クラシック音楽を10倍楽しむオーケストラ入門 齋藤真知亜

オーケストラはナマで聞け!


NHK交響楽団第一バイオリン奏者である齋藤真知亜さんの著書を拝読しました。

その中から私がシェアしたいと思いました、オーケストラが10倍楽しめるという部分をご紹介します。

入門向けの良記事になっていますので、クラシックに興味があるけどどうしたらいいのかわからないような方たちの背中を押してくれると思います。

オケを10倍楽しむ方法はズバリ、

ナマで、緻密に役割分担がされたオーケストラ全体を眺めながら、体が震えるような音圧を感じるべし。

その中でも、コンマスやフォアシュピーラーのオケ全体をコントロールしつつ、指揮者との調和を図る、高度な役割に注目する。

ことにあるということです。以下で詳細を記します。

ナマ
演奏会はお菓子工場
ハプニング
予習が肝心
オーケストラのトップ コンサートマスター
コンマスの意思を全体に伝えるフォアシュピーラー
指揮者とオーケストラの意外な関係

ナマ

空気の振動 音の圧力を感じる。

CDでは聴きやすいようにバランスを調整されてしまっている。


演会はお菓子工場

コンサートホールはお菓子工場、オーケストラは工場のスタッフ、聴衆は工場見学者。

指揮者の合図でお菓子を作り出す。

皮を作る人、あんこを包む人、飾りつける人とそれぞれ役割を果たす。

お菓子を作られる工程を見ながら完成したお菓子をその場で味わえるのがコンサート。

目立たない人を見るのも楽しみ方の一つ。


ハプニング

初日と2日目では出来が違うことも生ならでは。



予習も肝心。

どんな作曲家でどんな経緯で作られたくらいでも良い。その方が退屈しないで楽しめる


オーケストラのトップ コンサートマスター

指揮者はゲストが多く、オケを率いてるのはコンマス。

指揮者の左の最前列に位置する。

チューニングや、指揮者との握手、ソロを弾いたり、時には指揮もする。

指揮者に気持ちよく振ってもらい、メンバーにはいい仕事だったと思ってもらえるよう、指揮者とのオケの中間管理職になる。

指揮者の指示が納得できないときにはコンマスが戦う。

実力者のコンマスがいれば指揮者がいなくても成り立つくらい。

コンマスに従って指揮者が困っていても、客から見たら素晴らしい指揮者ということになってしまうことも。

優秀なコンマスは有名指揮者と同じくらい引っ張りだこ。

いい演奏ができたら指揮者のおかげ、演奏が悪いときはオケのせい、というが、実際は優れたコンマスが演奏を支えていることが多い。


コンマスに意思を伝えるフォアシュピーラー

コンマスを囲むように隣と後ろに位置する。

コンマスの考えを忖度し、オケ全体に伝える役割。

逆に後ろの音を聞いて、コンマスに伝える役割も。

コンマスは部長、フォアシュピーラーは課長。


指揮者とオーケストラの意外な関係

コンセプトが明確で迷わず安心して演奏できるのがよい指揮者。
そもそもオケは演奏中指揮者をほとんど見てない。楽譜を見て、練習を思い出して弾いている。

指揮者の、この曲はこう演奏しろというプランをもとにコンマスが指示を出し、フォアシュピーラーをはじめとしたオケ全体に伝わり、全員がプランを理解することで演奏が成り立つ。
第一ヴァイオリンチームに伝えるのはコンマスの後ろにいるフォアシュピーラー。

第二ヴァイオリンチームに伝えるのはコンマスの横にいるフォアシュピーラー。

コンマスの斜め後ろにいるフォアシュピーラーが一番複雑。

後ろで起こっている異変を動作ではなくあくまでも音や気配でコンマスに伝える。周囲のちょっとした姿勢の違いや目配せを読み取る。


以上になります。

また、最近の傾向として

区別、差別をなくしたオーディションで良くも悪くもオケの個性がなくなってきている。
デジタル世代の聞き手が増えて、求められるクオリティが変わってきている。

そうです。

過渡期に入っているそうなので、昔からの雰囲気が聞きたい方は早めにコンサートに行った方が良いとのことです。


興味深い著作で、N響の内情や、齋藤さんの自伝、作曲家についてなどが専門用語を使わずに書かれています。

少しでも興味をもたれましたらお手にとることをお勧めいたします。

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