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こんなに強くてカッコいい類人猿『ゴリラ裁判の日』須藤古都離

主人公は手話ができるゴリラのローズ。
手話ができることを珍しがられて、カメルーンのジャングルからアメリカの動物園にやってくる。
ある日、柵の内側に落ちてしまった男の子の安全を守るため、夫のゴリラが射殺される。
自分の夫が何もしていないのに射殺されることはおかしい、ローズは裁判を起こし、動物園を訴える。

このヒロインが賢く、強く、かっこいい。
言葉を覚えたことにより知性が発達したというけれど、私より賢い気がする。

次のステップへの切り替えの早さとか。
話せるゴリラのキャリアには前例がなく、何にも縛られなくて自由なのかもしれないなー。
ジャングルで暮らしていた、根本的な生きる喜びを忘れていないこととか。食事、昼寝、子供の世話。昼寝、私も好きだけど。現代社会でそれ言うと怠け者に思われる。
夫が殺され「ゴリラより人命優先だから仕方ない」と言われたとき、おかしいと判断できて裁判起こせることとか。
私だったら絶対丸め込まれるもん。ゴリラ仲間もいないわけだし。そのへん意志が強い。

ゴリラ学の権威・山極壽一先生の本を読んでいたので、最初からローズ推しだったけど、監修に山極先生が関わったと書いてあり、よっしゃ、と思った。

全世界にたった一人しかいない超マイノリティのローズが人権を勝ち取ってゆく、痛快な小説だった。

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