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老女の性『疼くひと』松井久子

70歳の女性がSNSで知り合った55歳の男性と性的関係を結ぶ。

そんな宣伝文句が気になって読んだ。
感想。
もう一声!

性描写はかなり濃厚。けど、老化要素が足りない!

思えば、老年男性の性は森鷗外の昔からあったけど女性版はなかった(私が知らないだけだったらごめんなさい)。70歳にして初めて喜びを知る。それは素晴らしい。
私がうーん、と思ったのは、老女の悩みが
①見た目
②世間のおばあさん像との違い
③性的に大丈夫かどうか
おもにこの辺だということ。

もっとリアルに老いてほしい。
段差でつまずく、目がかすむ、耳が遠い、ど忘れする、堅いものが噛めない、息が上がる
こういうのが欲しい。
身体の不自由さを感じ、それでもなお性愛から離れられない女の業を見たかった。せっかく15歳下のイケメンと関係を結ぶんだから。

森鷗外『ヰタ・セクスアリス』谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』の魅力って私にとってはそれなんだよぉー。
年をとっても美女およびイケメンにモテたってだけなら、単なる自慢話になっちゃうからね。

イケメン(55)の口説きメールが妙にリアルで、そこは笑ってしまった。

さぁ。
オシャレ主人公よ。
疼くのは分かった。
もう一歩、老いてみよう!

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