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高校教師が授業中に内職を認める3つの理由

こんにちは。ライスです。高校で数学を教えています。

先日こんなツイートをしました。

授業中に生徒が授業に関係ないことをやっていることってありますよね?

学校現場ではいわゆる「内職」と呼ばれているものです。

普通の先生であれば「内職するな!ちゃんと授業を聞きなさい!」と生徒に注意するところですが、実は僕、内職を認めちゃっています。

理由は以下の通り。

・教室にいるすべての生徒が満足する授業は不可能だから
・できる子は自分で勝手に学べるから
・本当に身につけさせたいのは知識そのものではないから

あくまで僕個人の意見です。価値観を押しつけるつもりはまったくありません。

興味がある方はお付き合いください。

1.教室にいるすべての生徒が満足する授業は不可能

僕はすべての生徒が満足する授業はきわめて難しいと考えています。

なぜなら、教室にいる生徒一人ひとりが授業に求めているものが違うから。

こちらの記事に詳しく書いているのでよかったらご覧ください。)

・勉強に苦戦している生徒が理解できるように手厚く教えると、すでに理解している生徒は退屈。
・逆に理解している生徒を伸ばすために授業で応用問題を扱うと、基礎がわからない生徒はさっぱり理解できないため、置き去りになってしまう。

一つの教室に全く理解度が違う生徒が30人以上いるわけで、一人ひとりにベストマッチした授業は限りなく難しい。

ひとつの授業の中で「満足できない」場面というのは生徒一人ひとりに必ずある。僕はそう考えています。

その一方、満足できなくて退屈な時間を居眠りやおしゃべりに使ってしまうのは超もったいないとも思うんですよね。

授業中は「強制的に教室で勉強をする時間」。

どうせ1時間教室にいなければいけないのなら、自分を成長させられるために時間を効果的に使うべき。

大げさではなく「時間=命」です。生徒が成長するための貴重な時間を無駄にしたくないんです。

だからこそ生徒が「この授業おれにとって必要ないかも」と思ったなら、授業に関係ないことであっても今の自分にとって必要なことをしていた方が生産性は高いと思っています。

2.できる子は自分で勝手に学ぶ

内職を認めていると言っても、「何でもかんでもやりたいことを好き勝手やっていい」とは思っていません。僕なりにルールがあります。

・授業は学力が低い生徒に合わる
・学力が高い生徒には内職を認める(※最低限授業でやるべきことはやる前提)

学力が低い生徒は一人では問題解決ができません。一方、学力が高い生徒は自分で問題解決ができる可能性が非常に高い。

なので、学力の高い生徒はあえて放っておく。

僕はこれを「信頼の放置」と呼んでいます。

そして一言伝えます。「君たちは授業のペースに合わせてはいけない。最低限授業でやるべきことをやった後はやれることを自分で見つけてどんどんやってください。」と。

1時間で学べる上限を設定する必要はまったくないと思うんですよね。

例えば、「1時間の100個の単語を覚える」という授業があるとします。

学力が高い生徒は、100個を覚えてぼーっとしているのではなく、120個でも200個でも、1000個でも覚えちゃえばいいのです。どうせ授業中は教室にいなければいけないのですから。

社会でもやるべき仕事が終わったあと定時になるのを待っているより本を読んだり自己研鑽しながら定時を待った方がいい。そう思いませんか?

最低限の足並みを揃えつつ、自分のペースでどんどんできる人は社会人になっても活躍するのではないでしょうか。

ちなみに、学力が低い生徒に合わせて授業を行うと言いましたが、状況によっては学力が高い生徒に合わせ、応用問題を解かせるなんて場面ももちろんあります。

その時は学力が高い生徒に先生役をやってもらい、苦戦している生徒のサポートに入ってもらうなど工夫しています。

3.授業で身につけさせたいのは知識そのものではなく「生きるための武器を取りに行く力」

学校は「自分が生きる上で必要な知識(武器)を自分で取りに行く場所」だと僕は考えています。

決して数学の知識そのものではないかなと。

もちろん知識そのものも大事です。しかし、生きていくうえで「2次式の因数分解のやり方」とか「微分積分のやり方」が役に立つ場面は限りなく稀だと思いませんか?

生きるための武器を取りに行く力とは具体的に何かというと、

・自分にとって必要なスキルは何かを知ること
・そのスキルをどのように身につけられるか知ること
・スキルを身につけるうえで壁にブチ当たっても何とかしようとすること
・自分ごとで考えて行動すること

上記のように考えています。

本当にやりたいことを見つけ、その道を歩んでいくとき、自らの非力さを痛感し「もっと成長したい!勉強が必要だ!」と心から思う。

そんな転機は必ず訪れます。

その時、「勉強の仕方がわからない!」とか「今が踏ん張りどころなのに頑張り方がわからない!」では、困りますよね。

何事にも知的好奇心をもつことが大事。

数学のようにわけがわからないことでも、「興味をもって学んでみる姿勢」を育てることが学校教育では重要なのではないかなと考えています。

4.まとめ

・授業のペースに合わせる必要はない
・1時間で学ぶ上限を設けなくていい
・できる人は自分にとって必要な学びをどんどんやるべき

授業の目的とは?勉強の目的とは?高校に通う目的とは?

今一度一緒に考えてみませんか?

「内職するな!ちゃんと授業を聞きなさい!」と生徒に注意するのは当然だと思います。けど、自分自身の心に聞いてみて欲しいんです。

「それって自分の話を聞いてくれてないからムカついてるだけじゃない?」
「授業を聞くだけが正義じゃないんじゃない?」
と。

生徒一人ひとりにとって必要な成長をサポートできればそれでいい。僕はそう思います。

ということで今回はここまでです。ありがとうございました!ライスでした。

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