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日本ではじめての英語音楽教材の制作までの道のり(2)本格的なサウンドの追求

Miyukiさんとの出会い

英語教育に重要な3つのポイントをおさえた教材を作るためには
英語教育に関する幅広い知識と経験を持つ者だけでなく、
「英語本来のリズム」を体感できるような「音作り」をしてくださる方が必要不可欠だと考えていました。

そのためには、「英語本来のリズム」を理解している、海外ミュージシャンの方に制作に関わっていただきたい。
そして、その方と幼児期の子どもたちが口ずさめる、かつ、保護者の方々も楽しめるようなアレンジを追求したい。
と、考えていました。

また、収録する曲の複雑な著作権問題をクリアにするためには、
他の方が作られた楽曲を使って教材をつくるのは非常に難しい。
だから、アルバム用に、楽曲を1から制作してくれる方でないといけませんでした。

けれどもミュージシャンの方々にとって、
音楽業界に比べると、教育業界は経歴を活かして活躍する場所(シェア)が少ない。そして賃金の問題、つまり制作側が一教材にかける制作費用にも限りがあるという問題がありました。

そのようなときに、海外で活動するプロミュージシャン、
Miyuki Marica Taniさんと出会ったのです。

Miyukiさん

Miyukiさんはブルース、ロック、ファンク等の様々な欧米アーティストのバックドラマーをつとめ、各国での幅広い音楽経験を活かして作詞・作曲、編曲もこなすアーティストさんです。2児のお母さんでもあります。

彼女とは、渋谷スポーツ共育プラザ&ラボ”すぽっと”を通じて知り合いました。
MiyukiさんはRhymoeプログラムで使用している音楽のサウンドや考え方に
強く共感してくれました。
そして、「英語本来」の音とリズムを使ったRhymoeプログラムの音楽づくりに協力いただけることになったのです。

2019年のレコーディング

 2019年の夏休み、Miyukiさんに神戸のレコーディングスタジオに来てもらって、”すぽっと”様向けの教材(秋冬バージョン)のレコーディングに参加してもらいました。

そのときにドラムセットでたたいてもらったのが、Rhymoeで大人気の曲”Go Bananas!"です。
私はMiyukiさんにドラムをたたいてもらっている横で、ぴょんぴょん飛び跳ねながら歌って録音しました。

他にも数曲、パーカッションとして参加してもらいました。
例えば、この手遊び歌。

秋冬バージョンの制作後、Miyukiさんと私は、いよいよ本格的に曲を作ろう、という話をしました。
そして2022年3月にレコーディングをセッティングしました。

でもご存じの通り、そのときにコロナウィルスが流行し、レコーディング作業が続けられないだけでなく、外出もできない日々が続きました。
ちょうどそのころ、Miyukiさんの方でもアメリカへの引っ越しなどが立て続けに起こり、楽曲制作はいったんストップしてしまいました。

その間に、オンラインでの楽曲制作を試したり、自宅で録音環境を作ってみたりと、いろいろやってみるのですが、なかなかスムーズにいかない。
そんな中、教材の一般販売を希望される声をたくさんいただくようになりました。
でも昔取った音源では出したくない。
新しい教材をもうそろそろ作り直さないといけない。

そこで私も観念して、やはりプロのレコーディングスタジオにお世話にならなければと思いました。

オンライン立ち会いでレコーディングが可能に

その時にお願いしたのが、神戸市にあるStudio Umiさんでした。
関西のアーティストさんも多数利用されているスタジオで、録音と調整をお願いしようと思いました。

その時にサウンドエンジニアの溝畑さんに教えていただいたのが、オンラインツールZOOMを使って、遠隔でミックスマスタリングなどの立ち合いができるということ。
つまり、世界のどこにいても立ち合いができるということです。
これは私達にとっては願ってもないことでした。

私が、スタジオに入って歌録りをする。MiyukiさんはZOOMでリアルタイムに立会し、歌い方のチェックをする。
ミックスやマスタリングも、Miyukiさんや私はZOOMで立ち会うことができる。
このオンラインによる遠隔立ち会いができたことで、制作への可能性が一気に高まりました。

子どもの英語力の土台を育てる「本物」の英語音楽教材を作ろう

私とMiyukiさんの二人で目指していたこと。それは
「本物」の音楽、「本物」の英語音楽教材を作ろう、ということ。
大人が聴いても楽しめる本格的なサウンドをつくる、
そして子どもの英語力の土台を育てることのできる教材にすること。
この二つを両立させることでした。

Rhymoeプログラムで使用する英語の手遊び歌やダンスの曲から、
「英語本来」の音とリズムが楽しめる約75曲を厳選しました。

 私たちは、がむしゃらに音楽を作りました。
 Miyukiさんは2人の小さいお子さんの子育てをしながら、曲つくりに没頭してくれました。
出来上がった曲はすぐに彼女の子ども達に聴かせて、その反応を二人で見ながら、表現やリズムを調整しました。
子ども達が一つ一つの楽曲を豊かにイメージできるように、様々な効果音を混ぜたり、子ども達が動きやすいテンポや音程を考えて、次々に曲を作ってくれたのも、ポイントの一つかなと思います。

またMiyukiさんは海外の様々な音楽に接してきており、それを子ども達にも親しんでほしいという願いを持っています。
だから編曲する楽曲のジャンルもロック、ジャズ、スゥイング、ラテン、ファンク、など、バラエティに富んだ内容にしてくれました。
複雑なリズムパターンや和声も、何気なく入れていて、ニクい演出が随所に施されています。

Miyukiさんは子どもたちに「英語本来」の音とリズムを届けたい一心で
時にはボランティア同然で、莫大な時間と労力をかけて、
音とリズム、サウンドプロデュースに徹底的にこだわってくれました。
またレコーディングの際には13時間の時差があるにもかかわらず、明け方までレコーディングに立ち会ってくれました。


サウンドエンジニア・溝畑さん

子どもたちへの想いが詰まった石川の歌詞と歌声、
石川の声と英語のリズムが生きるよう、本格的なサウンドに仕立てたMiyukiさんの編曲とオーケストレーション。
それらを1レベルも2レベルもクオリティを上げて仕上げてくれたのが、Studio Umiのサウンドエンジニア、溝畑さんです。

溝畑さん

ちょっとした音程やリズムの調整はお手のもの。
それだけでなく溝畑さんは、すごくかっこいいコーラスをつけたり、エフェクトをつけたりといったアレンジもその場でささっとやってくれました。
それを聴いたら、私もMiyukiさんも、驚きを通り越して、笑うしかない、というくらい、素晴らしく曲を変えてくれるのです。
いつしか私達は尊敬を込めて「けんやマジック」と呼ぶようになりました(笑)。

4月に行ったインスタライブの時の写真。
右:レコーディングブース。
左:けんやさんとエンジニアブース


日本の子ども達のために作られた英語教材は数々ありますが、
「本物」の音楽つくり、
「英語本来」の音とリズムの追求、
これらを私達のようにとことんまで追求したものは、
なかなかないと思います。


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