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はじめに②CHAGE&ASKAはイチゴと大福であって、断じてイチゴ大福ではない

こんにちは。
最近は妻とDr.マリオで対戦ばかりしているのですが、妻が強くて強くて全く歯が立たず悔しい思いをしている将一です。

ということで前回の続きです。

前回の記事↓↓↓


グループ名に「&」が付されている


「CHAGE&ASKA」と「ゆず」は、
・二人共にメインボーカリストシステム
・二人共に作詞作曲をする
という二つの似通った点があることに触れました。似通っているにも関わらず、なぜCHAGE&ASKAにだけ僕は心を奪われてしまったのか。そして奪われ続けているのか。
前回はそこまでで終えましたので、今回はその理由を紐解くところから始めたいと思います。

「CHAGE&ASKA」と「ゆず」の違い。それは確固たるグループか、ひどく曖昧なグループかの違いだと言い切ってしまいましょう。前者がゆず、後者がCHAGE&ASKAです。
グループ名に冠された「&」は、強力な接着剤ではなく、刹那的な、いつでも剥がせるセロハンテープのようなものだと僕は定義しています。

たとえるなら、「イチゴ大福」がゆずで、「イチゴ」と「大福」がCHAGE&ASKAです。
「牛丼」がゆずならば、「牛皿」と「ご飯」がCHAGE&ASKAです。

一緒にせずに敢えて分ける。別々に提供する。イチゴ大福ではなく、イチゴと大福を別々に、けれども同じ皿に乗せる。食べる側は自由に食べていい。同時に口にすればそれは結局イチゴ大福の味になる。しかし、それは厳密にはイチゴ大福の味ではない。イチゴ大福の“ような”味はするけど断じてイチゴ大福ではない。あくまでも「イチゴ」と「大福」なのです。

イチゴ大福がわかりづらいので、もう少し具体的に見ていきます。
承知の通り、これまでゆずは1998年のメジャーデビュー以来一度もソロ活動をしていません。(北川悠仁単独でドラマ出演だったり楽曲提供はありますが、ソロアルバムやソロライブはないですね)。

おそらくですが、ゆずの二人は結成当初から「二人で一つ」の意識が強かったのではないか。まさに「イチゴ大福」のように。それゆえ、ソロで活動する気など毛頭無かったように感じます。
楽曲にもその想いが表れています。
例えばメジャーデビュー曲の『夏色』。この曲は詞・曲共に北川悠仁ですが、なんと歌い出しは岩沢厚治です。しかも驚くなかれ、Bメロもサビもメインボーカルは岩沢です。
自分で作った曲を相方にほぼ歌わせ、自分はハモりに回る北川。
「どっちが作ろうが『ゆず』の作品なんだから、その曲に見合った方が歌えばいい」
そういう気持ちでお互いが楽曲作りを行っている気がします。
実際、ゆずの曲はそういう曲が非常に多いです。1曲の中でお互いがメインとコーラスを目まぐるしく入れ替える手法は、ゆずの楽曲の大きな特長だと言っていいでしょう。

これは全くの余談ですが、噂によると尾崎豊の代表曲『15の夜』の歌詞、
“盗んだバイクで走り出す 行く先もわからぬまま”
という箇所が何やらバッシングを受けているのだとか。
「バイクを盗むなんて犯罪じゃん!」、と。
コンプライアンスなどで何かと窮屈な現代らしい叩かれ方ですが、この『夏色』の歌詞、
“この長い長い下り坂を 君を自転車のうしろに乗せて”
という部分にもバッシングは来ているのでしょうかね?
「自転車の二人乗りを助長しかねない!けしからん!」みたいな。
だとしたら、こういうバッシングをしている人のほうがけしからんですな。フィクションに目くじらを立てないでほしいものです。

はい。話を戻します。
一方のCHAGE&ASKAは、無節操にソロ活動をしまくっています。
しまくっていると言うと少し語弊がありますね。
正確に言うと、デビューから10年弱はCHAGEによる『ふたりの愛ランド』(「石川優子とチャゲ」名義)と、ASKAによるソロシングル2枚ソロアルバム1枚(「飛鳥涼」名義)のみのリリースだったので、しまくっていたわけではないですね。まだおとなしかった。
ところが、10年を過ぎた頃からタガが外れたかのようにお互いソロと「&」を平行させていきます。

ところで、「&」というのは、別のものと別のものを組み合わせるときに用いられる記号です。
僕からすると、いわば「コラボレーション」の要素が強い印象を受けます。
かつて様々なアーティスト同士が企画物としてコラボレーションをしてきましたが、その際に「&」を使うイメージがあります。
(「桑田佳祐&Mr.Children」や「浜崎あゆみ&つんく」など。他多数)
つまり、CHAGE&ASKAも「CHAGE」と「ASKA」のコラボレーションなのです。
しつこいようですが、「イチゴ」&「大福」なわけです。


結局「CHAGE」であり「ASKA」である


元々「CHAGE&ASKA」というのは、結成時から個と個の融合でした。
極簡単に説明すると、二人は大学在学中に別々でエントリーしたヤマハポピュラーソングコンテスト(通称「ポプコン」)の福岡大会でそれぞれ賞を取ります(CHAGEがグランプリ、ASKAが最優秀歌唱賞)。
それを目の当たりにしたヤマハの主催者の
「同じ大学なんだし、どうせなら一緒にやってみたら?」
という鶴の一声がきっかけで組んでみたのだとか。

「その手があったか!」と意外な発想を面白がったCHAGEに対して、ASKAは初めは難色を示したそうですね。
「僕らは別々のミュージシャンなので組むことなど考えられない」と。
しかし、九州大会に進めるのはグランプリのCHAGEだけ。ASKAは断腸の思いで、ただし一緒に組むのではなく、あくまでも「CHAGEのサポート役」として出ることにしたそうです。つまり、グループ名を作らずに『チャゲ』として初めて二人で九州大会に出場したのです。
この辺は実にASKAらしいエピソードだと思います。推測ですが、より大きな規模の大会の雰囲気をASKAも味わってみたかったのではないでしょうか。

ところが結果は振るわずに落選。優秀曲賞は取るものの本選には進めませんでした。
面白いのは、ここで「はい、さようなら」とはならずに、落選がよっぽど悔しかったらしく「よし!次の大会こそ頑張ろう!」と二人は結束を強めたことです。おそらくお互いに何かしらの手応えを摑んだのでしょう。
まるで、かつてラディッツを倒すべく悟空とピッコロが手を組んだように。
………ちょっと違うか。

更に面白いのは、ここでも頑なにグループ名を付けなかったことです。あくまでも別ミュージシャン同士のコラボレーションかのごとく『チャゲと飛鳥』として活動を始めます(後に、とあることがきっかけで『チャゲ&飛鳥』となる。デビュー後しばらくはカタカナと漢字表記でした)。

互いにコンテストで賞を取った者同士、当然プライドもあっただろうし、何よりもお互いに相手の実力を認めていたと思うのです。ただ、目の前の大きな目標(ポプコン優勝)を摑むためにもインパクトは重要、チームを組まない手はない。けれども俺は俺、お前はお前という気持ちは捨てない。
「イチゴ」は「イチゴ」のままで、「大福」は「大福」のままで、姿形はそのままで。
仲間でもあり好敵手でもある。なんだか男心をくすぐりますよね。
「CHAGE」であり、「ASKA」である。
二人で一つではなく、二人のシンガーソングライターが敢えて一緒にやっている。しかもお互い強烈な個性を持っていて、音楽性も全く違う二人が組んでいる。ここがCHAGE&ASKAの大きな魅力の一つであることは間違いありません。
そして、普通は単発で終わる企画物さながらのコラボレーションは、30年近くも続きました。

さて、そんな二人のシンガーソングライターによるユニットコンビ「CHAGE&ASKA」の作品スタイルは、例外はあるにせよ基本的には自分で作った曲は自分で歌います。CHAGEが作曲した曲はCHAGEが、ASKAが作曲した曲はASKAがメインを務め、他方は引き立て役に回ります。それはコーラスだったりユニゾンだったり、はたまた全く参加しなかったり。
そう、アルバムの中にはソロボーカルの曲が収録されていたりもするのです。まるで「あくまでも別ミュージシャン」であることをアピールしているかのようでもあります。

CHAGE&ASKAのデビュー曲は『ひとり咲き』で、作詞作曲共にASKAです。ですので、メインはASKAが歌っています。
ゆずの『夏色』は、作曲者ではない方が平気でメインボーカルを務めているのに対して、『ひとり咲き』のメインはASKAオンリーです。これがチャゲアスのスタイルなのです。

1stアルバムのラストに収録されている屈指の名曲『終章(エピローグ)』はCHAGEによる作曲です(作詞は田北憲次との共作)。ですので、メインボーカルはCHAGEです。
CHAGE&ASKA最大のヒット曲『SAY YES』の作曲はASKAです。つまり、もうおわかりですね。メインボーカルはASKAです。

メインボーカルではない方が如何にして楽曲のクオリティーを豊かにしていくか。ここもCHAGE&ASKAの楽しみ方の一つです。
上でハモるのか下でハモるのか、追っかけや別メロのカウンター、メインの入れ替え、そしてユニゾンなど、パターンは多岐に渡ります。

『ひとり咲き』を例に見ていきますと、メインメロディーは終始ASKAが歌います。BメロからCHAGEがユニゾンで登場します。
ユニゾンだからといって侮る事なかれ、ここで一気に楽曲に拡がりが生まれます。ツインボーカルの醍醐味と言っていいでしょう。いや、もっと言えば、CHAGEとASKAにしかできないユニゾンです。当たり前ですけど、そうなんです(ちなみに、CHAGEのハモりパートはたったの2箇所です。たったの3語と言い変えてもいい。しかし、これがまたとんでもないくらい良い味を出しています)。

CHAGEの声もASKAの声も唯一無二な代物です。ASKAの物真似をする人はそこそこいるけど、未だかつて似た人を見たことがありません。CHAGEに至っては物真似をする人すらいません。おそらく真似ができないのでしょう。それほどにオリジナルな声質だと思います。
どことなく憂いを帯びた、それでいて力強いASKAの声と、繊細ながらもしっかりと芯の通ったCHAGEの声。
そんな二つの声と声が重なり合うのですから、それはもう高級なミルフィーユを頂いているようなものです。
『ひとり咲き』、是非ご賞味あれ。

CHAGE&ASKAの音楽的評価って?


さて。
僕はなぜCHAGE&ASKAに惹かれ続けているのか。2回に渡ってつらつらと書いてきました。
二人ともメインボーカルで、二人とも作詞作曲ができて、二人とも歌声が素敵で、個性的な二人のシンガーソングライターが組んでいる面白さがあって、などなどと、なんやかんや挙げてきましたが、一番大きな理由はやっぱり楽曲が良いってことです。
「結局そこかい!」
はい、結局はそこなんです。

もちろんCHAGE&ASKA以外のアーティストも多少は聴きます。でも、やっぱり最終的に「あー、チャゲアスが一番だわ~」と思うわけです。
CHAGE&ASKAの作品、本当に素晴らしいんですよ!特に僕はアルバムをお薦めしたいんです!
CHAGE&ASKAはアルバムアーティストだと個人的に評価しているくらい、とにかくアルバムが秀逸なんです。すべて名盤だと太鼓判を押します!

と・こ・ろ・が!
僕は見てしまったんです。知ってしまったんです。
音楽雑誌でも個人のブログでも何でもいいんですけど、よく「邦楽名盤ランキング」っていうのがあるじゃないですか?
ほぉほぉ、どれどれ、と本当に何気なく眺めていただけなんですけど、なんとどのランキングにもCHAGE&ASKAの存在がないのです!!!
これはショックでした。「チャゲアスって全然評価されていなかったんだ…」と。
世間知らずとは正に僕のこと。
“チャゲアスの中の蛙、邦楽界を知らず”
でした。

そこで!です。
僕は俄然興味を抱きました。「じゃあこの名盤ランキングに入っているアルバム達はさぞや魅力的なアルバムなんでしょうね」、と。
恥ずかしながらほぼチャゲアスしか聴いてこなかった人間なもので、殆ど知らないアーティストばかり。当然聴いたことないものばかり。

「聴かずにウダウダ言うのはフェアじゃないし、だったら聴いてみよう!」



というわけで、このnoteでは、世に言う「名盤」なるものを色々と聴いてみて、感想などを書いていこうと企んでいます。

CHAGE&ASKAはなぜ名盤ランキングに選出されないのか?、
CHAGE&ASKAのアルバムは本当に名盤ではないのか?

そんなことを探っていければいいなぁと考えています。

そうこれは、「名盤」とは一体何なのかを探る長く壮大な旅でもあります。果たしてたどり着けるのか、着けないのか。それは誰にもわかりません。

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