個人面接や模擬授業で合格するための人間的魅力を解き明かしましょう。

本日(7月4日)まで、出張でしたので、本日も【号外】です!

人物評価試験(個人面接・集団面接・討論・模擬授業等)で、人間的魅力をキラリと光らせるにはどうすればよいのでしょうか?

人を惹き付ける魅力とその磨き方についてお話しましょう。

世の中には面接対策マニュアルというものがあります。

受験用、就活用とたくさんの種類があります。

参考になる本もないではないですが、面接本を読んですぐに合格や採用を勝ち取れるほど、面接官(採用側)は甘くはありませせん。

採用側は人間として魅力ある人を捜し求めているからです。

私は、就活や教採を、しばしば恋愛に喩えます。

とても似ているからです。

恋愛なら、ほとんどの人が心の中でイメージできます。

そのイメージが就活や教採でもとても大切になってくるのです。

例えば、あなたは自分の恋人に、筆記試験が高得点だけの人を選びますか?

いわゆる「デート術」が上手いだけの人を好きになりますか?

決してそんなことはないですよね。

筆記試験の高得点とかデート術なんて、まあ、あればあった方がいいのでしょうが(笑)、それだけで人を好きになることはありません。

やはり、人間としての魅力、女性としての魅力、男性としての魅力で、人は人を好きになりますよね。

就活や教採も全く同じです。魅力ある人を求めるのです。

魅力もなく、「ちゃんとテストで高得点を取れるし、恋人になって!」とか、「デートのプランニングはしっかり練習したから、付き合って!」なんて笑い話にもなりませんよね。

教採でも同じことが言えます。

「頑張って勉強したのだから採用してほしい」、

「面接対策や模擬授業も練習したから合格するはずだ」、

「講師を経験しているのだから合格させてほしい」などなど、

希望するのは自由ですが、採用する方はそんなことだけで人を選ぶはずがありませんよね。

やはり、人間的魅力を大事に考えて、採用の決断をします。

もちろん、人間的魅力の中には、高い教養や豊富な知識という意味での学力は含まれます。

専門教養や教職教養の知識や教養、能力があるのは、教師になる必須の条件です。

でも、それは、必要条件、つまりは、スタートラインに過ぎません。

教採という競争に勝ち抜くためには、魅力が必要です。

ですから、知識や教養、能力に加えて、人間的な魅力を持っていることも教採合格には必要になってくるのです。

では、その人間的魅力とは何でしょうか?

いろいろあるでしょう。

人それぞれで多様に異なるでしょう。

でも、一般的に言えることがあります。

それは、

1.経験、

2.人柄、

3.情熱・志、

4.語り、

5.表情、

の5つが人の印象を決定的に形作るということです。

この5つが魅力的なら、その人は非常に魅力的な人と感じられます。


1.経験。 

大学生でも経験を積んだ講師でも、それぞれの人生においては、多様な経験を持っています。

その経験に魅力を見出さなければなりません。

経験とは単なる過去の事実の羅列とは違います。

経験とは単なる事実の年表ではありません。

経験とは、あなたをあなたらしくした人生のストーリー、エピソードです。

ですから、単に過去の事実を話しても魅力的な経験ではありません。

また、恋愛のたとえで話しましょう。

あなたは恋人の関心を引くために、「自分は部活で部長をして部員をまとめているんだ!」なんて言うでしょうか?

言いませんよね。

と言うか、こんなことを言う人はふられますね(笑)。

でも、教採では先程のようなことを面接で平気で言うのではないでしょうか。

恋愛と教採は違うと言うかもしれませんが、そんなには違いません。

あなたが部活の部長で部員をまとめたなんて、なんの魅力もない単なる過去の事実です。

魅力を出そうと思えば、部長としてのエピソードや情熱を語ることです。

例えば、恋人に対してでも、

「自分が部活の部長していた時にね、部員同士の殴り合いが始まって、仲裁しようと思ったら、両方から自分だけ殴られてひどい目にあったんだよ。でも、それで、その部員たちは仲良しになったんだ。部長ってこんな役回りなのかなあ。」

と話せば、恋人でも聞いてくれるでしょう。

要は、魅力あるエピソードを話せるかどうかが、経験を自分の魅力にできるかどうかです。


2.人柄。 

ここでいう人柄とは、人間的な深みであったり、面白みであったりということです。

簡単に言えば、その人の趣味や、休日の過ごし方、好きな本、映画といった、その人らしさを表すものです。

人柄を表すものはこれらに限らずたくさんありますが、自分らしさを表現できる何かを持っておくことは大切です。

経験についてお話ししたときもそうでしたが、人柄を表現する趣味や自分の好みなどについて話すときも、単なる事実の羅列では興味を持って聞いてもらえません。

これも恋愛の場面でたとえてみましょう。恋人になって欲しい人に、「自分の趣味は読書です。」というような言い方で話すでしょうか?

何十年か前のお見合いのような、かしこまったお見合いの席ならいざ知らず、趣味も無味乾燥に言ったのでは何の魅力もありません。

少しエピソードを交えて、「最近、XXX についての本にハマっていて、アルバイト代を全部使って、XXXの本ばかり買ってるんだよね。」なら聞いてもらえるでしょう。

もちろん、恋愛のときと教採のときでは、話す言葉の丁寧さや文体は違います。

でも、話す内容や視点はそんなには違わないのです。

恋人や友達にはバカバカしくて話せないような話の内容や視点では、面接官の興味・関心を勝ち取ることはできません。

そんな受験作文では、つまり、あなたの人柄を表現することはできないのです。

それなのに、教採や就活の面接では、平気で、「私の趣味は読書です。本を読むことによって自分の世界が広がります。」という風な言い方で話すのです。

このセリフを友人や恋人に言いますか?

言うとするなら、相当なエピソードやストーリーがないと伝わりませんよね。

抽象論では人柄は表わせません。

はっきり言うと、小学校時代の「良い子ちゃん作文」での表現を、社会人としての就職・教採面接で使ってしまうのです。

良い子ちゃん作文とは「今日はXXがあります。一生懸命頑張りたいと思います。」とか、「僕はXXが好きです。もっと上手くなりたいと思います」のような紋切り型の作文のことです。

良い子ちゃん作文は言っていることが悪いのではありません。

言い方があまりに幼稚だということです。

言い方があまりに型にはまっていて、その人のユニークさや人柄を全くと言っていいほど表せないのです。

こんな場合にはこう言うといった感じのパターンだけで話しているのです。

面接で自分の趣味について話す時に、「私の趣味はXXXです。この趣味で学んだことを活かして・・・」なんて話すのは、はっきり言って最低レベルです。

間違ったことは言っていませんが、あまりにも紋切り型で魅力も何にも感じられません。

こんな話し方しかできない人を採用したいとは思いません。

アルバイトについて話す時でも紋切り型のワンパターンの話し方は決まっています。

「私はXXXでアルバイトをしています。そこでは、働くことの厳しさと人間関係の大切さを学びました。これらを活かして・・・」といったものです。

特に具体的なことに言及することもなく、こんな決まり文句で話します。

いま取り上げたような、ワンパターンの話し方は面接官が最も嫌う話し方です。

面接官としては、「だからどうした?」、「具体的には何が言いたいの?」と感じざるを得ないからです。

さらに、面接官から補充質問があっても、具体的に答えられないような場合では、もはや合格は絶望的です。

自分という人柄を知ってもらおうと思うのならば、自分が表現できるエピソード、ストーリー、言葉をしっかりと準備しておく必要があります。

その準備こそが、自己分析であり、面接対策にもなるのです。

人柄としての自分を語るためには、自分磨きが大切です。

特に打ち込んでいる趣味もないし、アルバイトも適当にやっているだけ、これと言って話すこともないというのでは、魅力ある人柄としての自分は語れません。

まずは、魅力ある人間になる努力が必要なのかもしれませんね。


3.情熱・志。

就職面接(教採も含めて)では、仕事ができそうな人を採用します。

でも、一般に面接を受ける受験者は若くて未経験の人が圧倒的です。

仕事上での大先輩の面接官に向かって、自分は仕事ができるぞ、上手いぞという立場ではありません。

アピールできるのは、まずは、情熱・志です。

仕事に情熱・志がある、人生に情熱・志があるということは、その人は将来、成功する可能性が高い、あるいは、その人に成功するチャンスを与えたいと採用側に感じさせますから、合格する可能性が高くなるわけです。

情熱・志は成功への予感であるからです。

では、情熱・志とはどのようにすれば伝わるのでしょうか?

情熱・志を伝えるためには、単なる言葉だけではダメです。

情熱・志を伝えるためには、本気であることが不可欠です。

教育への情熱・志なら、本気で教育に対しての何らかの想いを持っていることが必要です。

教採を受験するということは、教師になりたいということですから、教師という仕事に対して、あるいは、教育という営みに対して、何らかの本気の想いを持っているということになります。

その本気の想いを自分なりの言葉で表現することが肝要です。

あなたはどんなことに対して本気なのかを語るのです。

結局、これは志望動機につながります。

なぜ教師になりたいのか、教師になって何がしたいのか、本気度はこれに関するものとなりますね。

これが本気でなければ当然、採用はされないでしょう。

では、どうやって本気であることを伝えるのか。そこが考えどころです。

本気を見つけるにはいろいろ話してみることが重要です。

指導教官と話す、友達と話す、先輩と話す、いろいろ話して自分の本気を見つけることです。

これは教師・教育に関してだけではなく、例えば、教科についてでも仲間といろいろ話してみて、自分が何に本気なのかを見つけていくことが必要です。

この点については、私は、受験者の強みや志をしっかりと引き出すような会話をすることに努めています。


4.語り。

人間的魅力のファクターの一つとして、語りの魅力も重要です。

人は社会的動物であり、コミュニケーションにより相手の魅力を感じ取ります。

コミュニケーションの最大の柱は言葉による語りです。

語りだけが全てではないですが、語りは最も重要であることは間違いありません。

語りの力とは、聞き手(聴衆)の共感、感動、賛同を勝ち取り、相手の心を動かす力のことです。

教採の面接でも重要な力ですし、また、教員になってからも常に必要な力です。

語りの力なくして、教育はできませんし、教師という仕事もできません。

語りの力を磨くことは教師の力を磨くことに通じます。

話してみて面白くない人と言うのは、教採でも就活でも、致命的です。

こういう言い方をすると本当に申し訳ないのですが、話してつまらない人が合格・採用される可能性は低いのです。

特に競争倍率が高い場合はなおさらです。

だから、相手の興味を勝ち取れる話し方をするのです。

これは、適切に練習すればできるようになります。

聞き手(聴衆)がもっと聞きたいと思ってくれるような話し方は練習次第でできるようになります。

この練習を今からしっかりしておくことが大切です。


5.表情。

これも大切です。

面接や模擬授業などにおいては、基本的には、語り(言葉)と表情での勝負です。

語りと表情で、使命感や、責任感や、協調性といったものを表現するのです。

面接官が持っている評価表には、使命感・責任感・協調性といった項目がありますが、それらは全て言葉と表情で評価されます。

言葉と表情で多くのものを勝ち取るのが就職面接・教採面接です。

言葉と表情の組み合わせが上手くいけば万能です。

表情については、いわゆるイケメン・美女であれば有利度は高いことになりますが、心の持ち方、心の表現の仕方でイケメン・美女に変身することはできます。

表情は教採の面接でも、教師になってから教室でもとても大切なものですが、言葉ほどは注目されていません。

面接対策でも模擬授業でも、話す言葉や指導案は推敲を重ねても、表情の推敲をすることは稀です。

どんな表情で話すのか授業するのかは、言葉と同じくらい重要です。

これを忘れていはいけません。

表情が暗いと全てが台無しです。

表情なんか変えられないと思っていてはダメです。

表情はどのようにでも変えられます。

表情を変えることができない人は、教師には向いていません。

子どもを指導する時には、教師は変幻自在の表情を持っている必要があるからです。

教採用には明るく元気な表情が不可欠です。

人間的魅力を伝えるために必要な、経験・人柄・情熱/志・語り・表情についてお話しました。


私は、面接演習や人物評価試験の特訓をするときには、経験・人柄・情熱・語り・表情の5つを常に意識して指導しています。

どの一つが欠けても魅力的な教師とは映らないからです。

私は、教員採用試験対策講座を主催していますが、結局、教採での合格率を高めるということは、より魅力的な人間になること、そして、より優れた教師の資質を身に付けることに他ならないことだと信じています。

魅力的な人間になり、優秀な教師に成長していくことが何よりも教採合格の近道なのです。

ただし、学力を軽視しないでくださいね。

学問・知識・教養は、教師になるための絶対的な必要条件ですから。

学問・知識・教養は、「必要十分条件」ではありませんが、「必要条件」であることを、くれぐれも、お忘れなく。


みなさん、魅力的な人間、そして、優秀な教師として成長することで、教採合格を勝ち取りましょうね。


河野正夫
レトリカ教採学院

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