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なぜ社労士なのに障害福祉を始めたのか

平成31年2月から障害福祉サービス事業所を運営しています。今は就労継続支援B型事業所が2か所、就労移行支援とB型の多機能型事業所1か所で計3か所になっています。
社会保険労務士でしたし、これまでもパチンコと着物とイベント業界にしかいなかったので、障害福祉に元々いたわけではありません。でも思うところがあって始めました。

念のためですが、真ん中でピースしてる人はボクではありません。


障害年金以外の支援が必要と感じたから

障害年金は有期年金といって、いわゆる「更新」が予定されている制度だ。「更新」は正確な言葉ではなくて、それっぽく言うと「障害状態確認届の提出」になる。一部永久認定認定の人もいるが、大部分の方には更新がある。

つまり、保険者は、障害年金受給者の障害状態を数年おき(人によって異なる)に確認して、等級を上げたり下げたりすることをあらかじめ予定している、ということになる。
ただ、保険者はそう思っていても、受給者側はまさか自分が止められるとは毛頭思っていないことが多いので、時折不幸な事故が発生して「止まった!」「等級が下がった!」などが生じてしまう。

なので慎重な方は更新についてもご依頼をいただくのだが、その際、受給してからその後は今までどう過ごしてましたか?と聞くと、「何も変わっていません・・・」「体調が悪いままです・・・」と言う方が非常に多いのが現状である。特に精神の障害ではそうだ。

うーん、我々の行っている障害年金の請求代理とは、そして障害年金とはどういう給付なのだろうか。

障害年金は「生きる希望」というのはキラい

障害年金は「生きる希望」とか「素晴らしい業務だ」という社労士がいる。キラいと書いたが、文字数の関係で正確には好きじゃない、といったところだ。

まあそういう側面はあるだろう。お金に困っている請求者から、障害年金が支払われると決まったとき、そう言ってもらえることもあるだろう。それはそうだ。

でも社会保険労務士にとって障害年金請求代理は、支援ではなくあくまで法的サービスの提供なはずだ。委任業務遂行の結果として障害年金の給付が行われるだけであって、障害年金給付自体は仮に支援だったとしても、我々のやっていることは単に依頼された仕事をしているだけである。では社保取得とか法人業務は素晴らしい業務ではないのか、ということになる。

障害年金は単なる現金給付だ。
場合によっては、一番残酷な給付とも言える。その人の日常生活能力の減衰、日常生活の苦難などについて書面でのみ確認して等級を認定し「はい、いくらです」とお金を払って終わり、という給付だ。
総合支援全体の一部に過ぎず(総合支援法の一部ではないが)、あくまで年金制度の一部であるから経済的な給付で終わりなのだが、障害年金だけ見るとそういう言い方もできる。特別児童扶養手当を「生きる希望」という人はいないし、傷病手当金を「生きる希望」という人もいない。

たとえば支援職の集まりとかで胸を張って「私は社会保険労務士で障害年金の請求代理をしています。障害年金は生きる希望です!」とか絶対に言えない。「そ、そうですね」みたいな空気になり、苦笑されたり、場合によっては失笑されたり、「じゃあ俺たちのやってる支援はなんなんだ!生きる希望じゃないのか!」とか怒られたりするのが関の山ではないだろうか。障害年金はそれなりの現金が給付される貴重な給付だが支援の一部に過ぎない。

ということで、障害年金はお金だ、ということになるのだが、当たり前だがお金というのは使い方が大事だ。

たとえば遡及5年だと障害基礎年金でも400万円前後が一括で支払われるになる。こういう公的給付はちょっと他に想像がつかない。
だから遡及で請求して多額な入金が想定される際、ご家族が依頼者の場合には必ず「大きな額が支払われる可能性があること」「本人名義の口座に入ること」そして「そのお金をどう扱うか決めておいてください」ということを話している。
過去には兄弟が障害年金請求を依頼したものの、本人が「自分の金だ!」と主張して全てスマホゲームに溶けてしまうなど、浪費に回ってしまったことがあったからだ。
もちろん本人のお金であるし、スマホゲームが生きる希望でも別に否定しないのだが、いくらなんでも生活が苦しくて周囲が生活を支えている中、全てをゲームに溶かさない方がいいだろう。

ちなみにボクは浦和レッズサポで、Winnerを「レッズ勝ち」に賭けて購入しているが結構負けている。今年は勝ちたい。勝って欲しい。お金は大事だ。

生活が変わるようなことが良い

ここからは考え方の域になるが、「生きる希望」なんてものがあるとしたら、やはり日々の生活の中にあるのだろうと思う。

我々、社会人にとって24時間のうち3分の1は仕事をしているのだから、やはり仕事の時間というのは比率が大きい。そうすると、仕事とか就労というのは重要度が高いのではないか。ロスジェネの逆襲でも登場人物が語っていたが「仕事の質は人生の質に直結する」という言葉は至言だと思って、肝に銘じている。

それに障害年金請求代理という業務は、社会保障費を増やす仕事でもあることは間違いない。ぜひ障害年金を扱う社労士には一度そのことを考えてみて欲しい。

そう思ったとき、障害年金受給者が将来的に社会保障を担う側に再び回ってもらう仕事もしていかなければ、バランスが悪いのではないかという考えが常にあった。

障害年金以外にもお金を回す、実際に生活が変わっていくこと、将来的な就労、これらを考えたとき、就労移行支援をやるのが良いのではないかと思った。

ただ、実際にやったらやったで就労移行支援についても思うところが出てくるわけだが、それはまた先の話。

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