野口英世
渡辺淳一著 遠き落日を読んだ。
医学博士 野口英世の生涯を、かなり詳細に追ったものである。
野口英世は、現在の千円紙幣に肖像画が載るほどの著名な細菌学者である。
渡辺淳一氏は、直木賞作家で、色んなジャンルの作品を書いて、ずっとヒット作を連発していた日本を代表する作家である。
映画化されたものも多い(失楽園、愛の流刑地など)。本作も映画化された。
※小生、2008年に渡辺淳一氏と対談の機会を
頂いた。
その内容は渡辺淳一著「一度は泊まりたい
日本の宿」に掲載。
そんな氏が、何故 毛色の違った
野口英世の生涯を書いたんだろう?
と不思議に感じたが、私の疑問に答えるように
あとがきに書いてあった。
渡辺氏は、医学の道に進み細菌学を教わった時、
志賀、北里、秦など、日本高名な細菌学者は次々と登場してくるのに、一人、最も有名なはずの
野口英世の名前だけは、いくら探しても見つからなかった。
どういうことなのか?
先輩に尋ねると
「彼の業績にはいくつかの誤りがあるし、疑問も多くて」
と苦笑された。
渡辺氏にとって、それは一種の衝撃であり、
野口英世へさらに関心を抱くきっかけとなった。
とのことである。
渡辺氏は、作家デビューしてから
会津へ取材に行き、アメリカとメキシコにも取材で出掛け、
4年の月日を掛け書き上げたそうである。
野口英世が幼い時に手に火傷をしたのは有名で
あるが、彼があらゆる知り合いから借金を重ね
それを一晩で使ってしまうような奔放な人であったことを知っている人は少ないと思う。
また、黄熱病ほか、病原菌を発見したと言われているが、いくつかは間違いであったことが
後年明確になる。
中々、読み応えのある長編である。
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