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「内省力」

 具体的に体験したことを、自身で振返り、一般化し、自分の引き出しに入れること、そして、それを再利用できる形にすること、それがスキルを修得するということであり、成長するということ。
「学ぶ力」と言ってもいいと思う。
「内省力」とも深い関係があり、人や組織の成長のために大切なことに「目標を設定する力」がある。
 これが適切であるか否かにより、プロジェクトや、ひいては、人や組織の成長に大きな影響があると考える。

 自分はもっと高い目標を設定しても良かったんじゃないだろうか。こう思ってしまいがちだが、 

「人は、自分が目指したところにしか行けない」

 目指しても行けるとは限らないが、まずは、目指さないことには、そこにたどり着くことはできない。
 だからこそ、「目標を設定する力」はその人の人生や成長にとても大事なスキルなのだ。
 自分は、どの「山」、どの「頂き」を目指すのか? 
 私たちは、時々は振返り、見直してみるべきと思う。

 この「目標設定」のプロセスには十分な時間をかけなければならない。プロジェクトでは、わかり易く「到達目標」や「到達レベル」ということもある。
 具体的にイメージすると、そのプロジェクトの数か月や、その中間点でもいいし、ある一日でも構わない。
 その時間を過ごした後、

「before & after でどうなっていたいか?」

 それがプロジェクトの目標となり、組織や個々人の目標となるものだ。
 組織や、プロジェクトチーム、そして個々人には、「目指すにふさわしい目標」がある。
 そのために、例えば、プロジェクトの開始時には、「トップインタビュー」「プロジェクトオーナーのインタビュー」「対象者全員のインタビュー」(場合により)「育成責任者のインタビュー」等を行い、プロジェクトメンバーやステークホルダーと話し合って、このプロジェクトでどこまで到達したいか?参加者は、どうなっていたいか?という到達レベル、即ち、プロジェクトの目標を設定する。

 では、「目標が適切である」とはどういうことなのだろうか。
 当たり前のようだが、そのチェックポイントは、「目指すべき価値がある」目標であることと、「(ストレッチすれば)到達可能な」目標であることだ。

 往々にしてあるのは、トップが望む目標はそうなってほしいという願望であり、その目標は立派だが、
 どうしたって目標へ到達できる基礎的な要素(スキル)が整っていないために、目標倒れ、計画倒れになってしまう。それでは、プロジェクトの成果さえ疑われる。

 学校の組織やグループは、これが苦手。
 基礎的な要素スキルを各自がどの程度持っているかを、「対象者のインタビュー」で確認することも必要なのだ。
 そうすることによって、対象者が、「目指すべき価値があり、かつ、頑張れば到達することができる」目標を定めることができ、それをどういう形で達成するかの「ゴール設定」ができる。
 それでも、尚、実際にプロジェクトが始まってみて、思うように到達できそうにないときは、思い切って、目標を修正することもある。
 もちろん、もっといけると思ったら、より目標を上方修正することもありだ。(これは、意外とやらないかもしれないが、これによる機会損失も多いように思う。
 できそうなら、目指すべき山を変えてもいいし、もっと高い山に登れる/登りたいならば、それもありだ。)

 組織の長は、「年度はじめの運営方針」などを4月当初に声を高々に謳うが、毎年中身はお粗末なもんだ。
 それらの方針などは、ゴールに到達し、目標を達成するためのプロジェクトでもあるのだが、同時に、その「目標設定」を自ら行える力を養うためのプロジェクトでもある。
 なぜなら、人は与えられたゴールや受け身な目標よりも、自ら定めた目標や自ら獲得したい到達レベルに対してのほうが、より学習意欲や成長意欲が高まり、より高いモチベーションで取り組めるからだ。
 当初は与えられたゴール、受け身である目標を、能動的、主体的に変換していくプロセスをプロジェクトに組み込んでいくべきなのに。

 自分(たち)にとって「目指すべき価値がある」目標を「自ら」設定でき、ひいては、そのために予めもっておくべき基礎的な要素スキルを見極め、目標と現在位置のギャップを知り、そこに到達するためのプロセスを自らLEARNできること。
 そして、その実現可能性に課題がある場合は、目標そのものやそこまでの時間軸を適切に「修正する」力と勇気をもつこと。
 それが能動的、主体的にでき、着実にそこに向かうことができれば、プロジェクトの成功確率はかなり高くなる。
 そして、プロジェクトの一日一日や、中間点、プロジェクト全体での振返りにおいて、「内省」を繰り返すことにより、「学ぶ力」が最大化され人や組織の成長に繋がっていくと私は信じている。

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