【エッセイ】バカボンド
夜中に酒を飲みながら、いい気分で音楽を聴いていると、家の外でさっきから定期的に異音がする
まぁ、そのうちに消えるだろうと思って飲み続けてても、やはりいいトコで「ガチャ...ガチャ」と響き渡り、正体不明のその音に色んな想像が芽生える
熊か?
今日の職場でも、やたらと熊出現の話題が聞こえてきていた
募る不安
確かめなければ、ゆっくり飲めない
なんびとたりとも、俺の飲みの時間を妨げる奴は許さん!
何か護身用の武器はあったかな
野球はやらないからバットはない
ゴルフクラブは先週、粗大ゴミでゴミ処理場にタンスと一緒に運んだ
日本刀がある
模造刀だが、昔、イオンのヴィレッジヴァンガードで¥12.000で買ったのが飾ってある
サヤから刀を抜き、震える心臓で玄関を開き、夜闇の中へ進む
街灯から照らし出された道路に落ちる自分の影が井上雄彦のバカボンドに見えた
音のした方へ歩みを進めるとペシャンコになった金属片
車が通る度に踏みつけられ、不可解な音を出していた犯人がこれだった
車が途切れた道路に入って、それを拾い上げ草むらに投げ捨て、ため息をつく
深夜の国道で、寝巻き姿の酔っぱらった中年が日本刀を持って、街灯の下に立ち尽くす…
行き過ぎる車がやけに膨らんだ曲線を描いて僕を避けていく
「今、パトロール中のパトカーに職質、受けたら、この状況、なんて説明するだろ...」
よーし!飲み直しだー(^^)v
こんなにも自分を俯瞰で見れる性格を少し呪うんだ♪
Mr.Children『渇いたkiss』(2002)
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