続コンプレックスVol.15
作家の村上龍さんが連泊してくれたことがあった。
勿論ボクはライブラリーに「半島を出よ」をはじめとした龍さんの本を並べた。
そして、龍さんにサインをしてもらった。
ついでなので家に有った龍さんの本を全部持って行き一緒にお願いすると
「これ、笹川さん個人のでしょ?」と、何故かすぐにばれ
「あれっ、なんで分かりました?」と悪びれもせず、であればとボクの名前も入れてもらった。
阿蘇のあの水害でボクの蔵書はかなりの数ダメになったのであるが、龍さんからサインをいただいた本は生き残った。
龍さんはJMM(ジャパン・メール・メディア)というメールマガジンの編集長をしている。読者が何十万人もいるという人気のメルマガである。
そこに、このように書いてくれた。
先週は九州に行っていましたが、隠れ家的なリゾートというのは、大分県の玖珠郡にある「○ASO」というオーベルジュです。
日本ではまだオーベルジュという形のホテル・リゾートが一般的ではないので、どういう旅館・ホテルをオーベルジュと呼ぶのかは曖昧ですが、
「○ASO」は和風のオーベルジュと呼ぶにふさわしいリゾートでした。
まず料理がおいしいです。和食ですが、ありがちなつまらない「創作料理」ではありません。
シェフの自己主張が抑えられていて、素材のおいしさを素直に提供するという料理の王道に沿ったもので、好感が持てました。
部屋はすべて離れになっていて、各部屋に露天風呂があり、また本棟には「スパ」があります。
トリートメントはバリ風で、技術は確かなものでした。
また従業員の接客態度も、充分に合格点をつけられるものです。
本棟のバーでは、九州の焼酎など地酒の他にモルトウイスキーやコニャックなどもそろっています。
レストランは、彼方に阿蘇の外輪山を眺望できます。
わたしが訪れたときは快晴で、その美しい景色に、最近の身体の不調を一瞬忘れました。
宿泊費は決して安くありませんが、それだけの価値はあると思いました。
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更に驚いたことがあった。
当時龍さんは、文芸春秋「文学界」に「心はあなたのもとに」を連載中であった。
そこに○ASOとそして私のことが5ページくらいにわたって書かれていたのだ。
龍さんから色んなことを聞かれ、気軽に話していたことがそのまま小説になったことに超ビックリであった。そして、それは私の宝物になった。