【エッセイ】痴漢
痴漢に遭った事がある
男が痴漢に遭うなんて信じられないかも知れないが、あれは今で言う紛れもない痴漢だと思う
人もほとんど通らない、いつもの駅構内のストリートライブ会場
歌の合間にトイレを済ませて、いざ戻ってきたら、後ろから全力で抱きつかれた
力の入り方ですぐに解ったのは
「男ではないな」
腰の辺りに両手を回して巻き付いて、いくら振りほどいても離れようとしない
横目で振り返ったら真っ黒なサングラスをした子供みたいな女のコ
女のコだと解ったから、殴り倒すわけにもいかない
「何!?何!?」
加減をしながら振りほどこうとするけど、ガッチリ後ろから抑えつけられてる
「ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!」
そう叫びながら、走って逃げ去って行った
それを見てた観客の女性が
「駅員さん、呼びますか?」
僕はあまりにも唖然として、首を横に振るのが精一杯
だけど、そのサングラスの横顔、何処かで見たような...
全然、気にしてないから、一段落したら、今度はサングラスなんか外して、正面から抱きついて来い!(笑)
いいよ
あなたとなら いいよ♪
米津玄師『カナリヤ』(2020)
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