世界へのお届けもの(ラストマイル映画感想)
見終わった時、わたしのなかに一番最初に浮かんだ感情は、悲しみ…だったかもしれない。
ラストマイルは、情報解禁されてからの半年以上ずっとずっと見るのを楽しみしていた映画。
だってアンナチュラル が大好きでmiu404 も大好き。もう一度彼女彼らに会えるなんてわくわくしかなかった!
予告のCMもおもしろそう、今回のメインキャストも満島ひかりさん(大好き)と、岡田将生さん(大好き)!
こんなの期待値上がりまくっちゃうよ!
数日前のレッドカーペットも最高だった!
製作陣も同じだし!信頼!天才が約束されてる!さらに米津さん!!無敵すぎ!!
だから大喜びで公開日の夜、繁忙期だったけどすっごくがんばって仕事をどうにかして、走って映画館に行ったの。
だけど……
今回の映画、わたしは「あー面白かった!」だけでは終われない。
全然、他人事にできない。
だって、だって、この映画、世界への、配送業界への、その利用者への、全社会人への、私への、お問い合わせが、ある。
心にお届け物されてる。
この映画見て、あなたにも、思うことありますよね?って。
あなたって、わたしのことです。そしてあなたのことでもある。
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下記、思い出せる限りの感想
ネタバレ満載
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■伏線に無駄がなさすぎる、天才
わたしはわりと伏線だ!って気づきがちの人間だから、
冒頭のロッカー落書きはもちろん、この置き配のとこに爆発届いてますやんとも思ったし、配達員親子の息子の方の会社の倒産の話も怪しいと思ったし、エレナが最初にネットはろうって言った時点でなんか知ってるなって思ってた。
でも、なんか…こう繋がるとは思わないじゃん!!!
エレナの時差ボケ発言とか、気づかない伏線ももちろんあった。
散りばめたカケラが2時間の映画内でぴったりはまっていくの、天才すぎる。
無駄な描写、セリフが一つもないよ。
脚本が…うますぎる…!
■アンナチュラル とmiu404 出演の配分が天才
これぞ望んでいた形!!
あくまでもメインはラストマイルの話だったから、もう少し出てきてほしいな〜くらいの今回の配分が本当にちょうどよかった。
それぞれ時をへて、変わったものがあって、でも変わらないものもある。そんな時の流れも感じた〜!
(ふせったーで見たんだけど、歯がデータベースされてて身元不明のご遺体とも、すぐ照合できててすごいって。たしかに!神倉さんがずっとやりたがってたこと、できてるじゃん!!!前はできてなかったけど、今はできるようになったことたくさんあるんだろうな!うれしい!)
(変わらないところとして6年も経ってるのに中堂さん相変わらずクソが口癖で可愛いね)
(白井くんびっっっくりした!アンナチュラル 見返したばっかりだったから、名前を聞いて、ん!?ってなって…うれしい再登場だった)
(miu側は同じペアで息ぴったりにやってる志摩と伊吹も最高だし、変わったペアでじんぼうさんと相棒してるのが、分岐点だった虚偽通報の勝俣くんなの激アツ)
(最後のロッカーのパスワード?が404なのも嬉しいよ)
(きゅうちゃーーーん!電話だけでも、書類に名前だけでも出てきて欲しかったよぉ!)
(あとやっぱり毛利さん、最高。やまさきって濁らなかったなってすぐ気づくのもかっこいい)
あと、BGMかかるだけでテンション爆上がりでした!!!!!
■エレナさんと梨本さん
ふたりのこと、2時間でめっちゃ好きになった。
そもそも満島ひかりがかわいすぎ!2日目の朝、すっぴん?パジャマ?のとこ…ほんとうにかわいい…。あと海外パートの黒髪ロングの赤コート…素敵すぎる。
エレナのこと、あやしいな〜って思ったり、どういうことなんだ〜?って思ったりして見てて、前半すごくドキドキした。
爆弾がもし11日だったら?の話も怖かった。
でも、爆弾に手をかけてしまったときから人間味が一気に出てきて、本当に抱きしめたくなった。
「好きでもない男と死にたくない」「僕だって上司と死にたくないですよ!」(あやふやな記憶)そういう関係性私大好きです…。
ふたりが手にかけた爆弾から解放された後一気に距離が縮まって、ソファによりかかるエレナさんと寝っ転がる梨本さん…え、なんか近いですよねお二人…?そこからなんかこう…どうにかして乗り切ろうというかんじで協力体制になっていくの、とてもよかったです…
■仕事人としての自分が泣いてしまう
なんかね…アンナチュラル のみんなも、
miu404 のみんなも、毛利さんはじめ警察のみんなも、八木さんも、配達員親子も、エレナと梨本さんも、みんな…みんなが、自分のできることを、頑張ってるよね…
それぞれの立場はもちろんあるけどさ…
特に配達員親子の父、仕事人としての誇りも感じる。届けたお客さんのことよく覚えてて、それが最後にもつながってくる。老害扱いにしてしまうこともできただろうけど、そうではなくて、長く働いてきた人へのリスペクトを描こうとしてるなぁって。
親子の息子も、今まで頑張ってきた洗濯機の積み重ねがあって、あの素晴らしいラストに繋がる。
八木さんも現場と上と挟まれて大変だろうな…わかるよそのきもち…
伝言の手間が省けた!のとこ、池袋のレイトショー、唯一観客から笑いが起きたシーン笑笑
アンナチュラル 、miu404 の、私たちが大好きなみんなが、ちゃんとそれぞれ仕事をした結果、今回の事件の大きな事実がわかったりするのも、本当にうれしかった。
今私も個人的に仕事頑張ってる時期だから、なんか…これからも自分のできること、頑張ろうって思ったな…。
それからエレナと梨本さん、最初、上の階から下を見下ろすかたちになっていたけど、下の階に降りてきて一緒に体を動かして。
そのあとさらにエレナは八木さんのところに電話じゃなくて直接会いにいく。さらに一番最後の配達員親子のところにまで。
それから八木さんとかの社長も、最初は電話で声すら聞こえない人として描かれるけど、最後には自ら他のみんなとまざってドライバーとして動くことになる。
階層があったとして、自分の位置よりも、下にいる人たち(依頼を受ける側)のこと、人間として見てますか?電話でただ圧かけて依頼してるだけになってませんか?って思うとなんか…刺さりすぎる。
直接会って「思ったより若い」とか「思ってたより仕事できそう」とか言い合うって大事だよなぁ、コミュニケーションのとりかた、わたしも再検討しようと思った…。
■例えばあなたがずっと壊れていても
2度と戻りはしなくても構わないから
僕のそばでいきていてよ
これは主題歌がらくたのなかの歌詞。
仕事頑張ろうと思ったと同時に、頑張りすぎなくてもええんや!とも、すごく思う。
やまさきたすくも、管理職になったエレナさんも、前職の梨本も、仕事で壊れてしまったことがある人たち。
ベルトコンベアは、やまさきたすくが落ちても何も変わらずに進んでしまう。止まらない。
同じく、わたしは今すごく属人化してる仕事を任されているけど、きっと私がもう全部ダメだってなって放り出しても、まあ誰かがなんとかしてしまってきっと進みはする。
そんなベルトコンベアのために、自分の心まで壊してしまったら悲しいよ…。
そしてやまさきたすくを失った彼女が、
顛末を見届けることなく最初の爆発を起こすの
悲しすぎる。。
わたしの夫も、危なかった。数年前は、仕事に殺されてしまうところだった。(今も普通に30日連勤とかしてるけど)
だから全然、やまさきたすくが他人事じゃない。
でもそう思う日本人って、多いと思う。
だけどね…ベルトコンベアを止める方法は、別にある。
心を壊すとか、飛び降りるとか、本社にメールを送るとか、爆発事件を起こすとか、そうじゃなくて、別にある。
それを映画内で示してくれたのは希望だった。唯一の希望。
ストライキや声明を、みんなで協力してやるって、大きな力を持つ。
エレナは、ディーンフジオカに出す書類をつくるために、どれだけ駆けずり回ったんだろう。どんな交渉をしたんだろう。その努力に、泣けてしまう。。。
■「次はあなたの番」
管理職になった梨本。
ラストシーンの数秒があったせいで、私の心は見終わって一夜明けた今も、そこにとらわれたまま。。。
こんなことがあったあとだから、梨本らしく改革とかしてみんなで楽しくお仕事できてる………となればね、よかったのにね。ハッピーエンドなのにね。
現実はそうはいかない。
思い詰めた顔でロッカーの落書きを見てしまうくらいには、うまくいかない。ベルトコンベアはとめられない。同じことを、繰り返してしまう、かもしれない。
がんばってるひとたちに、幸せになってほしい。なのに、それがこんなに難しい。
でもそれってなんで?って思ったら
現実世界の私たちにも、原因あるよね?
需要があるから仕事がある。お客様が望むから。
なんていうか…だから、ごめんなさい。
わたしも、Amazonで頼んだら翌日に届くこと、当たり前と思ってしまってた。
楽天で再配達してもらっても、また仕事で受け取れなくてさらに再配達依頼するとか、しちゃってる。
配達員さんに対して、感謝の気持ち、ちゃんと伝えられてる??できてないよ。
高いところから東京の夜景を見て、光ってて綺麗だなって思ってる。ひとつひとつ、夜遅くまで、だれかが働いてるその証なのに。
他の業界、すべてのことに対して
同じことが言える。
だからこの映画を見て、わたしは今、かなり大きい荷物を届けられた気持ち。
次、ベルトコンベアにやまさきたすくが落ちてきたらどうする?そのまま傍観者としてベルトコンベアを動かすの?
次のやまさきたすくを作らないために今、どうしたらいいの?
私は次、どうする?あなたはどうする?