9月18日

 台風14号の影響により、下北沢も大雨と嵐のような気配を纏っていた。湿気がすごく、立っているだけで毛穴から汗が噴き出る。ガラス窓の向こうでは、打ちつける雨粒と簡素な傘で打ち勝とうとするかのよう人々が歩いていた。雨音が声を消す。足音を、自動車の音を消す。カップルが足が濡れただの、なんでこんな時に外へ出たのかなど、怒りを露わにした張り裂けるような声はした。それは地面に跳ね返り踊る雨粒の音で聞き返さないといけないぐらいの声量だった。
 往来は疎らだった。透明傘ではなく、色のついた傘を使用している人は、どこかしら服装にも気を遣っているように見えた。また若い女性は可愛らしく見えた。マスクをしているため、それははっきりとは分からないが、雨であろうとなかろうとどうでもよく思わない彼女たちの身のこなし方が、雨に、台風に負けていなかったように思えた。
 

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