コトバで写生をする
伝わる文章ってどんな文でしょうか?
それは、読者が読んでいて、
思わず情景が浮かぶほど、
具体的に想像できたら◎
それを目指して私の講座では、
みなさんに短い文章を書いて頂きます。
お題は例えば「冬の思い出」
次の文章は私が例文として書きました。
幼少期、数年だけ私は秋田に住んでいた。
ある冬の黄昏時、私は、友人と3人で学校から家路についていた。
30Cmくらい積もった雪を一歩一歩踏みしめ
前に進んでゆくのだが、子どもの足だ。
1m進むのも牛歩のごとくというゆるり感。
私は、しばらくすると疲れてしまい足を休めた。
あたりを見渡すと、遠くにかまくらを作っている
子どもたちの姿が見える。
もう薄暗くなっているのだが、そのかまくらの周りは
なぜかキラキラと光り明るく見える。
どれくらいそこに立っていただろうか?
友達が私のことを遠くから呼んでいる。
いつしか、子どもたちはかまくらの中に入ったようで
笑い声がかすかに聞こえる。
紅く落ちていく太陽の光に包まれ霞んでいくかまくらは、
雪原と空のはざまに浮かんでいるように見える。
それは、この世のものとは思えない程美しく現実味がなかった。
もう50年近く経ったけれど、あの光景は今でも目に焼き付いていて、
時折、ありありと思い出し、写真を眺めるように楽しんでいるのだ。
なんとなく、冬の秋田のかまくらが目の前にうかんできませんでしたか?
文章とは、絵をかくように写生をする。
起きている出来事を数秒間切り取って・・・。
情景の色や質感を微細に書いて・・・。
そうすると読者はあたかも目の前にその風景を見ているような錯覚にとらわれ、世界に入り込んでいきます。
言葉で写生をする。やってみて。
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