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採用・求職におけるカルチャーフィットとダイバーシティ

採用・求職において、企業のカルチャーと個人の考えや価値観が合っているかを表す「カルチャーフィット」と、偏見を排除し多様な人材を採用しようとする「ダイバーシティ」という考え方があります。どちらも重要だと言われていますが、私にはこれらの考え方は矛盾するように見えました。そこで『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』を参考に「カルチャーフィット」と「ダイバーシティ」について考えてみたので、シェアします。

カルチャーフィットとダイバーシティ

この2つの言葉の関係に興味を持ったのは、IT業界で生まれた(時には利害が一致しない)異なるチーム・組織の人々が協調するための文化を作る活動であるDevOpsについて書かれた『Effective DevOps』における次の一節です。

誰かの価値観がチームの価値観と一致しているかどうかを評価するときには、「価値観」や「適合」といった言葉が、正確に使われているか、それともチームの同質性を保つための手段になってしまっているかをよく考えなければいけない

『Effective DevOps ―4本柱による持続可能な組織文化の育て方』 p111

カルチャーフィットを重視した結果ダイバーシティを損ねてしまう危険性があることを示唆しています。では、これらの概念はどのような関係にあるのか、また両立し得るののでしょうか。

カルチャーはどこまで多様でよくてどこは統一さされていなければならないかを決めるもの

カルチャーとは

カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』によると、カルチャーは会社の使命や社員の行動指針であるビジョン・ミッション・バリューから、日々の活動を通して生み出される、企業と社員が共有する価値観や文化、行動規範であり、さらに時には顧客を共感させプロダクトやサービスの魅力を高めるものであるとされています。

そして、カルチャーを言語化し社内外に浸透させることで、それがブランドイメージとなり、マーケティングや採用など、あらゆる企業活動を優位に進めることに寄与すると言います。

カルチャーは多様であってはいけない範囲を規定する

カルチャーは社員が共有する価値観であり、意思決定の判断軸でもあります。そのため、カルチャーのレベルでのダイバーシティはあるべきではないでしょう。

カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』では、カルチャーの方向性(スタンス)を4つに分類しており、例えばその中の、多くの日本企業に当てはまるという、団結力を重視するチームリーダー経営(安定 × 中央集権)型のカルチャーを持つ社員と、その真逆の、スタートアップに多く見られ、一人一人にリーダーシップとコミットメントが求められる全員リーダー経営(変化 × 分散)型のカルチャーを持つ社員が混在している企業では、一貫した判断軸のもと意思決定はできません。

そのため、私はカルチャーフィットはダイバーシティよりも優先させるべきだと考えます。

カルチャーフィットを前提としつつ、カルチャーに規定されていない部分でダイバーシティを目指す

しかし、カルチャーフィットを優先すると完全にダイバーシティが失われるか、というとそんなこともないはずです。カルチャーで言及されていること以外の要素、例えば、性格、国籍、セクシャリティ、職歴、学歴、職歴などにおいては多様性を許容することは可能です。

この意味だと、両立が可能と言えるかもしれません。

カルチャーのダイバーシティ

少し視点を変えて「カルチャーのダイバーシティ」も考えられそうです。

具体的なカルチャーであれば同質性がより重要視され、抽象的なカルチャーであるほど多様性を許容する余地が広いと言えます。つまり、カルチャーが許容できる多様性の程度を、カルチャーのダイバーシティ」と呼ぶことができるかもしれません。

以上です。
皆さんの考え方も教えてください。


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