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野良ネコに家を…3:第3話 緊張のオペ

③緊張のオペ

サバシロのにっちゃんは、もしやウリの弟なのでは?
昔の写真を掘り出して見てみた。しかしママニャンの子はしっぽが短く、明らかににっちゃんではなかった。

年が明け、2017年になった。
正月休みがあけた動物病院に早速電話し、トラの避妊手術の予約を取った。
トラは毎朝必ず来る。だから手術の日の朝も、玄関に入ってきたところで身柄を確保し、朝ごはんをあげずに病院へ連れて行けばいいのだ。
絶対に上手くいくはず。

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以前、ウリを動物病院につれて行ったとき初めて、ペットの名前に苗字を付けることを知った。結局診てはもらえなかったが、その時一応診察券をもらった。
「澁澤ウリ」。
なんだか変なカンジ。まあ、連れてくるのは人間だからね。

実は受付で名前を書くとき、本名の「ウリエル」と書くべきかちょっと迷った。
病院にかかるときのことを考えると、ペットにあまり奇抜な名前をつけると恥ずかしい、ということを学んだ。
なので「澁澤クレオパトラ」ではなく「澁澤トラ」を入院させた。

トラはその朝もいつものようにやってきた。
ごはん!ごはん!というトラを、いい子だねーとナデナデしたり、洗濯ネットを軽く投げてじゃらしてみたり、のらりくらり。
ごめんねー、今日は朝ごはんをあげられないんだよー、と心の中でつぶやく。

そしてついに、意を決して洗濯ネットへ。頭から網に入れられると、トラは今まで聞いたこともないような低い声で威嚇!ジタバタしながら、何するにゃー!と大激怒。
それを段ボール箱に入れ、さらに大きなボストンバッグの中へ。これで自転車に乗れる。

箱のまま、トラを預けて出勤。しかし仕事中もトラのことが心配で仕方ない。
全身麻酔をするので、体質によっては万一のことがあると聞かされ誓約書にサイン。迎えに行くまでは生きた心地がしなかった。

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夕方、無事に帰宅。段ボールではなく貸出し用のペットキャリーに入って帰ってきた。
玄関でキャリーから出してやると、一目散にドアの隙間から逃げて行った。せっかく用意しておいたごはんも食べずに。

しかし食いしんぼトラちゃん、翌朝ケロっとやってきた。
食べ終わってごろごろしているときにお腹を見ると、下腹部に見事なハゲが。糸は抜歯の必要がない野良ネコ用の溶ける糸とやらにしてくれた。
あとは毛が生えそろうのを待つばかり。

春になったら発情期が来るからと、年明け早々連れて行ったが、本当は野良ネコの手術は気候が良いときにしてやるほうがいいそうだ。だってお腹の毛を剃られて寒いから!

無事に手術を終えたトラに次に必要なもの。それは首輪だ。

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