NFTゲームヒット戦略 - ヒットを一過性で終わらせない長期経済圏設計のコツ【前編】

ゲームアーキテクトの米元です。

今回は、NFTゲームを一過性ではなく長期的な真のヒットにするための戦略を書いていきたいと思います。

ゲームのヒットは博打?


まず、前提として、ゲームがヒットするかは運要素が大きいです。

といっても、なんの考えもなく作るということは当然なく、ゲーム開発側は、しっかりと市場動向を調査し、アートやゲーム設計などもユーザーに受け入れられるように綿密に設計を行い、しっかりと戦略を立ててゲーム開発を行います

それでも、結局は出してみないとわからない部分が多く、出してはみたものの想定通りに売れず…というケースは非常に多いです。

だからといってこれが実力不足かというとそういうわけではなく、ゲームはエンターテインメントという性質上、どうしても予測に対する波が大きいのは致し方ない部分があります。

とはいえ、しっかりしているチームは失敗と言ってもある程度はちゃんと売り上げを立てられていますし、逆に失敗するタイトルはリリース前の段階(リリース1年前とか)でも明らかに失敗する原因があります。
(そのあたりはまた別の機会に書いていきたいと思いますが…)

そして、今のアプリゲームは、当たる確率を高めるため、作り込みを綿密にした上で、なるべく早く開発費を回収するために、リリースタイミングでいっきにマーケティングコストをかけて、最初の段階でユーザーを呼び込んでリクープを狙うスタイルが多いです。

しかし、これが出来るのは、市場規模も大きくなり、ある程度売れる型が確立し始めているからであって、市場規模がまだ大きくなっておらず、売れる型が確立していないNFTゲームで同じことをやるのは非常にリスキーです。

では、NFTゲームでヒットを出すための戦略はどのようなものが良いのでしょうか。

数打ちましょう


というところで、やはり一番はとにかくたくさん出す、まずは出す、ということに尽きます。

そのためには、省コストで初期開発を行いリスクを抑えつつも、収益機会を逃さない、ということをしていくことが必要になります。

収益機会とはどういうものかというと、例えば、とりあえずスピード重視で作ったものが、運良く一瞬ヒットする、というのはあるのですが、そこでユーザーが大量に離脱してしまった場合は、長期的な収益機会を逃してしまいます。

なので、離脱を防ぎつつ、ヒットした場合はより長く遊べるように機能追加などをしていければ良いと思います。

ハイパーカジュアルと呼ばれるジャンルは、比較的この方法をすることが多いです。まずは省工数で作ってリリースし、継続状況など含めたKPIを設定して、そのKPIがいいものだけ更に改修をして機能などを追加していき、またKPIが良ければ…という形で運営されています。

ただ、先述のハイパーカジュアルゲームの方は、ゲーム自体がシンプルなので、初期の段階である程度ざっくりな設計をしても、その後設計を積み増していくのが比較的やりやすいのですが、NFTゲームではどうでしょうか?

離脱は何が原因で起こるのか


NFTゲームのお話に入る前に、そもそも、ユーザーの離脱というのはなぜ起こるのか?というところから解説していきたいと思います。

離脱に理由は大きくは2つあり、

①最初の段階で「つまらない」「合わない」「コレジャナイ」と思う
②長く遊べなくて飽きてしまう

となります。

そして、①についてはそもそも仕方ないもので、改善のしようはありません。なぜかというと、合う合わないは誰にでもありますし、そもそもゲームとしてのベースのコンセプトでもあるので、これを改善するなら、別のゲームを出したほうがいい、ということになります。

特に、①のコンセプトについては結構当たり外れが多く、これがゲームの売上の博打性を大きくしているので、この①をいかにリスクを少なく検証できるかがヒットを産み出すために非常に重要になります。

では、②についてですが、意外とこれが原因でF2Pモデルのゲームは売上が失墜することが多いのです。

ただ、この飽き対策は、F2Pモデルのゲームではかなりパターンが決まっています。パターンというのは、ある程度対策が決まっているということであり、これがいわゆる成功確度を上げるための作り込みの部分になっています。

では、そもそも②の飽きはなぜ生じるのでしょうか?

飽き、という表現からは、最初は熱があった、という意味合いになります。それが覚めるのが飽きであって、①の方は最初から熱がない状態なので、対策のうちようがないのですが、②の方は、最初はコンセプトもハマるし、オモシロイと思ったのに、いつの間にか面白くなくなってしまった、という状態で非常にもったいないのです。

この、②の飽きがなぜ起こるのか、について解説していきたいと思います。

飽きのメカニズム


大きくは、

①単調すぎて飽きる
②コンテンツを遊び尽くした

この2つが飽きのメカニズムになります。

ただ、実はこの中で致命傷になることがあります

それは、②のコンテンツを遊び尽くしてしまったことによる離脱です。

例えば、何かのコンテンツ、つまりクエストなどのような攻略コンテンツがあったとします。

ここで、簡単にクリアできないように難しくする、ということをすれば、レベル上げなど単調な作業の繰り返しになってしまい、単調で飽きてしまいます。

これをしないためには、たくさんコンテンツを追加したり、コンテンツの難易度を下げたりすることで対応をしますが、これらのコンテンツがクリアされてしまうと、「このゲームは完全に終わった」となってしまい、戻る口実がなくなってしまいます。

一方で、単調ではあったがクリアしていないという認識のゲームは、機能などが追加されたり、難易度調整がされたらもう一度やってみようか、となる可能性があるわけです。

特にF2Pのゲームは、ユーザーの離脱と復帰を前提としている運営なので、一度離脱して二度と戻ってきてくれない、というのが実は一番のリスクとなります。

勝ち筋の定まっていないNFTゲームではどうすべきか


さて、先程の飽き対策ですが、今のF2Pゲームの場合はある程度勝ち筋の設計が決まっているので、リリース前にある程度作り込んで、そもそも最初から離脱しないようにした上で、集客を最初から行うという戦略が取られていますが、NFTゲームの場合は、まだこの勝ち筋というのが定まっていません。

なので、今やることとしては、まずはコンセプトをしっかりと検証できるレベルでは作りつつ、長く遊ぶ部分についてはコンセプトが当たったら積み増しや改修が出来るように最低限のものにした上で、初期のバランスとしては、積み増しや改修が不可能になってしまうことを避ける、というのが最適解になります。

そのために、「将来の改修を含めた全体の経済圏の構想」を、リリース前の段階でしっかりと設計していくことが重要になります。

このあたりについては、長くなったので後編で解説いしていきたいと思いますが、少しだけご紹介します。

長期的に持続する経済圏設計の4ステップ


長期的に持続する経済圏の設計については、下記4ステップになります。

  1. 定量UXポリシー設計
    全体経済圏の設計指針となる定量的なUXポリシーを設定します。

  2. 段階別UXポリシー設計
    企画段階で提供する、ユーザー体験の方針について設計します。

  3. ロジック設計
    設計したユーザー体験の実現のためのロジックや数式などの設計を行います。

  4. 初期バランス制御
    通常のゲーム開発でも行う初期のバランス設計を行います。

これら4ステップを、リリース前にしっかりできるかどうかが、長期的な売上維持を左右するので、後編では更に詳しく書いていきたいと思います!


まとめ

今回のまとめになりますが、

・今のフェーズは数を出し、コンセプトがヒットするかの検証が必要
・なのでリリース前から今のF2Pのような作り込みは難しい
・ただ、いざヒットしたときに長期的に売り上げるチャンスを逃さないようにする必要もある
・そのために、最初から長期的な経済圏の設計と、付随する企画やロジックなどの構想が必要

というのが、「真の」「長期」ヒットタイトルを生み出す方法になりますので、後編ではこの「経済圏設計4ステップ」について解説していきます。


おわりに

※ここから先は、ノウハウ的なものはないので読み飛ばしていただいて大丈夫です

この記事を読まれた方の中には、

「そんなにヒットさせる戦略持っているなら自分で作れYO!」

と思われた方もいらっしゃると思いますが、実際にゲームを作るには、UIなどの設計やプログラム、アート制作など多種多様な成果物が必要であるため、バランス設計だけ出来ても作れるわけではなく、現在は他社さんとの共同開発をメインで行っております。

特に、直近注目されていたタイトルの経済圏の崩壊などの事例があったりして、しっかりとバランス設計を行い、長期的に持続可能な経済圏を設計することの重要性が認知されつつあることを感じいています。

そして、おかげさまで最近はかなりNFTゲーム開発でお引き合いなどを頂いており、かなり工数も空きが無くなっていく状態が続いています。

とはいえ、引き続きこういったノウハウは発信していきたいと思いますので、これらの記事がNFTゲームに取り組む皆様の一助となることを願っておりますので、ぜひご活用下さい❗


【お知らせ】


プレアナでは、「数値遊びの創造」で新たな価値を創造すべく、ゲームを中心としたエンタメの面白さの数値化に日々取り組んでいます。

また、共同開発以外にも、自社開発での「数値遊びの創造」をNFTで実現するプロジェクトにも取り組んでいますので、一緒にやってみたい!という方は、ぜひこちらのWantedlyページまでご連絡ください。
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