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自己紹介 その2

ある依頼

2015年6月頃のことです。

当時私は、Zumbaインストラクターとしての活動を広げ始めていました。
スタジオをいくつか借りて、そこで大人向けにZumbaを教えていたのです。

あるスタジオを借りたいと、オーナーに話をしに行った際、こんなことを言われました。

「石川さん、子どもに英語でダンスを教えてくれないですか?

これから小学校で英語が必修化になるし、ダンスは中学校でも必修化になったでしょ。だからこれから、子ども達の習い事では「英語」と「ダンス」が流行ると思うんですよ。

そして、これからの時代は「英語でダンス」の時代だと思うの。
私、子ども達に英語でダンスのレッスンをしてあげたくて、ずっとそれをしてくれる人を探してて。

石川さんは、Zumbaの先生だし、英語もできるし、アメリカで幼稚園の先生もしていたんでしょ。ぴったりだと思うの。」

私は、今まで英語でダンスを教えたことはなかったけれども、子どもに何かを教えるのは好きだったので、単純に、面白そうだと思いました。
そこで
「いいですね。やってみます!」
と二つ返事で引き受けたのです。

日本で作られた英語教材を聞いて

家に帰って早速、どんなレッスンにしようか考え始めました。
できるなら、ただ英語でダンスのレッスンをするだけではない形にしたい。
英語も身につく、ダンスレッスンにしたい、と思ったのです。

そこで、そのレッスンで使う教材をAmazonで探し始めました。
海外の教材を使おうと思ったのですが、生徒さんが手に入れやすいものの方がいいだろうと、日本で作られた幼児向けの英語教材で、レビュー評価の高いものをいくつか選び、購入しました。

届いてから、ある教材のCDを取り出し、その中に入っていたHokey Pokey(ホーキーポーキー)という遊び歌を聴いてみました。
Hokey Pokeyという曲は、音楽に合わせて右手、左手、右足、左足、、、と次々に身体の部分を動かして踊る歌で、アメリカでは非常にポピュラーな遊び歌です。

すると、なんとも言えない違和感を覚えたのです。

「あれ、、、なんでだろう。この音楽を聴いても、楽しくならない。
この曲は踊る曲なのに、身体が楽しく動かない…」

不思議でした。
歌っている人の発音は、日本なまりではなく、きれいな発音でした。
なのに、私がアメリカで親しんでいた楽しさが、この音楽には感じられなかったのです。

「これじゃあ、私は踊れない。この曲じゃ、私は子ども達に教えられない…」
そう思ったのです。


『日本人のためのリズム感トレーニング理論』との出会い

なぜなんだろう、という疑問が、頭から離れませんでした。
そして数日後、ある用事で楽器屋さんに寄った時のことです。
たまたま楽譜や音楽書が並んでいる本棚の前で本を眺めていた時に、
『日本人のためのリズム感トレーニング理論』(友寄 隆哉)という本が目に入りました。
なにかひっかるものがあり、400ページ以上もある分厚いその本を買って帰りました。

家に帰って読むと、それはとても面白い本でした。
「リズム感」の秘密を、日常的に行なっている身体の動作や、言語の違いなどから解き明かそうと、ありとあらゆる角度からリズムについて考察しているのです。
そして、「(リズムのノリ⽅に関する日本人特有の症状の原因として)リズムの良しあしは、使用言語と歩き⽅に集約することができるのではないでしょうか」と書かれていたのです。

その一文を読んだときに、私の中にひらめくものがありました。
その意味が、身体のどこかで分かっている、というような感覚でした。

そこから、いてもたってもいられなくなり、Amazonを駆使して、
音楽のリズムに関する本、ダンスのリズムに関する本、英語のリズムに関する本、ありとあらゆる本を買って読み漁りました。


バウンシング・リズムとストンピング・リズムとの出会い

そして、『わらべうたとナーサリー・ライム―日本語と英語の比較言語リズム考』(鷲津 名都江)に出会いました。

この本に関する詳しい話はまた別の時に書かせていただこうと思いますが、この本では
「英語はボールが弾むようなリズムを持ち、弾むような体の動きを伴う。日本語は一つ一つ踏みしめるようなリズムを持ち、一つ一つ踏みしめるような体の動きを伴う」と書かれていました。

そして、英語を「バウンシング・リズム」、日本語を「ストンピング・リズム」と読んでいたのです。

これを読んだときに、私の頭の中で、それまでのアメリカ生活経験、音楽経験、日本語教師の経験、そしてZumbaによる動きに関する考察で感じていた、さまざまな疑問が、一つの線でさっと、つながったような感覚になりました。

そしてこう考えたのです。
「言葉のリズムと音楽のリズムと身体の動きは連動している。それならば、英語の音楽を使って身体の動きを連動させることをトレーニングしたら、欧米のダンスの動きが簡単に身につくんじゃないの?そして英語のリズムも身につくんじゃないの?」と。

その時、私の身体に鳥肌が立ったのです。
その時の感覚は今でもはっきりと覚えています。

これをコンセプトにしよう。そう思いました。
そして、「英語」「リズム」「動き」「リズム」をキーワードにした、キャッチーな言葉を考えて、これらの頭文字を組み合わせて「Rhymoe=ライモー」と名付けたのです。


Rhymoe体験会

コンセプトを決めて、内容を準備し、初めてのRhymoeの体験会を行ったのは、2015年11月のことでした。
Rhymoe(ライモー)ー えいごでリズミックダンス」というタイトルで、西宮市の広報誌に載せていただいたところ、たくさんの方が参加してくださいました。


とても反応が良かったため、月に1回、2016年3月まで合計5回、西宮市や神戸市で体験会を行いました。

その体験会で得たことは、
『ダンスのノリをよくするために英語を用いる』という考え方ではなく、『ダンスや動きを効果的に用いて英語を身につけることができる』という考え方にした方がよい」ということでした。

つまり、Rhymoeはもともと、「日本人のダンスのノリをよくするために、英語を組み合わせたレッスンにしよう」というコンセプトで行ったのです。けれども、ダンスを前面に出すと、参加者からの反応はあまりよくありませんでした。
逆に英語を前面に出すと、参加者がたくさん集まり、反応もよかったのです。

2016年3月、その方向性が見えたところで、私は体験会を修了することを決めました。
そして、体験会をずっと主催してくださったNPO法人こころからだ研究所(ココカラ)の代表の方に、その旨をお伝えしました。
すると、このように言われたのです。

「石川さん、今までライモーの体験会をずっと見てきたのですが、とってもいいプログラムだと思います。
だから、それこそ法人かなにかをたてて、文科省に持っていくくらいにこのプログラムを育てていったらいいんじゃないかと思います」

私は、大学時代に教育を学んだ人間です。
だから、このように言っていただいたときに、私がRhymoeというコンセプトを考えついたこと、そしてそれを教育プログラムとして確立させることは、自分の使命なのではないかと、考えたのです。
そこで時間をかけて、Rhymoeを教育プログラムにするための準備をしました。
2016年7月にはRhymoeのロゴを商標登録し、2017年2月には「一般社団法人英語リズムムーブメント協会」を設立したのです。

今までお話してきたような、Rhymoeが生まれたきっかけは、「Rhymoe入門講座」の冒頭で必ずお話させていただいています。
今でこそRhymoeは英語教育メソッドとして認識されていますが、もともとRhymoeはダンスプログラムとして考えられたということが、Rhymoeのユニークさを生み出したポイントなのではないかと思うからです。

つまり、私が最初から「英語教育プログラム」としてRhymoeを作ろうとしていたら、日本における英語教材の違和感の原因にたどり着くことは、できなかったと思うのです。
「ダンス」という切り口から「英語」を見た、「動き」という切り口から「英語」そして「日本人」を見たからこそ、Rhymoeのコンセプトである「英語、音楽、動きはすべてつながっている」ことに気づけたのです。



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