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「自立への道」映画上映会で若者の本音を聴いてきました

こんにちは、不登校支援を通じて色々な方と出会いが止まらないりかぞうです。

1月18日に桜美林大学の学生さんたち主催の映画「自立への道 不登校が呼び覚ますもの」の上映会&トークショーがありました。
桜美林大学の先生から元不登校や障がいをもった学生さん達が素敵な取り組みを始めるとお聴きしたので、これはぜひ行きたい!と思い、行ってきました。

主催の学生さん達は、小・中学不登校だった方、障がいがあり普通級で過ごした方、学校には行っていたけれどいじめをうけていた方など様々な経験をお持ちでした。
その方々が当時どんな気持ちで過ごしていたのか、そして今大学生になってその頃を振り返りどう思うのかというリアルな気持ちを聴くことのできる貴重な機会でした。
行ってみて、本当によかったので、これは少しでも多くの方に知っていただきたいと思い、ここにレポを残すことにします。

映画「自立への道 不登校が呼び覚ますもの」

大人になった元不登校児童たちを訪ね、ビデオインタビューしたドキュメンタリー映画です。
元中学美術教師、現在現代美術作家の種蒔夫監督の映画「自立への道」制作の経緯、上映条件等は  http://happyhillcontest.seesaa.net/ar...

YouTube概要より

種蒔男監督が全国を回って撮ったドキュメンタリー映画。
大人になった元不登校児8人と母親1人のインタビューで構成されています。
・どうして不登校になったのか、
・学校に行かずにどんな生活をしていたのか、
・勉強をせずにどうやって色々なことを学んだのか、
・今、何をしているのか、
 など。
元不登校当事者の言葉がたくさん出てきます。

私はこの映画を観るのは3回目。
1回目はオンライン上映で、2回目は自分の主催する親の会で上映会。
そして、今回その上映会に来てくださった方の紹介で学生さん達が上映会をすることになったと聞き、とても嬉しく思います。

私は周りからは子どものやることに理解があるように見えているようですが、やはり不登校児の親としては学校に行かず勉強もせず小中学校を過ごし、その後どうなるのかという事が心配でたまらなかったので、初めて観る時は大人になってどんな生活をしているのかがすごく気になって観ていました。

ここに出てくる人たちは自給自足生活のようなサラリーマンとは違う生活をしている人が多く、自分の住む世界と違ってあまり参考にならないかも・・・と最初思いました。
でも、何度も観ていると、今まで当たり前だと思っていた「学校に行って会社に就職して・・・」という流れに乗らなかった子どもたちがサラリーマンになるわけないなあ、と思うようになりました。
世間で思われている道と違う道を進むことを選んだ子供たちは自分の気持ちに正直に生きていく中で自分に合った道を見つけ進んでいくのだと思います。

この映画に自分の子どものその先をみようとしたけれど、ここに答えは無く、その子が独自の人生を自分で選んで進んでいくんだということを教えられました。

種監督より

映画上映後、種監督からオンラインで映画についてのお話がありました。

監督がお話されていたのは「不登校は親次第」ということ。

ぱっと聞くと、親が不登校の原因のように聞こえますが、そういうことではありません。
不登校になるのは子ども自身の理由がありそういう状況になります。
不登校になった瞬間から、子ども本人の葛藤が始まり、学校に行く子よりも物を考えるようになります。
本人はすごく考えて悩んで大変なのに、その上に親が心配すると、自分と親の二重の心配を抱えてしまいつぶれてしまうのだそうです。
なるほど、そういわれると納得です。

でも、私も最初は不登校になった長男のことを心配しました。
しないなんてできませんでした。
でも、それをやっていると親子共に辛くなったのでやめただけです。
やめると私も長男も少し楽になり、親子で共倒れは避けられました。
長男の顔つきも穏やかになり、元気に毎日を過ごせるようになっています。
長男はまだ自立までは至っていませんが、親として本人がよく考えてその先に答えをみつけていくことを信じて見守るという事なのかな、と思っています。

人生はどこかで必ずつまずく。
不登校の子は早めにつまずいただけ。
ためらいなく迷っていい。
とも監督は話されていました。

学校に行くことが大事なのではなく、人間の幸せは何なのか?ということを考えた方が良い。
自分の興味関心を知り、好き嫌いをはっきり見つけ、無理をせず働いていると、自分に合った天職を見つけることができる。

お話を伺っていて、不登校関係なくすべての人に共通することだなあと思いました。

学生さんたちの体験トークショー

私が今回楽しみにしていたのはこのトークショーです。
義務教育期間に不登校だった、障がいがあり通常級に通っていた、いじめをうけていたという学生さん達がこの映画を観た後に、当時を振り返ってお話をしてくださいました。

お話全てを書き起こしたいくらい素晴らしかったのですが、そうはいかないので、私が特に心に残っている内容だけ。

障がいをもった学生さんは「学校は集団のペースについて行ける人だけが楽しめる」と話していました。
周りとの差を大きなものに感じ、ついていけない自分が悪いと思い、そこから負の連鎖・・・
これって、こう感じている人多いと思います。
学校が楽しくない人はこの理由大きいかも、と思いました。
そして、何かできないことがある人に周りが助けてあげればいいのではなく、本人が自分の力でついていけていると思う事が重要なんだなあ、とも。
元教員としてすごく考えさせられたお話でした。

いじめを受けていた学生さんは「大学に入るまで自分を否定されてきた感じ」と話していました。
自己肯定どころか周りから否定されるって、ものすごく辛いと思います。
それでもこの方が不登校にならなかったのは「不登校という選択肢が無かった」から。
選択肢があったらどうしていたんだろう?
今は不登校が選択肢として出てきたから不登校が増えたのかな?
選択肢の一つだとしたら、それは子どもがちゃんと選んだという事ですごいことなのでは?
と色々と考えさせられました。

元不登校経験のある学生さん達は理由も内容も様々。
「恥をかきたくない」
「授業が分からない」
「吃音を真似された」
「勉強も部活も必死でがんばってきたが、学校に行けなくなった」
やっぱり不登校は一人一人みんな違うということがよく分かるお話でした。
でも共通するのは自己肯定感が低いということと、そこから頑張れた理由は心の居場所があったからということ。
その子自身をまるごと認めてあげる人の存在が大事、それが当たり前のはずなのにできていないんだなあ、と思いました。

イベントに参加してのまとめと感想

今回私が参加して考えたこと

・不登校は選択肢の一つ
・親は一緒になって心配するよりもその子自身をよく見て認めてあげる
・子どもを丸ごと受け入れられる人や場が増えると良い
・学校の集団活動は時に子どもを辛くする
・不登校になった時に子ども自身はすごく自分のことを考えている

「不登校」ということに出会って私は自分や家族、学校、仕事、社会に至るまで色々と考えさせられているんじゃないだろうか?と思う事が多いです。
長男が不登校にならなかったら、仕事で不登校の子どもに出会わなかったら、私は学校や社会の常識をゼロから見直すなんてことしなかったと思います。
映画のタイトルにある「不登校が呼び覚ますもの」という言葉。
不登校は学校に行っていないという状態のことですが、子どもがその選択をすることによってその子自身もその子も周りの人たちも、これまで当たり前だと思っていたものを考え直し、常識の中に埋もれてしまった本当の生きる意味を思い出すきっかけをもらっているのかもしれません。

主催の学生さん達は、この映画上映をきっかけに自分たちのこれまでの経験を社会に生かすための活動を始めていかれるようです。
自分たちの過去を見つめ未来へ向かって動き始めた若い力を見て、心強く思います。

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