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野良ネコに家を乗っ取られるまで3:第1話 ウリふたつ

①ウリふたつ

トラが空のプランターに入っているのを見て、玄関先に段ボールを置いてみた。
翌日。
…ウリとトラがふたり一緒に入っていた!
面白すぎる!もっと早く箱を用意してあげればよかった!

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入ってくれるんならと、こちらも色々考える。
まず箱の中にバスタオルを敷く。そして段ボール箱のフタを立てて固定し、より風を避けられるようにした。

さらに寒くなってきた。もっと暖かくしてあげたい。
猫用に湯たんぽを購入。夜、寝る前にタオルで包んだ湯たんぽを段ボールに入れてやり、朝冷たくなった湯たんぽを回収。
…も、もはや飼っている?

年明けから私の仕事が少し減るので、改めて動物病院に問い合わせてみた。
野良ネコだから前日の絶食なしでなんとか手術ができませんか。
すると朝ごはんを抜くだけでも大丈夫との返事。よっしゃ。来年になったらすぐにトラを手術してもらうぞ!
玄関先で、少し撫でさせてくれるようになったトラと遊びながら決意するのだった。

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ウリは比較的静かな方だが、それに比べるとトラはよくしゃべる。
猫がにゃあにゃあ鳴くのは人に対してだけだという。

仔猫と母猫が互いに相手を呼ぶことはあるが、本来成猫はほとんど鳴かない。ケンカのときに相手を威嚇するくらいだろうか。
猫同士のあいさつは顔をすりつけたり匂いをかいだりして行うので声は出さない。

猫は人間を母親のように思っているのか、あるいは、しゃべってやらないと通じないバカなヤツと思っているのか…。
まあ例外的に、シロちゃんのように歩きながら必ず鳴く子もいるけど…。

そういえばシロちゃんは、少し前にビッコを引いて現れた。後ろ足を1本痛めたらしい。
気の毒だが、生粋の野良であるシロちゃんを病院に連れて行けるとは思えない。ウリでさえまだ無理なのに…。

と心を痛めていたら、数か月後に巡回して来たときには普通に歩いていた。さすがボス!

次に現れたとき、今度は顔が半分無くなっていた!
これは相当ヤバイ。怖い。食いちぎられたように顔が真っ赤になっている。めちゃくちゃ痛そう。もはや助からないのでは…。
ところが数か月後、普通の顔で現れた。シロちゃんマジ不死身!

さて午後から冷たい雨が降りだしたある日のこと。
突然、表で猫のケンカの声が響いた。急いで飛び出すと、うちの真ん前で二匹の猫が取っ組み合いになっている。
そのどちらもがサバシロだ。

え?ウリが二匹いる!?

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