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【エッセイ】指図された明日

「“10代は美しくて、輝いてて、素晴らしいもんだよ”って言葉あるでしょ?
あれは年寄りが使う言葉だよ
本当に10代のド真ん中に居る時は、ドン底!」

僕の心の師匠が語った言葉だった

例えば、僕は青春時代を美化したノスタルジーをテーマにした文体が得意だ(と思ってる)

だけど、それは自分がその時代を陽のあたる場所で有意義に過ごしたからだと今なら思う

イジメや仲間はずれ、部活動のしごき、家族のいさかい、病気やケガの中に居て、その時間を生きた人ならば、その時代を思い出したくもないと言う人も結構いるだろう

大好きな人のCDアルバムだった

発売を待ちわびて、いつもはレンタルをダビングするんだけど、その人だけは正規品を新品で買って、雀の涙ほどの売り上げに貢献したいと思えるような人のCDアルバムだった

だけど、最初は聴いたけれど、もう何年も押入れの中で埃をカブってた

それはそのアルバムの楽曲が残念ながら自分の好みから外れていたからだと思っていたが、そのアルバムを聴いてた、苦しかったその当時を思い出したくないという事が先だったという事を知った

時が解決するなんて安易な言葉は使いたくないが、今ならそのアルバムを優しい気持ちで聴ける

迷い苦しんだ日々が答えになる事を身を持って知ったから

自分の思い通りになんか人生は運ばない
きっと自分の力だけでは、どうしようもない事の方がほとんどだ

だけど、巡り巡って自分の思い描いてた世界が見事に自分に重なる時が来る

大人に指図された明日を送る与えられた青春時代よりも、美しく輝く時代は、その先に必ずある

この思いをどうやって、10代に伝えよう

その手段を試行錯誤して、今夜もまた眠りつく

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