真夜中のパン屋さん(有料日記)
表紙は「かんたん表紙メーカー」さまより
__________________
平日のどたばたに身を任せるうち、夜も九時になっていた。夫のろうすはとっくに自室で夢の中。羨ましい。
息子のにっとはパン屋さんになりきり、ちょこまか忙しそう。寝室に駆け込んだところで強制的に消灯したが、
「パン屋さんしたかったのに!」
大げさな声量で悲しみを訴える。
「真っ暗でもパン屋さんはできるよ」
母の言葉に、ぴたりと泣き止む。
「真夜中のパン屋さんって知ってる?」
暗闇に目が慣れた。子供用布団に立つ彼の瞳は、真ん丸だ。
「真夜中のパン屋さんってなに? 教えて教えて!」
ここから先は
765字
/
1画像
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?