・行き先は露天風呂だった。ちなみに、私も入りに行くと、若い欧米人カップルがいるので、遠慮してそのまま引き返し、翌朝夜明けに出かけた。誰もいない露天風呂の横を流れる渓流の音だけが聞こえる風情なのだが、熊が出そうで落ち着かず、口笛など吹いて早々に引き上げてしまった。宿の人に聞くと、この辺は熊は出ないとのことだったが ・・・

露天風呂につながる小道
側を渓流が流れ、風情満点
夕食は地元素材

 夕食の時、おばさん3人組が「本当は鶴乃湯に行きたかったけど、最近は全然(予約が)取れないのよ」と嘆いていた。確かに、鶴乃湯は人気のようで、いつも予約がいっぱいだ。宣伝恐るべし。

 晴れ渡った空と新緑の木立が爽やかな八幡平アスピーテラインを気持ちよく走り、着いたのは後生掛ごしょ掛け温泉。八幡平の中腹に位置する、歴史ある湯治場だ。標高が高く、わずかだが残雪があり、水芭蕉が咲いていた。

残雪の下に水芭蕉が咲く
後生掛け「湯治村」

 白濁した硫黄泉が中心だが、湯船にはいくつか種類があり、温度が高く、湯量も豊富。木の壁に囲われた湯殿の風情が歴史を感じさせる。

後生掛け温泉

 周辺には自然散策路があり、白煙を上げる源泉を覗くことが出来る。温泉の王者の風格がある。

 最後に訪れたのは、青森県西津軽郡、黄金崎の不老ふ死温泉。海岸の露天風呂から、日本海に沈む夕日を眺めることができる。ここまで来ると、交通の便が悪いのか、お客は日本人ばかり。しかも、津軽弁が飛び交う。地元の人が多い。

不老ふ死温泉の日本海に面した露天風呂

 海岸の露天風呂は夕日を見る入浴客で混み合うので遠慮したが、部屋からも楽しめる。地元で愛され、ローカル色満載の忘れがたい温泉であった。

竜飛岬から北海道を望む

 北東北良いな、とのことで予定を変更して、津軽半島の西北端・龍飛崎まで足を伸ばした。道中、宝富士・阿武咲・錦富士・尊富士など地元出身の大相撲力士、あるいは太宰治ゆかりの記念館など、立ち寄りたいところを全て飛ばし、一直線。下北半島には行ったことがあるが、龍飛崎は初めて。海岸沿いの道は、気持ちよく、変な話、北海道の海岸を走っているような風景が印象的だった。

 東京から周遊1,500キロに及ぶ大旅行となったが、北東北は、何度でも訪れたい場所になった。

(了)



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