《詩-31》お出掛け

銀色の壁の上で踊る、スイングする木漏れ日。無数のカーブミラーの反射の形。
電線にしなだれる黄色い枝豆。嘘。マメ科の街路樹。
その、楕円の葉。風に乗って一枚、足元にやってきた。唇の形。空の投げキッス。
高い天の幕は、光でいっぱいの薄水色。
鳥が一羽、横切っていく。
帽子を押さえ、私はバスを待っていた。

陶器のテクスチャー。肌理。
ガラスの波、糸模様、光。
織物の幾何学。
人形の魂。視線の先。息づかい。
木目。細やかな磨き。
螺鈿。光の雪崩。

夜の街をバスで突き抜ける。両側どこまでも続く黄色い光の列。
目の前の大きな火星に向かって歩く。南には金星?まさか、フォーマルハウトだろう。北の薄いカシオペア座。月はまだ出ていない。
家屋の前に、猫。細身の、しなやかな、顔の小さな猫。2度、目が合う。不思議な気持ちになる。

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