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【エッセイ】ビーズクッション

「…うん、いいねぇ」

「何が?」

「らしくなってきた」

国分町に近い、ビル街のB1の牛タン屋で、たらふくご馳走になり、散々、語った後、ほろ酔いで地上に上がった時、白い吐息を吐きながら親友に言われた

仙台駅までソロソロと賑やかなアーケードを学校の帰り道みたいに2人で歩き、地下鉄に乗って親友の寝蔵へ

男の単身赴任といった殺風景な部屋

テレビもない
テーブルもない

リビングの真ん中にトトロみたいな異彩を放つ物体

「…これ、何?」

「ビーズクッション」

単身赴任が決まった時に奥さんが真っ先に買ってくれたという

マイクロビーズで敷き詰められた体の形に絶妙な角度でフィットするクッション

ふるさと納税で取り寄せた炭酸水の段ボール箱をテーブル代わりにして、秋田の酒を酌み交わしていても、クッションから離れられない

話をさえぎって近めのトイレやベランダにタバコを吸いに行った後でも、そのまま真っ直ぐにクッションに吸い寄せられてしまう

「これ、どこに売ってるの?」
「ドン・キホーテに売ってる?」
「¥2.000〜¥3.000で買える?」

早速、仙台から秋田にハイウェイバスで着いたその足でイオンへ

ない…

ドン・キホーテへ

ない…

ニトリへ

あった!!

異文化に触れて、またひとつ心地よい暮らしを手に入れた♪

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