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真夜中のパン屋さん(有料日記)

表紙は「かんたん表紙メーカー」さまより
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 平日のどたばたに身を任せるうち、夜も九時になっていた。夫のろうすはとっくに自室で夢の中。羨ましい。
 息子のにっとはパン屋さんになりきり、ちょこまか忙しそう。寝室に駆け込んだところで強制的に消灯したが、

「パン屋さんしたかったのに!」

 大げさな声量で悲しみを訴える。

「真っ暗でもパン屋さんはできるよ」

 母の言葉に、ぴたりと泣き止む。

「真夜中のパン屋さんって知ってる?」

 暗闇に目が慣れた。子供用布団に立つ彼の瞳は、真ん丸だ。

「真夜中のパン屋さんってなに? 教えて教えて!」

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