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#62「ヲタクくんの小旅行記」

 11月上旬の某日。
 久しぶりにライブスケジュールが空いたので、今がチャンスと言わんばかりに、えいやっと押さえた高速バスの座席は5A。
 前回この手のものに乗ったのはいつだったかなと思い巡らすと、まだ世の中が塞ぎ込む前、BUMP OF CHICKENの大ファンである母に連れられたAurora ark東京ドームファイナルであった。近年のBUMPらしからぬ、名残惜しさに駆り立てられてグダグダになった『花の名』が未だに自分の中のスター付きフォルダに保存してある。

 では今回は何のためかというと、東京は国立新美術館で開催されている「庵野秀明展」を観に行くためだ。
 自分でハンドルを握って、メンバーと機材を乗せて渋谷下北あたりのライブハウスまで行くことは多々あっても、手綱を握らないどころか手綱の存在も忘れてただ身を預けるような旅行体験は久しく無かった。
 ただ旅は好きな方だ。たいへん穏やかな心持ちで、乗車前に買ったカロリーメイトとライブの差し入れで頂いたひよこメイプルを頬張っては炭酸水に流して、朝の車窓を楽しんだ。

 この日は暗いうちから非常に霧の深い朝で、ヘタな雨降りや強風なんかよりよほど怖い印象だった。駐車場が無料で使えるのと少し安くなるのとで乗り場は生活圏から少し離れた須賀川を選んでいたが、そこに行くまでの緊張感漂う運転でまず一気に体力ゲージを持っていかれた。

 ワクチンの普及によってここんところはかなり、その手の数字にも落ち着きが見られる。
 自分はそれに安心して大いに油断する手合いにはなりたくないと思いつつ、でも旅に出るならきっと今だよなという思い(いわゆる第6波の予感であったり、また個人的にも11月半ばに差し掛かればまた少しライブが忙しくなることも踏まえ)と、またそもそも今より遥かに酷い時期に関東だの関西だの行ってるしなあというのもあり、半ば開き直り的に決行した次第だ。
 COCOAも入ってるしアルコール常備してるし基本二重マスク(そのうえ記事公開時点で旅行日から2週間以上経過済み)ですのでどうかご安心を。

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2,382字

特に有益な情報はありませんが、読んだ方にとって普段目も向けないような他愛のないもの・ことに改めて触れるきっかけ、あるいは暇潰しになったら幸いだなと思っています。

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