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2023/2/25ラファウ・ブレハッチのリサイタル

こんにちは。

2023/2/25(土)サントリーホールにて
ラファウ・ブレハッチのリサイタルがありました。
その感想や気づいたこと、反省したことを記載します。
あくまでも個人の所感ですのでその辺りはご容赦ください。

ラファウ・ブレハッチのリサイタルに行った理由


ラファウ・ブレハッチとはポーランドのピアニストで、
2005年第15回ショパン国際ピアノコンクールの優勝者です。

初めてブレハッチの演奏を聴いた時『ショパンが求める音はきっとこれなんだろうな』と感じました。
そのブレハッチが来日するということでリサイタルを聴きに行ってまいりました。

第一部はオールショパン


ノクターン・マズルカ・ポロネーズ
ポロネーズはなんとなんと!
幻想・軍隊と4番ハ短調・英雄
主役級をどどんと纏めて!!!

びっくりする第一部

・無駄なルバートはしない
・ドラマチックさよりも華麗さ
・音量、音質、fffだとしてもsfだとしても、ショパンのそれは叩きつけない
   耳を澄ます、集中する弱音
   叩きつけるようではない強音
・スカートの裾がフワリとするようなフレーズのしまい方
   これは日本舞踊で扇子と手のひらをぽんと合わせる感覚と似ている
・前提として踊りの曲、ショパンの好みはオペラ
   軍隊、英雄ポロネーズというと勇ましく勇敢に英雄然として
   弾かなくてはいけないと考えてしまいがち
   だけど、ポロネーズはあくまでも踊りの曲
   だから踊れる弾き方をした方が良いのだろう
   ポロネーズのニュアンスが…云々ではなく踊りなのだ
・筋肉の使い方どうしてるんだろ?体重移動しないでクレシェンドしてた
・ショパンに関しては上半身がほとんど移動しない
・無駄な、見せるための腕の動きはしない
・顔芸はしない
・あくまでも上品に優雅に、ショパンが好んだ貴族の空気感
・pの時も右手のメロディはくっきり
   左手の強弱が音楽の強弱を際立たせる
・内声部の混ざり具合
・モーツァルトを弾くようなショパン

第二部


ドビュッシーのベルガマスク組曲
モーツァルトのピアノソナタK.331トルコ行進曲
シマノフスキの12の変奏曲

・ドビュッシーは軽くて薄い高音と重量感はあるけど太くない低音
   弱音からクレッシェンドしていく場面で最初のバスの音は
   聴こえないくらい弱かった
   最初びっくりしたが、クレッシェンドするにつれて分厚い層に
   ppがとことん弱音だからffがより一層活きる

   情感を抹殺したかのような演奏でびっくりした
   サラサラと弾いていたから水面に映る月はさもありなん
   と感じた

・モーツァルトは天真爛漫
   ショパンを聴くと「モーツァルトのようだ」と感じる
   そこがショパンが求めた弾き方なのだろうと感じさせてくれる要因の  
   一つでもある
   モーツァルトを聴いたら「天衣無縫」・「天真爛漫」
   天使がピアノを弾いたらこんな感じか?と感じた
   映画のアマデウス、あれはデフォルメがすぎると感じ不快でもあった
   が、モーツァルトの人となりがよく描かれていたのだろうと感じる
   そのモーツァルト(やりすぎではないモーツァルト)が演奏したら
   こうなのだろうな、と納得する演奏
   ショパンの時の「モーツァルトのようだ」とはまるで違うが
   「モーツァルトだ」と感じる演奏だった
   そして、弾いているブレハッチが楽しそうだった

・シマノフスキは現代音楽的
   情熱的で、時に叩きつけるような場面もあった
   シマノフスキはショパンだけではなくワーグナーやスクリャービンの
   影響を受けた作曲家だからだろう


アンコール
   ワルツ・前奏曲イ長調

感想


同じピアノでここまで色々な顔を見せてくれたこと、それぞれの作曲家について『あ〜そうだよね』と感じられる演奏だったこと、素晴らしかった。
クラシックならではのリサイタルだったのだと思う。
楽譜をきっちり再現することを心がけ、作曲家の意図を汲み、時代背景を考える。
その過程で表そうとせずに滲み出る己。
初心に帰らされるような演奏会を聴くことができて幸せでした。
クラシックのピアノリサイタルは初めてだという人と一緒に行ったのだけれど、良質なものを聴くことができたと喜んでくれていたので、なお嬉しかったです。

個人的には、やはり外国の文化を借りているんだな、という感覚が強くなり、超えられない壁を痛感しました。
紀元前は別として、2000年ほどの時間の中で育まれてきた西洋の文化を
東洋という別の文化圏で生まれ育った人間が体得するのはかなり難しいことで、でも、したいのならどう融合するか、という観点からやっていくことになるのだろうな、と思うのです。
横書きと縦書きの違いもあるし、そういうものですよね。
その事実を尊重しつつ、自分の感じることをやっていこうと思います。
でも、観客に見せるかのような無駄な動作や顔芸は気をつけよ(汗)。
音楽の流れに竿を刺してしまう面もありますので、そこ反省です。

MCについて


ブレハッチは一言も話さなかったのだけれど、それに関して何か感じている人は居たのかな?というのがちょっと気になります。
クラシックのリサイタルだとMCが無いのが当たり前だけれど、最近の日本人奏者はMCするし、アンコールで動画撮影OKって方もいるので、そういうリサイタルが普及しはじめている昨今、MC無し・アンコールも気乗りしない・録音や動画や写真NGなのってどう感じるのかな?

服装について


今回、サントリーホールだったのだけれど、以前より着飾って気合を入れて聴きに来ているような服装ではない人もたくさん居て、私にとっては好ましい方向だと感じました。

クラシックのリサイタルを、サントリーホールで聴く、でもGパンで行く。

気軽に行って良い場所になってきた感が嬉しいです。

長くなってしまいましたが自分の備忘録を兼ねて諸々の所感を記しました。
最後までお読みくださりありがとうございます💕

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