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旅の「記憶」Ⅰ.はじめに


プロローグ

この<旅の「記憶」>は、
妻に任せきりで、何もせずじまいだった、                   二人の息子たちに書き残し、
せめても、私の人生の記憶の一端として、
語り伝えるものです。


放送大学で講座「Walking with Writers」を受講しました。   

イングランドの風景の中に各地を訪ね、その地と強く結びついた文芸作家たちの歩みを概観し、作品からの引用を実際に味合う趣旨でした。

講座はドーバから始まり、シェークスピアの「リア王」に触れて、カンタベリーではチョーサーを、ケンブリッジ、オックスフォード、ブロンテ姉妹をハワースに訪れて、各地を探訪しました。     

          

ドーバから湖水地方へ

そこに登場する英国北西部の湖水地方は、ウィリアム・ワーズワース夫妻、ビアリクス・ポター、サミュエル・テーラーなど、詩人や小説家、文筆家たちが居住して、活動する場でした。

彼らの足跡をたどり、その地を逍遥してみたいとの思いで現地を訪ねる準備として、ワーズワースの生活の場、レイクサイドの街、グラスミアとその界隈から下調べを始めました。        

湖水地方の自然と街

ネットによる画像では、グラスミアは、中世の佇まいが色濃く残る、由緒ある落ち着いた、グラスミャ湖畔の可愛らしい農村の街でした。

詩情溢れる静謐なグラスミアの街角には、観光案内の標識が、中には駐車場への道順を示す手書きの日本語による貼り紙も混じり、掲げられていました。       

グラスミアの景観

観光客への配慮のためとはいえ、街の雰囲気、景観とはいささか異にして、違和感を覚えさせられる程でした。                     


その後のコロナ禍もあって、この訪問は頓挫したまま今日に至っていますが、この印象は胸のうちでくすぶり続けていました。

日頃の生活を振り返ってみますと、思いがけず直面し、困惑するような状況も、一つの出会いとして捉えてみますと、貴重な経験だったとも云うことができるようです

一人の人間として、喜び、怒り、哀しみ、楽しみを通じて記憶に残り、時の経過と共に人生に彩りを添える、思い出に昇華させていくことになると考えるからです。


このような人、物、事との出合いへの期待、畏れ、不安を胸に秘めて、この「旅の記憶」を次のように書きしるします。

Ⅰ.はじめに(本稿)

Ⅱ.運河に流れるメロディー

Ⅲ.真っ赤に染まった大地

Ⅳ.友との別れ

Ⅴ.街づくりへの市民参加

Ⅵ.星降る夜のフェリー

Ⅶ.生活の場の試み

Ⅷ.エーゲ海への落日

Ⅸ.王様はお孫さんが大事

Ⅹ.お別れゴルフ

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