おやすみ

鈴虫の音が聴こえる。
季節は夏から秋に変わり過ごしやすい夜だ。
離れている息子を想う。

君がベッドですやすや眠ってる。
病院の消灯時間は21時。
みんなすやすや眠ってる。
とっても静かにモニターや医療機器の音がしてる。
君の寝顔をじっと見つめる私。
すやすや。
頭をなでなで。
今日も1日本当によく頑張ったね。
えらいね！君はとってもえらい。
ほんとに君はいい子いい子。
君はとっても優しい子。
ここにいるみんなもそうだよね。
あのね、森の動物さん達もこっそり窓から今日も覗きに来てたよー。
大きくなったね！
ここにいるみんなえらいね！
みんなの事大好きって言ってたよ。
ぐりとぐらもトトロも言ってたよ。
みんな頑張ってるから僕らも頑張るからねって。
赤ちゃんの頃からずっとお話してきた事をそっと伝える。
頬ずりをする。
君のおでこにキスをする。
優しく身体をトントンする。
また明日の夜もこっそり来るからね。
お母さんがいなくて
君の目にうつらなくても
お母さんの声がしなくても
いつも君のすぐそばにいるよ。
おやすみ。