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Movie/映画:フィッシュマンズ

フィッシュマンズを初めて聞いたのは大学一年生、2004年の秋だった。
サークルの定例ライブで、先輩達との交流のために組まれたバンドでボーカルをやってほしいということで渡された音源が「BABY BLUE」だった。
すごい好きって感じではなくて、あー不思議な曲で嫌な感じがしないなぁっていうくらいの印象だった。
ライブの為に何十回と「BABY BLUE」を聞いて練習するうちに僕の耳はフィッシュマンズに絆され、求めるようになり「空中」「宇宙」を発売日に買いに近所のCDショップへ駆け込んだ。
これが僕とフィッシュマンズの出会いだった。
それからはどハマりするわけではなかったが、90年代以降のバンドに対しては「フィッシュマンズと比べてどうか」というようなリトマス試験紙のような存在になった。(上回るものは当然少なかった)

映画:フィッシュマンズを観終わった感想としてはフィッシュマンズの音楽って改めて最高だなっていうのと同時に心にずしっと重くのしかかるものがあったという感じだ。
暗い(一つの)結末に向かっていくなんとも90年代的な鬱屈とした感じと、それに反比例する才能という言葉では表せないような圧倒的な創造力と表現力。
それは誰にも真似できない作品を残すと同時に、メンバーでさえもついていけないレベルだったのであろうか。
もし本人がそのレベル感を自認していなかったとしたらなんて残酷な話なんだろうか。
しかし、なんせ初めて佐藤伸治が喋っている映像を観たくらいのライトリスナーなのでそのあたりの雰囲気というのは知らない。映画を見た限りではそんな感覚を受け取っていて、永積タカシのコメントをはさんだその次のシーンは僕もかなり苦しくて張り裂けそうだった。

ドキュメンタリーとしてはナレーションによるガイダンスや脚色はほぼなく、関係者によって語られるフィッシュマンズと佐藤伸治についてが淡々と172分間を紡いでいき、自分も一人の関係者かのように見入り、聞き入ってしまう映画だった。
音楽はもちろん心地よくて昔より好きになっていた。当時は聞くのは辛かったけど、今「LONG SEASON」とかガシガシ入ってくる。これはアンビエントミュージックに傾倒し始めているのも関係するのだろうか…。

改めてちゃんとフィッシュマンズを聞こうかなあと思ってSpotifyを開いたけど、彼らの言葉を思い出してやっぱりCDを買おうかなと思う2021年夏。




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