Google re:Workから「効果的なチーム」を学ぶ
自己紹介
ライフイズテックのサービス開発部でインフラ/SREグループふ〜みんです。よろしくお願いします〜!
インフラ/SREグループとしてはライフイズテックのプロダクトに横断的に関わっているのですが、僕は主に公教育向けプロダクトに携わっています。
プロダクトの開発には、PdM、カリキュラム開発メンバー、開発エンジニア、デザイナー、QAエンジニア、僕たちSREエンジニア、その他、様々な人たちが、全国の公教育に携わる方々(生徒さん、先生方)により良いプロダクトを届けるため、夏の暑さに負けないぐらいのアツさで日々奮闘しています。
リモートワークって結局どうなのさ?
さて、簡単な自己紹介を終えたところで、いきなり本題です。
ライフイズテックでは、コロナ禍以降リモートワークを主として業務を行っています。とはいえ、オフィスに行って業務をしている方もいれば、自宅で業務している方もいらっしゃり、働き方は割と自由に選べる形になっています。とはいえ、オフィスの方は席数の関係もあり、そんなに人数は入れないですが😓
個人的には前職でもコロナ禍に伴いリモートワークが主だったこともあり、この辺は割と戸惑いなくJOINできたかなと思いますが、やはりリモートワークでは、今までオフィスでは解決できていた事が解決しにくく、かつ課題が隠れがちになってしまうというのを、この3年ほどリモートワークを実施して感じています。
ただ、人間というものは恐ろしいもので、その事すら「そういうものだ」という事で順応してしまう生き物なのです。
ディスプレイ越しの会話で伝わりにくい感情の機微へのもどかしさ
オンラインのMTGでは全員が揃うが故に言えない事
あまりストレスをためないように感情をおさえる術
ちょっとした事を相談したくても、相談する機会=MTGをセット、なので心理的ハードルが上がって、つい億劫になってしまう
このような感覚はみなさん、あるのではないでしょうか…?そして、この感情を持った後、「どうしようもないや」とそ〜っと心に閉まっていく。
ただ、これを繰り返すと、個人だけではなくチームにも澱(おり)のように積もっていきます。これはあんまりよろしくないですよね。
「自分はあんまりリモートワークがうまくフィットしないな〜」と思っている人は、大体こんな感じかなぁと思います。
じゃ、どうすればいいの?
よくあるのが、マネージャーがうまくマネージメントで、とかの話が出ますが、プロジェクトを進めていく主役はメンバーなので、メンバー同士のコミュニケーションについて、1人1人が少しだけ配慮することで、円滑になっていくんじゃないかなぁと思います。
注)「配慮」と「遠慮」については僕たちのグループではクレドの中で明確に使い分けていますが、その話はまた今度どこかで…
そこで改めてですがGoogle re:Workを参照してみましょう。Google re:Workはご存知の方も多いかもしれませんが、「働く」ことについて、Googleやその他組織のデータや事例に基づいて、どうすれば改善していけるかのヒントが書かれたガイドブックのようなものです。
全ての組織や会社にそのまま適用できるものとは限りませんが、非常に良い指針になるものだと思っています。
様々な内容が「テーマ」や「ガイド」として分類されていますが、今回は「ガイド」にある「『効果的なチームとは何か』を知る」から「効果的なチームに固有の力学を突き止める」のセクションを見てみることにします。
効果的なチームに固有の力学を突き止める
1セクションだけなので、細かい記述は読んでいただければと思うので、ここでは軽くまとめて書こうと思います。
このタイトルだけ見るとなんじゃらほい?って感じですが、出だしに書かれているように、効果的なチーム(英語ではeffective teams)は「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」だと書かれています。
賢い人がメンバーだから、コミュ力がある人が多い、とかではなく、各メンバーがどのように協力しあってるか、がキーポイントだという事ですね〜
じゃあ、その協力し合ってるっていうのは、どういう要素があるの?というのを調査すると、因子として下記の5つがあったよ、と記述されています。
心理的安全性
相互信頼
構造と明確さ
仕事の意味
インパクト
これらは、下記の図のように1. 心理的安全性が最も土台となり、その土台を元に数字の順に積まれていくものと示されています。
それぞれを普段のあるあるを元に噛み砕いていければいいなと思います〜!
1. 心理的安全性
これは色々な本も出ていますし、色々なところで言われているところなので、みなさんもすでに認識済みだったり、実践されている方も多いかなと思います。
ここでは、
と記載されています。
ちょっと小難しい言葉で書かれていますが、要は「あれ?認識してなかったの自分だけ?」とか、「今、Aさんが発言した内容について全く分からなかったけど、これみんなは理解できてるのかな?」という時に、ちゃんと聞く(聞いてもらえる)ことができる空気が普通にある、という事だったり、「これ、今やった方がいいと思うけど、でしゃばりだと思われないかな?」という時に、きちんと行動を起こしてくれた方に感謝の言葉が出る場になっている、という事です。
これ、言うは易しなのですが、その場の空気というのは本当に普段からの配慮や言葉によって醸成されていくものだと思っています。
例えば、質問があった際には「あ、良い事聞いてくれてありがとうございます!それは〜」と言う感じで進めるだけでも、質問者の心理的負担はぜんぜん違いますし、質問を受けた方も「その視点が抜けてた(or 伝え忘れてた)」という気づきになっているはずです😀
たまに、この心理的安全性の文章の主語を自分ではなく他者にして考えたりされる方を見たりしますが、そうではなく、「自分が他者に対して丁寧に接することができているか?」が、良い心理的安全性の空気感を醸成することに繋がっていくと思うので、それを意識できればいいかなと思います!
2. 相互信頼
言ってることはバチバチ分かるけど、なかなか噛み砕いて言語化しにくいのがこれですw
これはお互いに信頼をしている関係が築けているので、「お願いされた事、きちんとやってあげないとみんな困るもんな」、「お願いしたし、その辺はきちんとやってくれてるでしょ」という意識が各メンバーで醸成されている事だと自分なりに解釈しています。
とはいえ、これだけだと、割とハードル高いな〜と思っちゃいますが、逆を返すと、「お願いされた事だけやってれば良くて、言われた事以外は知らないよ」とならない事です。
これに関しては、お互いがお願い事をしっかりすり合わせ、背景も共有できるまでになっておく事が重要かなと思います。背景をすっ飛ばして依頼していくことが通常になってしまうと、依頼される側は毎回確認をしなければならず、心理的な負担が大きくなり「もう言われたこと以外知らん」となっちゃうかなと。
相手側が欲している情報の全てがわかる訳ではないですが、何回かやり取りするうちに相手が欲している情報もある程度分かってくると思うので、できるだけ先回りして情報を提供できればいいんじゃないかなぁと思います。
3. 構造と明確さ
OKRについては導入している/していないがあると思うので、ここで触れる事はしません。OKRに関してもre:Workに詳しく記載されているので、そちらを参照してみてください。
まずは、上の引用文にある文章を分解してみましょう
個々のメンバーが理解しておく重要なこと
職務上で要求されていること
その要求を満たすためのプロセス
メンバーの行動がもたらす成果
目標は
具体的で取り組みがいがあること
達成可能な内容であること
注)OKR的には、目標はストレッチゴールであり、「達成可能」は100%ではなく「目標の 60~70% の達成率が理想的」とされています。
これでも、まだ、ちょっと分かりにくいですね。ここでre:Workの記事の中に「チームの効果性に関するディスカッション ガイド」がありますので、それを確認してみましょう。チームが効果的なチームとなっているかどうか、をアンケート(もしくはディスカッションする際のポイント)として利用できるように用意してくれているものです。
そのディスカッションガイドの「構造と明確さ」の項目には、このような質問が記載されています。
ちょっと分かりやすくなりましたね。
メンバー各自が、プロジェクトに対する目標とその達成に至るためにやらなければいけない事をきちんと認識し、そのプロジェクト達成のために適切な権限(責任)移譲と意思決定プロセスが明確化されている状態です。
個人的に特に大事だなと思っているのは、適切な権限(責任)移譲です。よくあるアンチパターンとしては、マネージャーは「任せている」と思っているが、メンバーは「毎回、確認を取らなければいけない」と思っている状態です。
これは完全にお互いのミスコミュニケーションです。目標設定やフィードバック、普段の1 on 1できちんと期待値を話しあっておくことで大きく改善できるところなので、しっかりお互いの認識をすり合わせておきましょう!
また、これはメンバー間でも起こりうる問題です。あの人に任せた・任された際にきちんとお互いの期待値(達成すべきこととプロセス)を話しあっておくことで、これも防げることだと思います。
いろいろ書きましたが、マネージャー⇔メンバー、メンバー⇔メンバー、どの関係性においても「心理的安全性」、「相互信頼」があってこそ、きちんとしたコミュニケーションが実行でき、お互いの役割を健全にすり合わせできる、というのはみなさんも肌感として持たれているのではないかなぁと思います。
4. 仕事の意味
「仕事の意味」とこられるとなかなか壮大なテーマで、ドラマだと1クール行けそうな感じがしますが、re:Workには下記のように記述されています。
割とザクっとした言葉が書かれており、なかなかイメージがつきにくいのですが、同じページの下部「チームに必要なものを見極める」の章にある言葉が分かりやすいので引用すると「『チームのためにしている仕事は、自分自身にとっても意義がある』と思えるか」になります。
これは「やりがい」といった話しもありますが、それよりも自分が行なっている仕事に対して
メンバーがきちんと謝意を伝えてくれているか。もしくはマネージャーがきちんとフィードバックをしてくれているか
困った時にはメンバー、もしくはマネージャーがヘルプをしてくれるかどうか
によって意義を感じる事ができるとされています。
謝意はSlackでも普段のMTGでも伝えることができますし、無関心に見える言動をしてしまうこと(その気がなかったとしても)が、他者にとっては一番辛いと思うので、個人的にも一番気をつけています。
「仕事なんだからやって当たり前」「そういう役割なんだからしてくれて当然」という考えもたまに目にしますが、個人的にはあまり好きではありません。
一緒のチームで働くメンバー、みんな人間です。「やってよかったな〜」と感じて「そこまで言ってくれたのに、もうちょっとこうすればよかった」ということが、次の仕事でもっと活躍しようと思える原動力になるはずです。やって当たり前の空気感は何も生み出しません。
5. インパクト
さてさて、いよいよ最後になりました。インパクトとは、の項目です。
これは結構分かりやすく、みなさんも自分の仕事が組織の目標達成につながっていることが実感できるほど、自分の力を発揮しやすくなる、というのは肌感としてあるのではないでしょうか?
逆に自分の仕事が、組織の目標と繋がっていない時ほど、仕事へのモチベーションを保ちにくくなるのは自明かなと思います。
メンバー間のコミュニケーションでも、「Cさんが〜〜という取り組みをやってくれたおかげで、リリース以降に障害があってもすぐに復旧できて便利なった」や「Dさんがドキュメント化してくれたおかげでXというオペレーションがスムーズにいった」、結果、こういう組織的にこういう成果につながっているというのは、マネージャーからのフィードバックもそうですが、メンバーが少しづつ声を出すことで初めて伝わるものですし、言われて嬉しくない人はいません。
他者の仕事をただの他人事ではなく、俯瞰してみると自分の視野の外の成果にもなってることに気づき、自分の成長や視座を上げるきっかけになったりもするので、(上から目線にならないように気をつけて)やってみていただければいいな〜と思います。
まとめ
ちょっと長くなってしまいましたが、Googleのre:Workにある「効果的なチームとは」という部分を抜粋して、まとめてみました。
フルリモートでも取り入れられる観点や、工夫できるMTGでの空気作り、など色々と実行できることがあると思います。特にKPTなどで、KEEPで上げていた点を意識せずにできるようになった時などは、がんがんWINセッションをするなど、良い取り組みはどんどんできるんじゃないかなぁと。
とはいえ、書きながら自分自身でも、まだまだ出来てないなぁと思うところも多々あります。
ただ、必ずこの2つの
・常にGiveの精神を持つ
・Taker(自分だけの成果にしない)にはならない
をいつも気にするようにしてチームのコミュニケーションをしているつもりです。(出来てなかったらごめんなさい🙇♂️)
今まで、re:Workとか知らなかった、な方もいらっしゃると思います。全部が全部取り入れられるものではないかもしれませんが、知識として土台に持っておく事で、色々な場面で役立つ学びもたくさん書かれています。ぜひぜひ参考にしてみてください!
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