ゆる反戦『自動巻時計の一日』田中小実昌
進駐軍の医学研究所に勤めるおじさん「おれ」のなんでもない一日。
このおじさんがゆるくていいんだなぁ~。
勤務時間中に仕事をしていると、損をしている気分になる。
なので、弁当は昼休みではなく、10時半ごろに隠れて食べる。
仕事とは別にアメリカの小説の翻訳をしていて、それが小説内小説のように入る。ちなみにこれも、勤務時間中に隠れてやったりもしていて、小遣い稼ぎになっている。
最初は趣味でやっていたが収入となると仕事なので、そろそろうんざりしてきている。
パワフルなカカアがいて、やたら「おれ」を叱りつけて(叱って当然の内容)険悪な雰囲気になっている。
ぼやいて曰く、
「愛というのは、敵をも愛するというところにある。カカアのことは顔を見るのも嫌だけれど、一緒に暮らしている。これはつまり結婚当初より愛がある状態だけれども、あいつは分かっているんだろうか」
うーん。夫婦って深いな……。
おぉ、……
反戦だ。
なんか、素晴らしい。
言葉が、ゆるい。誰かと戦ってない。
革命なのに。
すごい……。
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