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はじめて


最近はテレビの音楽番組が減ってきたと思う。


中高生の頃はスマホなんてものは勿論無かったし、田舎育ちだったのでタワレコやHMVなどのレコードショップは一切無かった。


我が家はMTVやスペースシャワーなどは契約しておらず、1番手早く、お金もかからず、流行りの音楽を知るにはミュージックステーションかCDTVなど地上波の音楽番組だった。


自分自身、音楽について興味が無かった訳ではなくBUMP OF CHICKENやRADWIMPSが学校では流行っていた事はなんとなく知っていたし、それとなく聞いた事があると言う程度。

(当時YouTubeやサブスクなんてものは無いに等しく、音楽を日常的に聞くにはiPodやMP3プレーヤーにCDを取り込んで聴く という少し面倒かつ簡単には聞けないハードルが高いものだった。)


そんな中、受動的に入ってくる音楽番組は当時、思春期の学生にどれだけ影響を与えたかは計り知れないと思う。

かく言う自分もそうで、
当時ミュージックステーションに出演していた「くるり」「チャットモンチー」「YUKI」に衝撃を受けた。(くるりは"ジュビリー"、チャットモンチーは"とび魚のバタフライ"で出演しており、YUKIは"ふがいないや"でランキングに出ていた)

それまで両親の車で流れ、何となく聞いていた音楽(J-POP)とは違う、バンドやアーティストのカッコ良さをテレビ越しに見て、聞いて、中学生ながら何か感じた事を鮮明に覚えている。


そして月日が流れ高校生となり、音楽に一層のめり込むキッカケがあった。

その日、たまたま深夜に見たCDTVで「tacica」の"人鳥哀歌"のMVが流れており、その曲のカッコ良さやバンドメンバーのビジュアルが一切見えないと言う謎めいた雰囲気に一気に引き込まれた。MVが流れた、たった数十秒で虜になった。

何か得体の知れないインディーズバンドのカッコ良さと言うか、アンダーグラウンド性と言うか、昨日まではみんなが知っているあのアーティストが好きだったが、おこがましくも俺だけが好きなバンドを見つけた!発見してしまった!と言う高揚感と嬉しさがあった。

そして何よりも、その出会いを契機に自分から音楽を掘る事をしてみた初めてのアーティストだった。今振り返っても完全に人生のターニングポイントの1つだったと思う。

とかく、田舎の中高生にとっては新しい音楽や流行りの音楽と出会う貴重な時間=TVの音楽番組だったのだ。

そこから数十年後である2024年、唯一録画予約している音楽番組はテレ朝で放送している"エイトジャム"だ。

勿論、今でも音楽番組はあるし、ミュージックステーションもCDTVも続いてる。
だけどサブスクやYouTubeが当たり前になったこの世の中では音楽番組を見る機会は少なくなった。そんな中でもエイトジャムは録画してほぼ欠かさず見ている。
別に特段、スーパーエイト(関ジャニ)が好きな訳ではないし、アーティストが生歌を披露する番組ではないんだけど、いわゆる音楽解説、評論、発見する番組で非常に知的好奇心?探究心?をくすぐられる。時として特集アーティストの楽曲制作秘話など裏話も聞けるファンにとっても嬉しい&楽しい番組だと思う。

昨年の放送回で、"影響を受けたアーティスト"と言うトークテーマ回があった。番組で話題に上がったアーティストとしてチャットモンチーやTHE NOVEMBERS、People In The Boxなどが取り上げられていた。先述の通り、チャットモンチーも本当に青春ど真ん中で、番組内でもチャットモンチー以前・以後でガールズバンドの歴史が変わったと断言できる最強バンドと紹介されており、激しく同意しかありません。こちらも影響を受けて語り尽くせないですが、、、
しかし自分の初めて影響を受けたアーティストを振り返った時にtacicaになるだろうなと思うのと同時に思い出した事もありました。

私は2011年に田舎から上京しました。

その年は東日本大震災もあったりと、世間が鬱々とし暗い中でキャンパス生活を始めました。
その頃の私と言えば、最寄りのゲオに行き新譜レンタルを選んだり、最寄り駅から数駅移動してTSUTAYAでCD5枚を1000円で借り、好みのアーティストを掘ると言う事を密かに楽しみにする可愛い大学生だったのです。

そんな年の暮れ、
ライブに行きたい!と、ふと思ったのです。
田舎じゃ無理だったけれど、東京ならいくらでもiPodで聞いてきたアーティストを生で見れる!と。

当時、1番好きで聴いていたアーティストが先程も触れたtacicaでした。そこでtacicaのライブを調べ、年末に渋谷クラブクアトロで自主企画イベント"TOMOE"があるという事を知りました。対バンはTHE NOVEMBERS、People In The Boxで当初は双方共に聞いておらず、早速TSUTAYAでレンタルし当日に向け、聴き込み、予習を行いました。そんなこんなで初ライブに胸を躍らせながら、当日を待ちました。

しかし、ふと冬のライブハウスってどんな服装なんだ?と疑問に思えたのです。ライブすら行った事がない人間が冬のライブハウスの格好なんて分かるわけがない!ましてや、ロッカーはあるけれどロッカーが埋まってしまったらコートはどうするんだ?手持ち?着てライブみるの?と自分の中で初ライブへの問題と恐怖が発生しました。

当時その問題を解決すべく、Yahoo知恵袋に投稿しました。(この画像です。初々しいですね)


ベストアンサーに救われ、送り出された私は渋谷クラブクアトロに降り立ちました。

1人だし、初めてだし、大人数がいることに恐怖を覚えつつ、リアルで出会った事ないけれど、こんなにこのバンド達を好きな人がいるのか....!という嬉しさもありました。

ライブハウスに圧倒されながらも、到着後まずはロッカーの確保!と思い、無事にロッカーを確保し、入場までの残りの時間をどのようにしたらいいか分からず隅の方でひたすらガラケーをいじってました。この待機時間が独り身には1番辛かった。しかし間も無く整理番号呼び出しが始まり、自分の整理番号が呼び出され会場内へ入場しました。だけど前方に行く勇気は無く、ドリンクチケットを代える勇気もなく、こっそりひっそり後ろの方で見ることにしたのです。
入場してから、開演までの間は初めて見るライブに心を踊らせ、時計と睨めっこしながら待ち続けました。

そして突如暗転して、歓声と共に開演した。

その熱狂に最初は驚きつつも、どんどん演奏に引き込まれた。ライブハウスに到着時は周囲を気にして不安だったが、ライブが始まったらそんなことはもうどうでもよかった。10年以上前の事なので詳細には思い出せない所もあるけど、間違いなく最高だった事は覚えている。

田舎の学生がずっとiPodで聞いていた音楽が、ここで鳴っている事が本当に嬉しかったし、何よりも感動した。

終演すると、ふと現実に戻ったかのようにそそくさと1人帰路に着いた。
しかしながらライブハウスを出たあとの高揚感は今でも忘れられない。

そこから封を切ったように、学生時代はバイトして費用を貯め色々好きなバンドのライブや色々なライブハウスにも行った。かけがえないの時間だったと今でも思います。

確実に1番最初に影響を与えたアーティストと人生で初めて観たライブ。
間違いなく、1つのターニングポイントだったんだろうと振り返って思う。

それから数十年経ち、少しは知ってる事も増えたけど、当たり前だけど全然知らないことの方が多い。

これからの人生でも、まだ知らない出会いに期待したいと思います。





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