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【読書メモ】人生は運よりも実力よりも勘違いさせる力で決まっている ふろむだ著


1.錯覚資産とは


(1)錯覚資産とは何か
・プラスのイメージを引き起こすものであれば、全体的に優秀との錯覚を引き起こすことができ、人々が自分に対して持っている都合の良い思考の錯覚は一種の資産として機能する。これが錯覚資産
・複数種類の錯覚資産は掛け算、複利で増える。
・思考の錯覚の盲点からは逃れることはできない。
・思考の錯覚(錯覚資産 の特徴は、
1他人が自身に対して抱く
2自身にとって都合がいい
・人間が思考の錯覚に対処できない理由は、
1客観的事実より自身の直感を信じる
2直感に沿わない行動は不快
3直感的に間違っていると思える正しいことを言うと反感を買う。直感的に正しいと思える間違っていることを言うと賛意を得ることができる
4自己保身に都合が良い→ほとんどの組織は直感的な意思決定で成り立っている
5権力側に都合がいい


(2)錯覚資産は成功の条件である


・成功の条件は
学生時代→運少し、実力ほとんど
社会人→運、錯覚資産、実力
・錯覚資産があれば人生はイージーモードになる。
・短い時間の中であれば、実力ではなく錯覚資産で評価される。
・信用=錯覚資産、実力、人柄
・実力=才能+スキル
・才能の有無を判別することは困難。結果論でしかなく多くの事例が運を才能と誤解している。
・一度成功した人が何度も成功するのは、その人が正しかったからではなく、正しいと錯覚され、多くの人がリソースを割いてくれるようになるから。
・人生は当たると当たる確率が増えていく運ゲーである。


(3)錯覚資産の要因分解


・錯覚資産=錯覚資産化のしやすさ✖️成果のアピール
・錯覚資産化のしやすさとは、数値化、わかりやすさ、心理的なインパクト
・成果のアピールとは、ポジションメーカーへの印象付け
・錯覚資産の大きさはハロー効果と利用可能性ヒューリスティックの掛け合わせで決まる
→ハロー効果、思い出しやすさ、思い出す人の数、思い出す人の質(権力者


(4)錯覚資産がもたらす成功ループ


・成果のループとは、
実力→成果→錯覚資産→環境→実力、、、
錯覚資産→成果→錯覚資産、、、
環境→成果→錯覚資産→環境、、、
・錯覚資産を増やすことをやって、スキルアップを怠ると、実力→成果のループが回らなくなる
・スキルアップをやって、錯覚資産を増やすことを怠ると、すべてのループが回らなくなる
・より深刻なものは後者
・錯覚資産は指数関数的に増える→長期的には取り返しのつかない差になる


(5)錯覚資産にどのように対応するべきか


・人生の選択をするときは、徹底的に思考の錯覚を排除し、本当に正しいものを選ぶべき
・才能の有無を検討するよりも、試行回数を増やすことが重要。運を当てることが重要。
・判断が困難なときは、思考の粘り強さが必要

2.ハロー効果


・ハロー効果とは、ある評価対象の1つのプラスの属性値に他の属性値も底上げされること。マイナスのハロー効果もある。

・ハロー効果が得られそうなものに数をかけて小さくかけるべき。
・具体的な数値に結びつくものが有効。これは印象に残り思い浮かびやすくなるから。
・自分のプレゼンスを上げる本を書くことも有効

3.後知恵バイアス


・物事が起きてから、自分はそれが起きると予測していたと考える傾向
・何かが起きると、システム1は、システム2が関与しないところで、自分はあらかじめ起きることを知っていたとして記憶を書き換える。
・このため、過去の記憶は事実ではなく、生存確率を高めるように書き換えられたものである。
・未来は自分が予想するとおりになる、と記憶は書き換えられる。
・成功したという結果になると、その人は昔から優秀だったと記憶が書き換えられる。これは、運で成功が決まるとは思いたくないから。

4.コントロール欲求


・人間はコントロールしたいという強い欲求を持っている。
・コントロールできると、幸せで、活動的で、健康的に暮らすことができる。
・逆に言えば、コントロールできないことは恐ろしい苦痛であり、コントロールできるという幻想の中で生きたほうがよっぽどまし。
・成功することはコントロールできるという幻想の中で生きたほうが幸せなので、結果、現実を見ない選択を行い、成功確率を下げるリスクがある。

・運のコントロールはできないが、運の運用はコントロールできる。

4.少数の法則


・母集団に関して有効な仮説がごく小さな標本にも現れているとする考え方
・統計的には有意と言えないサンプルから、そのデータが示す法則性を真実とみなすこと
・当然、n=1のサンプルからは何も言えないので、実力を大幅に過大または過小に評価してしまう。

少数のサンプルが示す結果については、統計的な有意性が小さいことを意識する。

5.デフォルト値バイアス


・選択から過剰にデフォルト値を選んでしまう。
・デフォルトが損でも選んでしまう。
・判断が難しいと、デフォルト値を選んでしまう。
・二重の錯覚とは、最適な選択肢ではなくデフォルトを選び、その理由をデフォルトだから、ではなく別の要因で選んだと考える。

・デフォルトが選択肢にある場合、直感に従ってはいけない。選択肢の重み付けを変えるべきである。

6.利用可能性ヒューリスティック


・思い浮かびやすい情報だけで判断すること。
・判断に必要な情報が欠落している点が非常に危険
・人間の直感が判断ミスする理由はこの利用可能性ヒューリスティックに基づくものであり、
1人間の直感は思い浮かびやすい情報だけで判断する
2正しい判断に必要な情報が欠けていても、情報が欠けているという判断を持たない

・このため、相手に思い浮かびやすくさせることが重要
→自分がどういうポジションなら力を発揮させることができるのか、具体的なイメージを相手にインプットさせる。
→思い浮かびやすくすると、意外なところから、意外なチャンスが降ってくる。

7.運を実力と考えるバイアス


・非常に危険
・人生が上手くいくかは、環境が大きく左右する
→運と思考の錯覚で決まる
・スキルアップしやすい環境を手に入れることは、スキルアップそのものよりも投資効率が高い
・pvとcvrの掛け合わせで成果が決まる
→cvrが低くても、pvが高ければ結果は同じ
→pvに欠ける努力を怠りがち

8.認知的不協和の理論



・自分の中で矛盾や葛藤があるとき、無意識のうちにそれを解消しようとする。
・属性Xにマイナスであると、属性X自体の価値を無意識に引き下げる。たとえ属性xにかちがあったとしても。
・これを認知的不協和と呼び、現実逃避のモルヒネとも言える。

・属性Xをプラスにする、または他人の属性Xを利用するべき。
・プラスの属性は利用資源であり、否定すると損をすると考える。

9.一貫性バイアス


・人間は一貫して偏った物語に説得力を感じる。
・バランスのとれた総合的な正しい判断は、説得力がなく退屈で面白くないと感じる。
・真実を語るほど、言葉は勢いを失い、魅力を失い、錯覚資産は遠退く。

・大きな錯覚資産を手に入れるには、シンプルでわかりやすいことを真実であるように言い切る。断定できないことを断定する。
・意見が分かれるのであれば、片側にベットするべき。
・判断を二重化する。
ー何かを主張するときは一貫して偏った物語
ー人生の選択は正しい判断
・このためには
→正反対の偏ったストーリーを2つ書き出すことよい。

10.3つの選択


・醜悪な生き方で人生うまくいく
・美しい生き方で人生うまくいかない
・醜悪な生き方で、かつそれを隠蔽する卑劣なやり口で、人生うまくいく

11.感情ヒューリスティック


・好き嫌いとメリットデメリットは高い相関を示す。
・人間の直感は世界を敵か味方の二極に分ける。
・一度メリットを示され好きになったものに対し、逆にリスクを示されると、感情評価も矛盾がないよう書き変わる。
・脳の構造に起因する問題なので、修正することは困難
・ヒューリスティックとは本来の質問に対して、置き換え可能な簡単な質問で答えること。本来答えるべき問題に対し、置き換え可能なもので答える。感情ヒューリスティックの場合、感情で答える。
・感情ヒューリスティックに基づく判断を修正するのではなく、上手く活用することが重要

12.バイアスをもたらす3つの脳の過剰性


ー一貫性
→記憶を変えてまで一貫性を保とうとする
ー原因
→偶然の結果にも原因を求める
ー結論を急ぐ
→必要なデータが揃っていなくても無理矢理結論を出す。

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