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湯気の力(有料日記)

 土日祝日も開院している耳鼻科を近所に見つけて、土曜日の午後に駆け込んだ。息子は両親に任せて、診察受付番号「一番」を勝ち取る。
 声を出すどころか喉に力が入らない始末。診察に必要な情報は、メモ帳に書き連ねてある。

 まだ新しい、天井の白や壁のクリーム色が明るい診察室に案内された。わたしと似たような年の医師は、にこやかでもない男性で、けれど不思議と「こんにちは」の一言が温かかった。

「今日はどうされましたか?」の問いにメモを差し出す。
 年明けからお付き合いをはじめた喘息が、花粉や黄砂と手をつなぎ、悪化した。処方されている吸入器も、肺いっぱいに吸おうものなら、咳き込んで止まらなくなる。せっかく吸った頼みの綱を、瞬時に吐き出してはなんの意味もない。花粉に対しては飲み薬でもアプローチしている。鼻水やくしゃみはほぼ消えた。が。咳咳咳の連鎖でなにも手につかない。耳鳴りやめまいに振り回される。

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