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【書きコロ反省会】婚活魔王(コブつき)を、幼女が勝手にプロデュース ~不幸を望まれた人質王女が、魔王国で溺愛されるまで~

 皆さん、こんにちは。
 10月に発売した自身二作目の商業小説『祝・聖女になれませんでした。』が、つい先日……㊗続刊決定㊗となりました! 野菜ばたけです。

(ここぞとばかりに頑張って宣伝!)
(ここでくらいしかもう宣伝できないよ)
(大目に見てぇ……)

 さて今回は、書き出しコロシアムに出した自作の反省会をしようと思います。
 これを書いている現在は、FinalSetの順位公開前です。よって、順位の事は書きません(もしかしたら別のページで分析的に書くかも……)。

 ということで。

・小説ってどうやって書くの? どうやって書いたの? と思っている方
・小説執筆の勉強がしたい方
・『人の振り見て我が振り直せ』な方
・自分も読んだので、反省会を読んで答え合わせをしたい方

などなど……

 にとっては、ケーススタディの場にちょうどいい記事になるんじゃないかなと思います。
 勝手に反省会を始めるので、読む皆さまは、勝手にうまい事活用してください!笑


1.書き出しコロシアムとは

 まず、今回反省会をする作品を提出していた『書き出しコロシアム』について、説明をさせてください。

 書き出しコロシアムとは、X(ツイッター)と「小説家になろう」連動の、非公式イベントです。
 匿名で小説の冒頭3話(1話最大6000字)を1話ずつ投稿し、その度に作品の人気投票⇒3話目時点で他の参加作品よりも多くの票数を得票して優勝しよう! という感じの、小説で殴り合い勝ち残る催し
 詳細は、こちらから。

 今回は23作品がしのぎを削り合い互いに(作品で)殴り合う結果となりました。

2.書き出しコロシアムで得られるもの

 書き出しコロシアムで読者の反応として得られるデータは、大きく分けて以下の2つです。

①1話~3話、各話の読者離れ率と継続率

 1話公開するたびに、作品の人気投票があります。

 書き出しコロシアムでは

・1話公開時(1st Set)は23作品中5作品に、一人一票ずつ投票。
・2話公開時(2nd Set)は、上位4作品中3作品、その他19作品中3作品に、一人一票ずつ投票。(上位4作中の最下位と、その他19作品の最上位の作品が入れ替わる、敗者復活戦あり)
・3話公開時(Final Set)は、上位4作品中1作品、その他19作品中最大2作品(「該当なし」を選択する事も可能)に、一人一作投票。

 という感じで、投票が進んでいきます。

 投票結果の順位が高くなればなるほど、

 ●掲載順が上がる
 ●得票倍率がいい感じになる

 という恩恵があるのですが、前話の評価が次話の評価を押し上げている感じがちょっと『Web小説投稿サイトのランキング制度』に似ていると思いませんか?
 つまり、先日お勉強にお借りした『書き出し祭り』という場所でのチャレンジよりも、より実践的なデータが取れそう……という事です。

②1話~3話の、各話読了後の感想

 『書き出し祭り』と同様に、こちらでも有志で感想を書いてくれる方がいらっしゃいます。

 お祭りと違うのは、3話投稿がある事。そして各話数の公開期間が2週間ずつ開いているため、各話数読了時点での感想を貰える機会があるという事が、大きい。
 どこでどう思って、何がよかったのか。またはよくなかったのか。読者を惹きつけるための魅力ある冒頭18000字を書くためのヒントが転がっている可能性は、大いにあります。

3.今回の作品リンク

 という事で、今回反省する作品の1~3話のリンクを先に貼っておきましょう。

<婚活魔王(コブつき)を、幼女が勝手にプロデュース ~不幸を望まれた人質王女が、魔王国で溺愛されるまで~>
【 1話 】【 2話 】【 3話

実はこの作品……編集さんに見てもらって一度ボツを食らった企画の修正プロットで書きました!!

 最近、出版社の編集さんから企画を見てもらえる機会があったのですが、本作はその中で没になった企画に手を加えた作品だったりします。
 当時『パンチが弱い』と言われた本作。うまくパンチを作れたかと言われれば、中々むずかしいなぁというのが現状です。

 でも好きなんです。書きたいんです。諦めきれなかったんです!
 という事で、当初コロシアムにチャレンジしようと思っていた作品ではなく、今回こちらの作品で挑む事に。
 それもこれも、すべては皆さんからアドバイスをいただきたかったから。

 という事で、『アドバイスください会場』を作りました。こちらです。

 読んだ方に、読者アンケート的なものに答えていただければ、とても嬉しい。

 今回、読んだ方にどこが面白かったか、直した方がいいところはどこかを聞くのはもちろん、冒頭3話の途中で脱落した方・そもそも一話も読んでいない方にも、どこで脱落したのか、なぜ脱落したのかを率直に答えていただきたく、そのような設問も設けています。

 厳しい意見が飛んでくる可能性も、大いにあります。
 アンケートは匿名で行いますし、書き出しコロシアムがランキング的な催しである性質上、私の作品の順位に異を唱えたい人もいると思われます。

 それでも構いません。頂いた感想が私にとって有用か否か、本作または今後の作品に活かすかどうかは、私の方でうまく取捨選択します。なので回答者の方々には伸び伸びと、忌憚のない意見をいただければと。

 これから作品の反省と称して本作の製作意図密かなチャレンジチャレンジの結果(成功/失敗)などについて書いていこうと思いますので、もし「そういうのを読むとバイアスがかかっちゃう! 率直な感想書けなくなるかも!!」という方は、先にアンケートに答えてからこの先を読み進めていただければと思います。


 それでは、始めていきましょう!

4.この作品で見せたかった事

 本作には、見せたいものが大きく分けて四つありました。

①殺伐とした世界情勢

・人間国の間には戦争・軋轢がある。
・魔王国では、人間国との争いの他に、国内でも内乱が起きそうという不安定な情勢がある。

②不遇だけど前向きに頑張る幼女

・身の安全の保障がない状態で魔王国に送られたものの、お母さまの背中を追い、その教えを胸に気丈に頑張る幼女。
・お母さまの教育のお陰で少々大人びた(おませな)主人公・リコリス。だけどまだ幼女なので、世界の中心はお母さま。他人の言葉を信じやすかったり(チョロいとも言う)、お母さまの教育を元に斜め上の方向に行動する。
・唯一頼れる肉親(お母さま)が身体的に無理できない状態だったため、リコリスは幼くして大人にならざるを得なかった……という事実の伏線をしっかりと張っておく(『気丈に振る舞うリコリス』とセットで、物語中盤でドラマ展開する)。

②幼女と魔王の凸凹コメディー

・裏ではダメだけど、表ではカッコよく決めるし、周りからは恐れられている王さま。
・命がかかっている幼女と本当に結婚したい魔王にとっては切実だけど、傍から見ると微笑ましいコメディー的なやりとり。

③実は聡明だったお母さま

・一見すると変わった言動をしているお母さまも、すべては一人残されてしまうリコリスのための行動だった……という事実の伏線をしっかりと張っておく(物語終盤でドラマ展開する)。

④脇役たちも見栄えがするように

・せっかくの魔王国民なので、見た目から個性的に。もふもふ。
・性格も役割も、きちんと差別化したい。

5.本作執筆で気にした事、気を付けた事

①情報の出し方

 当たり前と言えば当たり前なんですが……一人称作品なので、

・魔王国関係、情勢関係の情報は、きちんと主人公・リコリスが思い出すタイミングで出す。
・リコリスが知らない情報は出せないので、幼女が知っていてもおかしくないように、知っている理由付けをする。
・理由づけの過程でリコリスのバックボーン(という情報)を見せる。

 というのには、ちょっと気を付けました。

②対比(ギャップ)

 本作は、特に設定の『対比』にも気を付けました。

 印象に残るキャラクター同士の掛け合いを作りたかったので、今回は

人間国の王女(主人公)⇒幼女だけど賢い(ただし、知識はあるけど思考は斜め上)
魔王⇒周りからは恐れられているけど、本当はちょっと情けなくて根は優しい人
宰相⇒警戒心は強いし目敏く有能だけど、魔王には絶対の信頼を置いている
フクロウの騎士⇒外見はめっちゃでかいフクロウ。目がギョロっとしてるし下から見ると圧があって怖いけど、実は「ホ~」が口ぐせのいい騎士

 という、そもそも見た目や性格にギャップのあるキャラメイクを全体的にしてみました。

 人間の国と魔王国についても、

・マルッとツルンとした壺や置物、明るい色を使った絵が飾られていた人間国の城
・トゲトゲギザギザとした像や、暗い色の絵が多い魔王城

 という感じでそれぞれの国の描写をする事で、ちょっぴり国に関する印象操作ができないかなぁ……と思っていました。
 ちなみにこれ、一見するとトゲトゲしている魔王国よりもマルッとしている人間国の方が印象がいいように思えるけど、リコリスにとっては人間の国より魔王国にいる方が幸せ……というところで、もう一つギャップを生みたい所存です(この辺は、終盤への伏線として設定しています)。

③作品イメージを、コメディー・ほのぼの・ハッピーエンド確約に振り切る

 実際には、殺伐とした世界情勢やなるべく一人で知らない場所から一から始めても死なないようにと偏った教育をされた幼女・リコリスが抱えている問題など、ちょっとシリアスめな内容も含まれるのですが、それらを出すのは中~終盤の、キャラクターたちを好きになってもらった後。
 序盤では、伏線は張るけど読後感的にはコメディー・ほのぼの・ハッピーエンド確約が顕著に出るようにしよう! と気を付けました。

 うまくできているかどうかは、分かる人には分かる伏線軽い文体を書く事に成功しているかにかかっていると、個人的には思っています。
 実際に上手くできていたかは、読んでくれた読者さんのみぞ知る……。

 どちらか一方に振り切る事で想定読者が続きを読んでくれやすい作品を目指した一方で、想定読者以外(シリアスな展開や大事件を望んでいる読者・硬い文章やしっかりとした描写を求めている読者など)は勢いよく振り落とした自覚もあります。

 この辺は結局読者の好みに準ずるところではありますが、いくらメジャージャンルだとはいえ、間口を狭くしたのはたしか。
 想定読者以外を諦めた作品なので、博打である事には変わりません。
 この博打が上手くいったかは、想定読者をガッチリつかんで離さない作品になっているかにかかっています。

6.書き出しコロシアムで、悩んだ事・チャレンジした事

①あらすじを、敢えて書かない

 あらすじを付けるか悩んだけど、結局……

・あらすじを書いても第一話(冒頭6000字)とタイトルでほとんどフラグ回収し切ってしまう。
・通常のWeb投稿や書き出し祭りとは違い、読者への本文公開前のあらすじ提示はない。

⇒ だったらあらすじの下駄を履かせずに、本文の第一話の本文だけで自分の伝えたい事がどのくらい読者に伝わるかを試してみよう。

 と決めました。

 もちろんあらすじを書かないことに否定意見があるのも分かった上で、です。
 もし「あらすじがない事」を理由に読者がつかなかったのなら、そこまでの作品だという事。
 そんなふうに、今回は読者にとって「あらすじなし」の作品を読まなければならないという面倒な状況を強いた分、自分にも厳しく行こう! というスタンスで挑む事にしました。

 自分に対して課す厳しさについては、Final Setの結果が出た後(つまりこの記事が出た頃)から公開している匿名アンケートにも表れていると思ってください。

 尚、このチャレンジの結果はどうなんでしょうね……。今時点の感想を見た感じでは、おおむね成功しているような気がしますが、サイレント読者もいるでしょうからね。

②幼女の年齢【1話】

 幼女と魔王の可愛い×カッコいい絵を作りたかったので、「主人公は絶対に幼女がいい!」というのがこの話の構想の始まりでした。
 年は若ければ若いほどよく(見た目的に)、城内を歩き回って周りを引っ掻き回せる方がいい(物語的に)と思っていたので、3歳か5歳か7歳か12歳で、年齢設定をめっちゃ悩みました。

 ただ、12歳になると普通に魔王の嫁候補の年齢に差し掛かってしまうので、年上で7歳。
 城内を歩き回れる年齢がよかったので、年下で5歳。
 色々と考えた結果、あわよくば5歳……(見た目的な幼さを優先)と思って、設定年齢を5歳にしました。

 結果、手ごたえはどうなのかというと……現時点では、やや失敗
 感想の中には明確に「もうちょっと年齢高い方がいいのでは?」という指摘があったり、何となく「年齢、上げた方がいいんじゃね?」と思ってそうだなという感想がチラホラ見られたので、要修正検討です。

 これについては、アンケートでも設問を作っています。

③どう物語を展開させていくか【2話】

 1話でリコリスが突飛由もない提案をして、2話で突っぱねられる……の後の展開について、二つの選択肢がありました。

・1話で掘り下げ不足だった魔王を掘り下げる(1話で情けない王さましか出せなかったので、「本当はカッコいいんだぞ!」と見せる)。
・リコリスに、早速モッテモテになるための行動を起こさせる。

 この2つで悩んだ結果、「ヒーローにあたる王さまのカッコよさを見せないまま王さまが振り回されるフェーズに入るのは、どうなのか」と思い、先に威厳ある王さまの側面を先に見せる事にしました。
 本当は両方一度にできれば言う事ないんでしょうが、それをやるとどっちつかずになりそうだなと思ったので(少なくとも今の私の力では、両立させるシーン案が思い浮かばなかった)、諦めました……。

 これについては、どうなんだろう。
 今のところ、見えている感想にこの手の言及がされたものが見当たらないので、成功とも失敗とも言えませんかね。

 もし「両立できるシーン案あるけど?」という方がいらっしゃったら、ぜひアンケートに意見ください!

④『騎士の人』の外見的なルーツ(何のケモノの特徴を受け継いでいるか)を敢えて明記しない

 騎士の人、実際には獅子……ライオンの特徴を持っているんですが、2話では敢えてライオンとは明記せずにライオンだと伝わるかチャレンジを一人で勝手にしていました。

 これは完全に自分の描写力向上のための訓練とテスト的な要素でやったのですが(一応ライオンだと分からないからと言って、騎士の人の風貌のイメージが浮かびにくい以外には影響がないようにして、腕試しをしました)、結果は……これもどうなのか分かりません。
 ただ、現状見えている感想には騎士の人=ライオン的な言動はないので、もしかしたら伝わってないのかも。更なる精進が必要ですね。
※3話で「獅子」という言葉を出して、密かにネタ晴らしをしています。

⑤引き(どこで区切るか)【2話】

 2話の引きを、不穏なシーン(騎士の人に攻撃されそうになって「危ない!」っていうシーン)で区切るか、王さまが助けに入るシーンで切るか、すごく悩みました。
 引き的には前者の方が明らかに強いなと思ったんですが、

・書き出しコロシアムは、次の話数を公開するまでに2週間あく
・作品的には不穏よりもほのぼのとした印象で、安心して読み進めて貰えた方が、多分正解(そう思ってもらえるように、頑張って1話目を書いたつもりだったため)。

 という思いがあって、結局後者での引きにしました。

 これについては、連載時には区切り位置を変えるかもしれません。

⑥3話終わりまでに見せておきたいものが多過ぎ問題【3話】

 3話で

・助ける王さまのカッコよさ
・リコリスの特異性(色付きオーラがたまに見える)提示
・王さまのために何かしたいと思うリコリス(幼女が故に、ちょっと助けられただけで王さまのために頑張りたくなるチョロいリコリス)
・幼いが故に素直に謝れるリコリス
・危ないことに足を突っ込もうとするも、摘まみ上げられて退場リコリス
・本当は、お母さまがいなくなって寂しい&今までは気丈に振る舞っていたというリコリスの伏線仕込み
・王さまサイド。国内対立者の存在と、残念な噂(コブ付き)の提示
・人見知りすぎるネズミのメイドと、リコリスのお目付け役……という名の友好的な護衛モフモフ(これらの采配は、王さまの素直じゃない優しさ)

 これらをすべて出したくて頑張り……どうにか達成しました!!(わー!
 しかし冒頭3話の中で唯一この話数だけ、普通に書くと書き出しコロシアム規定である『6000字まで』という条件を満たせなかったので、ちょっと文字数調整しました……。
 削った箇所の中で1行だけ、「やっぱり必要だよ」っていうのがあるので、それだけが心残りです(とはいえ、他に削れるところもなかったので仕方がない)。

7.個人的によかった事

 上記のチャレンジで成功した内容はもちろんの事、今回は、今までやっていた『構成テンプレを使ってプロットを書く』という事をせずに、思いのままに組んだプロットで挑んでみました。
 頂いていた感想の中に、構成や「一話時点で読者が欲しい情報開示ができている」という類の褒め言葉があったので、一年間きちんと構成を考えてテンプレ通りに書いていた成果がちょっとは出たのかなと、嬉しくなった次第です。

8.反省点

 上記で要検討の箇所以外では、個人的に

・リコリスの特異性(色付きオーラがたまに見える)提示は、3話からではなく2話目から万全に行っておいた方がよかった。
 ⇒ 一応お母さまの言葉で伏線を張っているつもりなんですが、あの伏線はもうちょっとていねいに書いた方がいいし、書かなきゃいけない場所だったと反省。

・3話で削ったところは、連載時には絶対にちゃんと書く!
 ⇒実はこれ、最後のストテンベルグ(フクロウの騎士)との会話のところなんですが、「ストテンベルグだホ~。スーでいいホ~」の後に、本当は「スーちゃん!」というリコリスのセリフがあったんです。その1行を削ったので、その後すぐに地の文で突然「スーちゃん」と書いてるのがどうしても気になる。めっちゃ気になる……。
 ちなみにストテンベルグは男性です。スーちゃんのちゃんづけは、リコリスが「見た目も喋り方もカワイイから『スーちゃん』って感じ!」って思ったからちゃんづけしているんです……。

 この2つは、本当にきちんと直します。

 それに加えて、読んでくれた方の意見や感想・アンケートの内容も更に仕入れつつ、直した方がいいところに当たりを付けて直していこうかと。

 という事で、改めてアンケートのご協力をお願いします!

 アンケートは、期間終了後に結果を公開・分析しようかと思っています。
 しばし続報を待たれよ!

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